伝説の「カフェ・ロッタ」元オーナー・桜井かおりさん

50代からの「幸せなふりはしない」生き方

公開日:2024.02.06

更新日:2024.02.08

東京・松陰神社前駅にあった伝説のカフェ「café Lotta(カフェロッタ)」。このカフェの元オーナーで文筆家の桜井かおりさんのライフスタイルに、大人女性から注目が集まっています。多くの人の心を惹きつける、かおりさんの魅力に迫ります。

桜井かおりさん
桜井かおりさん(撮影=西嶋祐二)

桜井かおりさんプロフィール

桜井かおり(さくらい・かおり)
文筆家。1963年、福岡生まれ。大手損害保険会社のOLなどを経て、2001年3月、東京・世田谷に「café Lotta(カフェロッタ)」をオープン。来る人を笑顔にするアイデアあふれるメニューや接客、おしゃれな店内に惹かれ、全国各地からファンが集まる人気店に。カフェ建物の老朽化による取り壊しのため、2021年9月に惜しまれつつ閉店。最新刊に『マダム・ロッタとパリ行かない?』(旭屋出版刊)

伝説のカフェ「カフェロッタ」とは?

「もしかして…桜井かおりさんですか?」

撮影中、かおりさんと一緒にいると、こんなふうにいろいろな人から声を掛けられます。「うん、そう!」。気さくに応えて数分は話し込むかおりさん。その都度「今の方、お知り合いですか?」と尋ねると、答えはだいたい同じ。「ううん、私ははじめましてだった(笑)」

時には、「かおりさんにやっと会えた!」と涙する人もいます。そんな場面を目の当たりにすると、今や「伝説」と言われる名店「カフェロッタ」そのものだけでなく、かおりさん自身がいかに多くの人を惹きつけてきたのかが伝わってきます。 今は訪れることの叶わない「カフェロッタ」。そこは一体どんなカフェだったのでしょうか。

桜井かおりさん「café Lotta(カフェロッタ)」
惜しまれつつ2021年9月に閉店した「café Lotta(カフェロッタ)」。閉店前は連日全国各地からファンが駆けつけ、開店前から行列ができていたそう(かおりさん提供)

「ラテアート」で“カメラ女子の聖地”に

「カフェロッタ」は、かおりさんが幼い子ども2人を育てながら、東京・世田谷の松陰神社前に2001年に開店。「夫がカフェを営んでいたのですが、とっても楽しそうに働いていたのを見て、いいなぁ、いつかは私もやってみたいなぁと思っていたんです」

メニューは、コーヒー、紅茶をはじめ、手作りのプリンや焼き菓子など。7坪のこぢんまりした店内は、いつも満席。「カフェロッタ」が一躍話題になったのは、カプチーノの泡にサッと絵を描いた写真が雑誌の表紙になったことがきっかけでした。

当時はまだ広まっていなかった「ラテアート」を目当てにした行列ができるようになり、“カメラ女子の聖地”と言われるようになりました。

桜井かおりさん・カフェロッタ
「カフェ ロッタ」で提供していたカフェラテ(かおりさん提供)

そんなかおりさんの遊び心のあるおもてなしは、他にも。ドリンクに添えるスプーンの上には、笑顔に型抜きした「スマイルクッキー」を乗せたり。

ショップカードには「またきてね。」だけでなく「またきたの?」というメッセージが書かれたレアカードを忍ばせたり……。思わず笑顔になる仕掛けがあちらこちらに散りばめられていました。

お客さんの中には、帰り際にお店の感想を手紙にしたためて置いていく人もいたのだそう。中には「かおりさんのそばにいると幸せになれます」というメッセージも。「『お客さんからの置き手紙なんてなかなかないよ』と同業者に驚かれたこともありました」(かおりさん)

桜井かおりさん「カフェ・ロッタ」
「カフェロッタ」の店内。店名が入ったタイルは、かおりさん自身が貼ったもの(かおりさん提供)

 「華のある女性でいたい」が原点

訪れた人の心を明るく灯し、幸せなひとときを提供する。そんなかおりさんの接客の原点には、子どもの頃、母親からかけてもらった言葉があるのだと言います。

「私の実家は、カーブを曲がったところにあって。ある日、学校帰りに母が家の前で待っていてくれたんですが『かおちゃんが曲がってくるのが見えると、かおちゃんの歩く道がパッと明るくなるの。あなたには華があると思うわ』って言うんです。その母の言葉がずっと頭に残っていて、私の自信になっています。いるだけで周りの人が笑顔になって、その場が明るくなるような、そんな『華のある女性』でありたいなと思い続けてきました」(かおりさん)

そんなかおりさんの魅力の一端を知ることができるのが、「kaorilotta」のユーザーネームで投稿するInstagramです。フォロワーは3.8万人(2024年1月末現在)で、今も続々と増えています。

「幸せなふりはしない、カッコつけない、人を嫌な気にさせない」が、かおりさんの投稿のモットー。カフェオーナーだった当時から始め、現在は食べた物や好きなカフェのこと、出会った人のこと、旅先の話などほぼ毎日更新し、背伸びをしない自然体の写真と言葉に、元気をもらえます。

例えば、ある朝の投稿。白地に真っ赤なハートがいくつもプリントされたハンカチが1枚。その写真に添えられたメッセージは「おはよー。きょうのハンケチはハートで溢れてる(ハートの絵文字)。このハンケチのような人になりたい。Heartful」

桜井かおりさんのInstagramより:ハートのハンカチ
「ハートで溢れたハンケチ」の投稿(Instagramより)

インスタで還暦の赤いドレスが大バズり!

還暦記念のバリ旅行からの投稿では、真っ赤なドレスを着て、熱帯雨林を眼下に悠々とブランコに乗っている写真を投稿。その姿はさながらサーカスの空中ブランコの曲芸師のよう。斬新なかおりさん流の還暦の迎え方に「絶対真似します」「還暦の目標ができた」など多くの賛同コメントが寄せられています。

桜井かおりさん:インスタで還暦の赤いドレスが大バズり!
バリ島での還暦を記念した「空中ブランコ」(Instagramより)

現在はトークショーやInstagramを通じてファンの日常を照らし続けているかおりさん。

「仕事もプライベートも、どうせなら楽しまなくちゃ。みんなが日常の中にあるちっちゃな楽しみに気付くきっかけになれたらいいな」

次回の「インタビュー後編」では、桜井かおりさんのファッションや、暮らしを心地よく回すためのこだわりを紐解きます。


取材・文=小林美香(ハルメク365編集部)、撮影協力= YELLOW KOMAZAWA KOEN

「おしゃれさんスナップ」撮影中の桜井かおりさん
ハルメク365で配信中の「おしゃれさんスナップ」撮影中には、カメラに向かってこんなお茶目な表情も

桜井かおりさんも登場している動画連載「おしゃれさんスナップ」もチェック♪

桜井さんの「おしゃれさんスナップ」

>>「おしゃれさんスナップ」はこちら

★桜井かおりさんのInstagram@kaorilotta

ハルメク365編集部

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