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コロナウイルスの感染者数が減ってきましたが、海外旅行解禁はもう少し先のようですね。せめて今は、漫画で外国の風景を楽しみましょう。
アイスランドをドライブ
漫画で体験する海外旅行、まずはアイスランドへGO!
『北北西に曇と往け』は、アイスランドが舞台です。
主人公は御山慧(みやま けい)17歳、探偵です。フランス人の祖父ジャックと住んでいます。彼は、車などの機械と会話ができるという特殊能力の持ち主。この力が人探しなどの仕事に役立っています。
慧は愛車のスズキ・ジムニーで原野や火山地帯などを駆け巡りますが、この自然の描写がすばらしいです。おそらく日本より乾いていて冷たくて、地には火山の熱を隠している独特の風土を私なりに感じ取りました。街のカフェや本屋もいい感じ。パンやお肉もおいしそう!
この国が好きで、何度も訪れていないと描けない作品ですね。
登場人物はみな魅力的です。慧は黒髪長身、ぶっきらぼうに見えるが根は感性豊かで優しい。
祖父のジャックがまたよくて、悠々自適の大学教授。女優のカトラに一目惚れされるほどの「イケオジ」。彼もまた鳥とコミュニケーションできるらしい。
カトラの姪がリリヤ、17歳でみごとな金髪。チェロと声楽を学び、慧とはいまのところ喧嘩友達です。
そんな彼らの元に、日本から慧の弟の三知嵩(みちたか)がやってきました。彼も何かの力を持っているようで、彼のまわりでは過去に不審な事が起きています。音に敏感なリリヤは彼の声に違和感を持ち、慧は弟に振り回されていきます。
慧たちの不思議な力は現実にはありえませんが、アイスランドという私たちにとってやや遠い異国の雰囲気とうまく調和していると思います。弟を追う刑事も登場し不穏な空気も漂ってきて、いつ物語の火山が噴火するのか、怖くもあり楽しみでもあります。
ベルリンに住んでみる
「気軽な街歩き紀行のコミックエッセイ」と思って読み始めたら、そうではなかった『ベルリンうわの空』。
さまざまことを考えさせられる漫画です。
作者は漫画やイラストを描いたりゲームを作ったりと、リモートで仕事ができる環境にあります。日本や世界各地の、気に入ったところで暮らしているようです。そこで住み着いたのがベルリンというわけです。
作者の日常をありのままに描いていて、ベルリンの人々の暮らしぶりが興味深いです。
行政への参加意識、リサイクルの実践、人との関わり方など、つい日本と比べてしまいます。市民は、快適に生活するために、自ら声を上げ動くことが身についているようです。
作者も、知り合い (みんな外国人でベルリンに働きにきている)と、ホームレスでも利用できるコインランドリーを始めます。損得勘定抜きで、何かしたいねと意見を出し合い、さらりと行動するのが私たちにはなかなかできないことです。
人間の顔をしていない登場人物が多いですが、人種や美醜などの余計な価値観に振り回されず冷静に読めるので、私はこれでいいと思います。
今回の作品
『北北西に曇と往け』入江亜紀 2016年~ 既刊5巻 KADOKAWA
『ベルリンうわの空』香山哲 2020年 イーストプレス
『ベルリンうわの空 ウンターグルンド』香山哲 2020年 イーストプレス
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