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- 少年刑務所で生まれた1行の詩が、彼らを変えた
奈良少年刑務所の少年たちに月に1度「絵本と詩の教室」の講師を務めることになった作家の寮美千子さん。絵本を朗読することで自分を表現し、周囲に受け止めてもらえることを経験した少年たちは、今度は詩を書くことになります。そこで起きた反応は――。
詩を書くことに初めて挑戦した少年たち
刑務所の少年たちは、詩なんて書いたことがない子がほとんどでした。「次の授業までに書いてきてください」と言われても、何を書いていいのか、見当もつかなさそうだったので、小さいときの楽しかったことや悲しかったこと、これからの希望や不安でもいい。今日は暑いなあ、でもいい。何でも書きたいことを書いていい。どうしてもなかったら、好きな色について書いてきてください、と言いました。
そんな宿題、逃げ出したい子もいたかもしれませんが、みんな一生懸命書いてきました。やっぱり色の詩が多かったですね。いくつかご紹介しましょう。
「金色」
金色は
空にちりばめられた星
金色は
夜 つばさをひろげ はばたくツル
金色は
高くひびく 鈴の音
ぼくは金色が いちばん好きだ
受講生はみんなしゃべるのが苦手で、これを書いたのも言葉数の少ない少年でした。彼からこんなポエティックな詩が生まれてくるとは思いもしませんでした。鶴も鈴も、色そのものではないのに、それを金色と感じる彼の気持ちに胸を打たれました。
「黒」
ぼくは 黒が好きです
男っぽくて カッコイイ色だと思います
黒は ふしぎな色です
人に見つからない色
目に見えない 闇の色です
少し さみしい色だな と思いました
だけど
星空の黒はきれいで さみしくない色です
この少年は育児放棄され、コンビニの廃棄弁当を盗んで食べるような生活をしていました。そういう子が、人に見つからない闇に紛れて、ほっとしているのだけど、同時に寂しく感じている。そして見上げた夜空はきれいだった――彼がどんな罪を犯したにせよ、彼の心の中にはこういう思いがあったのです。
たった1行の詩が仲間たちの心を動かした
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