外出が認められるケース・認められないケース

老人ホームに入居後も外出はできる?外出時の注意点

坂本 愛(ハルメク 介護と住まいの相談室 )
監修者
社会福祉士/ハルメク 介護と住まいの相談室 相談員
坂本 愛

公開日:2023.12.30

老人ホームの入居後、外出が一切できなくなるわけではありません。しかし、介護が必要な方を対象にしたところでは、外出に制限が設けられている場合がほとんどです。外出が認められるケース・認められないケース、外出・外泊をする時の注意点を解説します。

老人ホームに入居した後も外出はできる?

老人ホームに入居したからといって、それ以降、外出が一切できなくなるわけではありません。自立の方向けの老人ホームでは外出が自由に認められていることが多く、入居者がご自分の生活を楽しむために、買い物や旅行などの外出を自由に行えるホームも存在します。

しかし、介護が必要な方を対象とした老人ホームでは、外出に制限が設けられているケースがほとんどです。これは、外出先での徘徊や怪我、容態の変化、感染症のリスクを避けるための措置です。

例えば、ベネッセスタイルケアでは「外出・外泊の際には、事前にスタッフへお声掛けください。買い物やご旅行などを自由に楽しまれているご入居者様もいらっしゃいます」としており、外出を楽しむ入居者も多くいます。

外出はいつでも自由にできるわけではなく、「新型コロナウイルスワクチン接種などの条件があります。また、ご体調によっては外出を控えていただく場合もあります」という条件を設けています。

老人ホームに入居した後も外出を繰り返したい方は、老人ホームのルールや条件を事前に確認しておくことが大切です。

外出が認められるケース・認められないケース

外出が認められるケース・認められないケース

介護が必要な方を対象にした老人ホームに入居しているからといって外出が完全に禁止されるわけではありませんが、すべての外出希望が通るとは限りません。外出が認められるケースと認められないケースに分けて、それぞれ解説していきます。

外出が認められるケース

外出が認められるには、ご家族など付き添いが必要です。事前に適切な申請を行い、同伴者がいれば外出が許可されます。

ご自分で外出できる方なら、目的地が近く、状態が安定しているときに外出が認められることがあります。医療機関への通院や近場での買い物など、日常的な外出も含まれます。

感染症対策を徹底している場合、自宅以外には立ち寄らない、不特定多数との接触を避けることなどが、外出許可の条件になる場合があります。

外出が認められないケース

家族などの付き添いがなく、一人での外出は認められないケースが多くなります。また、日常的に医療処置が必要な場合や、認知症を患っていて外出が安全でないと判断される場合も、基本的に外出は認められません。

老人ホームでの外出は、入居者の安全と健康が最優先されます。したがって、外出を希望する場合は各施設のルールやご自分の健康状態を考慮して、事前に適切な手続きを行う必要があります。

外出・外泊をする時の注意点

外出・外泊をする時の注意点

老人ホームから一時的に離れる際、特に外出や外泊をする場合にはいくつかの注意点があります。

  1. 外出先の医療機関を必ず確認しておく
  2. 食事が不要な場合は早めに伝える
  3. 移動方法を決めておく
  4. 外出・外泊時も利用料金が発生する

安全に外出を楽しみたい方は、これらの注意点を押さえておきましょう。

注意点1.外出先の医療機関を必ず確認しておく

外出先で体調を崩したときに備え、周辺の医療機関を事前に確認しておくことが大切です。万が一の緊急事態に迅速に対応できるよう、緊急時の受け入れに対応している医療機関の連絡先、住所、アクセス方法などを調べておきましょう。

できる限り体に負担をかけないように計画を立てることも重要です。外出には危険が伴うケースがあります。移動距離が長い場所への訪問や体力を消耗する活動は避け、ご自分の体調に合わせた行動を心掛けましょう。

注意点2.食事が不要な場合は早めに伝える

外出中の食事も制限がある場合があります。また、外出や外泊により老人ホームでの食事が不要になる場合は、わかった時点で早めにその旨をホームに伝えるようにしましょう。

連絡を怠ると不在でも食事が用意され、食べなくてもその分の食費が請求される場合があります。老人ホームによっては食事のキャンセルや変更に数日前までの申請が必要なところもあるため、外出や外泊の計画を立てる際には食事にも注意を払うようにしましょう。

注意点3.移動方法を決めておく

老人ホームからの外出時には、移動方法の事前準備が重要です。多くの場合、ご家族による送迎か介護タクシーを利用することになります。

介護タクシーを利用する場合は事前の予約が必要となり、その時の予約状況次第では希望の日時に対応できないこともあります。そのため、できるだけ早めに移動方法を決定し、必要に応じて介護タクシーの予約を行うことが大切です。移動方法を事前に決めておけば、スムーズで安全な外出が可能となります。

注意点4.外出・外泊時も利用料金が発生する

外出・外泊をして老人ホームにいない時間があったとしても、家賃相当分や管理費などの利用料金は発生します。数日間の外泊をした場合でも、食費(食材費)を除き、期間中の利用料金を支払う必要があります。

老人ホームの利用契約は、基本的に居住スペースの確保や施設の設備・サービスの提供に基づくため、在宅状態に関わらず費用が発生するのです。外出や外泊を計画する際はこの点を考慮しましょう。

入居前に外出条件を確認しよう

老人ホームに入居した後も外出を楽しみたい方は、外出の条件が厳しくなく、頻繁に外出できるところを選びましょう。特に介護が必要な方を対象とした施設では、安全性や健康管理の観点から外出に制限が設けられています。

自宅への一時的な宿泊や買い物、観光など、定期的な外出を希望する場合は、入居前にそのことを伝え、外出できるようにしましょう。もし制限の厳しい老人ホームに入ってしまうと、なかなか外出できなくなります。


外出が自由な老人ホームをお探しなら、知識が豊富なスタッフに相談できる「ハルメク 介護と住まいの相談室」をご利用ください。どんな条件で、どのくらいの頻度で外出したいのか、ご希望をうかがいながら、入居先を提案します。

 

記事監修:坂本愛さんのプロフィール

坂本愛さん

さかもと・めぐみ 社会福祉士。急性期病院のメディカルソーシャルワーカーとして受診相談や退院支援業務を経験。退院後に必要なケアをもとに、ご自宅での療養生活のアドバイスや、介護施設の紹介を実施。雑誌『ハルメク』の記事執筆にも携わる。

ハルメク365編集部

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