落語自由自在(58)

柳家風柳・真打昇進披露公演

公開日:2022.06.09

今にも泣き出しそうな空模様の中、国立演芸場に行きました。「鈴々舎やゑ馬改め柳家風柳真打昇進披露公演」です。やゑ馬さん時代に、横浜にぎわい座によく観に行きました。今日は晴れ姿をしっかり見届けたいと思います。

今日は番頭役のあお馬さん

エレベーターを降りた途端、ハッピ姿の柳家あお馬さんに会いました。

「ここで今日お会いできると思いませんでした。うれしいです」と思わず口走ると、あお馬さんも

「あっ、ありがとうございます。今日は千秋楽ですよ」とうれしそうに応えてくれました。

4列目の席について、ホッとして間もなく、出囃子が鳴り始めました。開演です!

今日は番頭役のあお馬さん

市若「牛ほめ」

柳亭市若さんは「風柳さんとは、同じ柳家ですからうれしいです」と言い、客席がシーンとなります。

皆さん考えているようです。柳家と柳亭? 風柳さんの前名は鈴々舎だし?

そうなのです。柳家と鈴々舎と柳亭は同門、つまり小さん一門なのです。ついでに入船亭も同門です。

花緑「火炎太鼓」

花緑師匠は「柳の家の三人会」以来ですので、9年ぶりでした。五代目小さん師匠のお孫さんです。

『開運!何でも鑑定団』では、以前各地を巡る司会者として、出演されていました。番組に火炎太鼓は、出てきませんでしたが、出たら高額だったと思います。

ドンドンドンと太鼓を叩く小僧さんが、可愛らしかったです。

馬風師匠登場!「楽屋外伝」

馬風師匠が、高座にあがられました。82歳です。盛大な拍手が湧き起こります。最初は静かなペースでしたが、やがて以前と変わらぬ迫力で、場内を笑いの渦に巻き込みました。

爆笑の口上(ここからは敬称略)

左から、三語楼・花緑・風柳・馬風・小さんの順に並んでいます。司会進行役は三語楼、皆それぞれが風柳を、上げたり下げたりで笑わせます。三本締めの音頭は、五代目小さんのご子息小さんと一旦指名しておきながら、一転馬風となり、さらなる笑いが沸き上がりました。

風柳「ねずみ」

「よっ、二刀流」と大向こうから声がかかりました。

風柳さんうれしそうです。

「披露公演では、これまで江戸と上方を、交互にやってきました。今日は大千秋楽ですので、ミックスでお送りします」

拍手が湧きます。

「ねずみ」は、江戸落語では仙台が舞台ですが、今回の舞台は岡山です。左甚五郎は江戸弁で、宿の子供や主人は関西弁で、パワフルに噺が進行します。宿の主人の独白の部分では声を落とし、場内も緊張に包まれます。やがて甚五郎が彫ったねずみが評判になると、さらにパワーアップ、サゲまで一気に運びました。

お元気な馬風師匠の高座が観られ、風柳師匠のミックス落語を楽しみ、大満足でした。

風柳「ねずみ」

おまけに、あお馬さんに笑顔で見送って頂き、幸せいっぱいで帰路に着きました。

風柳「ねずみ」

 

■もっと知りたい■

 

さいとうひろこ

趣味は落語鑑賞・読書・刺しゅう・気功・ロングブレス・テレビ体操。健康は食事からがモットーで、AGEフードコーディネーターと薬膳コーディネーターの資格を取得。人生健康サロンとヘルスアカデミーのメンバーとなり現在も学んでいます。人生100年時代を健康に過ごす方法と読書や落語の楽しみ方をご案内します。

マイページに保存

\ この記事をみんなに伝えよう /

いまあなたにおすすめ

注目の記事 注目の記事