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- 「ベリーショート」はグレイヘア移行への近道!
ステキなグレイヘアスタイルの女性に白髪との付き合い方を聞くインタビュー連載。松橋ゆかりさんがグレイヘアになったきっかけは、闘病体験でした。当初は「やむを得ず」やめた白髪染め。気づくと髪色の変化は価値観の変化までもたらしていたと言います。
【松橋ゆかりさん 54歳】大事なのは、髪と頭皮に負担をかけないケア
松橋さんがグレイヘアにしたのは2017年。シルクのように繊細でツヤのあるグレイヘアが印象的ですが、美髪を保つための秘訣は「髪と頭皮に負担をかけないケア」だと言います。
特に大事にしているのが髪の“土壌”ともいえる頭皮のケアです。
まず、朝と入浴前にパドルブラシで頭皮をマッサージして、頭皮の血流をアップ。入浴前にブラッシングすることで髪や頭皮の汚れ落ちがよくなるので、シャンプーが少量で済みます。タオルドライをした後は、オーガニッククリームで頭皮をマッサージ。ドライヤーをかけても、クリームでケアしていれば頭皮も髪もしっとり感をキープできるのだそう。
さらに寝るときはシルクのナイトキャップを着けて、保湿&枕との摩擦を防いでいるというこだわりよう! 自称「面倒くさがり」だという松橋さんですが、“美髪は一日にして成らず”。毎日しっかりと手を掛けています。
病気をきっかけに始まったグレイヘア人生
20代後半から白髪が出始め、30代から白髪染めを続けてきたという松橋さん。やさしさと透明感のある松橋さんの雰囲気に今の髪色はぴったりの印象ですが、「50代でグレイヘアになるとは、想定外なことだった」と振り返ります。「私がグレイヘアにたどり着いたきっかけは“やむを得ず”な事情だったんです」
松橋さんは2016年4月、全身に痛みが生じる、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群という病を発症しました。「ちょっと動くだけでもとにかく痛みがひどくて、美容院には行けないし、ましてや自分で染めることもできなくて……。病気の影響で化学物質にも肌が敏感になってしまって、髪染めをしている場合ではなくなってしまったんです」
症状が回復する目途もたっていなかったことから、きっぱりと白髪染めをやめることにした松橋さん。「病とともに私のグレイヘア人生が始まりました」
挫折しやすい人は「ベリーショート」がおすすめ
闘病をしながらのグレイヘアへの移行期。体の痛みで外へ出ることも困難になり、半分寝たきりの状態に……。「今まできれいに黒く染めていたので、こんな状況でも白髪と黒髪が混ざった中途半端な髪色はだらしなくしているように思えてすごく嫌でした」
そこで、思い切ってショートだったヘアスタイルをベリーショートにさらに短くカット。「そもそもドライヤーの重みさえ体に負担となっていたので、短時間で髪が乾くようになってすごくラクになりました」
染めていた部分が伸びれば少しずつカットしながら、地毛のグレイヘアへと移行していったといいます。「ベリーショートは一番ラクに早くグレイヘアへと移行できるヘアスタイル。挫折しやすいタイプの方にはおすすめですね」と笑います。
今は病状も回復し、これまで通りに日常生活を送れるようになった松橋さん。「グレイヘアになって後悔したことはありますか?」と尋ねると、「何もないの」ときっぱり。後悔よりもむしろ「グレイヘアになってよかったことの方が多い」のだといいます。
グレイヘアになって変わった3つのこと
グレイヘアは松橋さんにさまざまな変化をもたらしました。
まず「髪質」。頭皮が健康になったためか、今まで白髪だった髪が黒くなる、なんていうことも。「せっかく白髪でいいや、と決心したのに黒い髪が出てきちゃった(笑)。グレイヘアの仲間でも、私と同じような経験をしている人っているんですよ」。薄くなり始めていた生え際も毛量が復活してきたのだそう。
次に変わったのが「ファッション」。グレイヘアになったことで赤や黄色など明るい色が似合うようになり、「この際、いろいろチャレンジしてみようと思うようになりました」。さまざまな色柄の中でもお気に入りは、アフリカンテキスタイル。「アフリカンテキスタイルって色や柄がパワフルで見ているだけで元気が出るし、どこか懐かしさも感じるんですよね」
グレイヘアのおしゃれで気を付けたいのが「顔の血色をよく見せる色を選ぶこと」。「トップスにくすんだ色をもってくるときは、スカーフやストール、ブローチ、イヤリングなどで明るくはっきりした色をオンするように心掛けています」。メイクも特にリップカラーには気を遣うといいます。
そして、自身も「一番大きな変化」と実感しているのが「価値観」です。「毎月1回の白髪染めというストレスから解放されたことで、気持ちが自由になったことが大きいかな。自分の白髪の生え方って面白いな、なんて客観視もできるようになって。心にゆとりが生まれたんでしょうね」
人の目より、自分がどうありたいかを大事に
ある時、「髪が黒かったらもっと若く見えるのに……」と知人に声を掛けられたという松橋さん。「その時ショックを受けたというより、『えぇ、そうです。私、もう若く見られなくていいの』と吹っ切れた感じがしました。人の目より、自分がどうありたいかを大事にしていこうと思えるようになりました」
あるがままの髪色を受け入れられたことで「これでいいんだ」と自分を肯定できるようになったという松橋さん。「人と違う要素も個性の一つ」「多様性を理解しよう」という気持ちが芽生え、視野が広がったといいます。新たにできた自分と年齢や職業の違うグレイヘアの仲間から刺激を受けながら、現在、復職に向けて準備を進めています。
「グレイヘアになったものの、しっかり老いに抗う自分もいるんですよ。抗うのは、外見の老化じゃなくて、心の老化。いつまでも好奇心旺盛で人生を楽しみ続けたい。人を笑顔にできる存在でありたいし、自分のように病気に苦しむ人のサポートもしたい、そんな目標もあるんです」と笑顔で語る松橋さん。
松橋さんにとって、グレイヘアへの移行は新たな第二の人生の幕開けと言えるのかもしれません。
取材・文=小林美香(ハルメクWEB編集部)、撮影=中村彰男、ヘアメイク=木村三喜
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