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- 医師・内藤いづみ|私にとっての命の意味は
いのちに寄り添う在宅ホスピス医、内藤いづみさんのお話は今回で最終回。内藤さんはある日、「いのちとは何か」と高校生に聞かれたそう。それに対してどのように答えたのでしょうか?さまざまな看取りの体験から、命の意味を考えます。
内藤いづみさんが考える命の意味
「内藤先生にとって『いのち』って何でしょうか」。高校生を前にした講演会の最後で、ある生徒から尋ねられました。
これは難しい問いです。ときどき突然、こういう難しいことを聞かれるのですが、なかなか簡単には答えられません。みなさんだったら、この問いになんと答えるでしょう。
私が尊敬する人物の一人に、精神科医のエリザベス・キューブラー・ロスがいます。世界で初めて、死にゆく患者さんたちとの対話をまとめた著書『死ぬ瞬間』で知られる彼女は、“死の専門家”といわれていますが、一方で私は“生の専門家”でもあると思っています。
ロスにも、9歳のアメリカ人の男の子・ダギーから私と同じ問いが寄せられました。脳腫瘍で余命わずかと宣告を受けた彼が、「いのちって何ですか? 死ぬってどういうこと?」とロスに手紙を書きました。
わずか9歳の少年です。自分の病気を知ったとき、悲しみ、怒り、恐怖、混乱、いろんな感情がダギーの中に湧き起こったことでしょう。
「人生に偶然はない。今ここに生きていることは、必然なのです」
ロスはダギーに返事を書きました。ダギーは、この手紙を受け取ってから元気を取り戻し、余命宣告から4年後の13歳まで立派に生き抜いたのだそうです。その返事の内容が1冊の絵本『ダギーへの手紙』(佼成出版社刊)になっています。ロスは人間をたんぽぽの種やちょうちょにたとえて、いのちの世界を表現しています。本の中から、返事の一部をご紹介しましょう。
「神さまは、たんぽぽがどこにとばされるかをきめる風をおこしていること。神さまは、たんぽぽの種をたいせつにおもっているのとおなじように、すべてのいきもの とくに、子どもたちをたいせつにおもっているのです。だから、人生にはぐうぜんというものはないのです」
「この世でやらなければいけないことをぜんぶできたら 私たちはからだをぬぎすてることがゆるされるのです。そのからだはまるでさなぎがちょうちょをとじこめているように 私たちのたましいをとじこめているの。そして、ちょうどいい時期がくると私たちはからだからでて自由になれるのです」...
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