特集|岸惠子さんに学ぶ。「自分らしく生きる」心得

岸惠子さん「若く見えると言われても簡単に喜ばない」

岸惠子さん「若く見えると言われても簡単に喜ばない」

更新日:2021年06月16日

公開日:2021年06月12日

50代以上の女性に寄り添う
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女優・作家として表現し続ける岸惠子(きし・けいこ)さんの言葉に「人生を自分らしく生きる心得」を学ぶ特集第2話は、2020年当時87歳の岸恵子さんのインタビューから。いつも若く見えますね!」と言われても喜べないという岸さん。その理由とは?

失われるものはあれど、ドシンとお腹に溜まっていくものもある

失われるものはあれど、ドシンとお腹に溜まっていくものもある


――海外旅行が自由化されていなかった1957年、当時24歳だった岸さんは大スターの地位をなげうって単身渡仏し、フランスの映画監督イヴ・シャンピ氏と結婚。パリで出産、離婚を経験し、長年にわたりフランスと日本を行き来する生活を続けました。そして、母の死をきっかけに横浜の実家を本拠とするようになったのが60代後半。間もなく20年が過ぎようとしています。(2020年5月号「ハルメク」に掲載したインタビューより)

もともと両親と暮らした横浜の家は古くて、私と同い年くらい。一人で暮らすには広い家で、今は私自身が歩いてきた道をずっと書いていて、もうすぐ発表する予定です。

いつまでも変わらない? いいえ、そんなことはありませんよ。“老い”は感じています。私の唯一の取り柄は、記憶力だったんです。でもここ数年、ものをよく忘れるようになりました。「魑魅魍魎(ちみもうりょう)」とか「憂鬱(ゆううつ)」とか、難しい字はちゃんと書けるんですよ。ところが、自分の住所を書こうとして、横浜の横の字が“木偏に何だっけ?”と、ほんの何分の1秒くらいですけど、思い浮かばなくてハッとしたり。人の顔も覚えられないし、名前なんて聞きながら忘れていきます。やっぱり老いというのは抗えない、自然の摂理ですね。

ただ、年を重ねて、失われていくものがある一方で、これまでの経験やさまざまな出会いが、自分自身は忘れていても、ドシンとお腹に溜まっているような気がするんです。...

HALMEK up編集部
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