通常日とイベント日の食事メニュー・よくある不満

老人ホームの食事はおいしい?確認すべきポイント5つ

坂本 愛(ハルメク 介護と住まいの相談室 )
監修者
社会福祉士/ハルメク 介護と住まいの相談室 相談員
坂本 愛

公開日:2023.07.28

入居者にとって食事は、日常生活の中で最も楽しみな要素の一つです。老人ホームの運営企業もそれを認識しているため、各ホームは食事で特長を出そうとしています。本記事では、通常日・イベント日の献立例、入居時に確認すべきポイントを解説します。

老人ホームを選ぶ際は食事に注目すべき

老人ホームを選ぶ際は、必ずそのホームの食事に注目しましょう。なぜなら、食事は日常生活の中で最も楽しみなことの一つだからです。

運営企業も食事の重要性を認識し、それぞれの住まいが特長を出そうと工夫しています。そのため、それぞれの住まいで食事の特長や提供される献立・メニューが異なります。

食事は健康を維持するための重要な役割も、精神的に満足感を得るための役割も担っています。しっかり食べることで必要な栄養素を摂取でき、健康寿命を延ばすことにも繋がるため、食事は重要なのです。

食事形態は嚥下(えんげ)能力によって異なる

老人ホームで提供される食事は、すべての入居者が同じメニューとは限りません。入居者の嚥下能力により食事形態は異なります。

嚥下能力とは、食べ物を噛む力や飲み込む力のことです。総合的な嚥下能力に応じて、以下のように食事形態が変化します。

食事形態と嚥下能力

これらの食事形態は、施設により呼び方が一部異なります。食事形態のほか、入居者の状況に応じて塩分制限食、低糖質食、カロリー制限食が提供される場合もあります。

バラエティー豊かな食事メニュー|代表的な献立

バラエティー豊かな食事メニュー|代表的な献立

老人ホームでもバラエティー豊かな食事が提供されています。その代表的な献立を、通常日とイベント日に分けて紹介します。

通常日の献立例

通常日には、和食から洋食まで幅広い食事が提供されます。入居者に飽きを感じさせないために、同じ献立が連続しないよう配慮され、朝食・昼食・夕食でバランス良くメニューが決められます。また、メニューは管理栄養士が栄養を計算して決めているため、必要な栄養素を必要な分、取ることができます。

毎月の献立を写真付きで公表している老人ホームもあります。介護付有料老人ホームの「SOMPOケア ラヴィーレ」では、公式サイトで毎月の献立表を公開中です。例えばこのような食事メニューがあります。

献立例

参考:【SOMPOケア ラヴィーレ】7月の献立表 (※2023年6月時点)

イベント日の献立例

お正月やクリスマスには、特別な食事が提供され、「イベント食」と呼ばれます。季節のメニューやお菓子・デザートが出てくるなど、季節を感じながら、特別な食事を味わえます。

SOMPOケア ラヴィーレ」も、イベント日には豪華な特別メニューが提供されます。例えば、以下のような特別御膳が出てきます。

イベント日の献立例

参考:【SOMPOケア ラヴィーレ】7月の献立表 (※2023年6月時点)

老人ホームの入居時に確認すべき5つのポイント

老人ホームの入居時に確認すべき5つのポイント

老人ホームの日常生活で食事は特に重要なので、入居するホームの食事について、事前に把握しておく必要があります。見学前に食事のことを尋ねておき、できれば、試食付きの見学を行いましょう。

本項では、老人ホームの入居時に確認すべき5つのポイントを解説します。老人ホームへの入居を検討している方は、以下のポイントを予め押さえておきましょう。

1.味が好みに合っているのか

まず第一に確認すべきなのは、食事の味がご自身の好みに合っているかどうかです。老人ホームによって食事の味付けや食感はさまざまなので、場合によっては「おいしくない」と感じる可能性があります。

入居後の食事は一日の楽しみであり、健康状態を保つ上でも非常に重要です。老人ホームを見学する際には、できるだけ実際に提供されている食事を試食し、ご自身の好みに合っているのかご確認ください。

試食をすることで、味付けや食材の質、食事の満足度を判断できます。味に満足できない場合でも、運営会社が改善に積極的かを確認しましょう。

2.食事形態の種類は多いか

食事形態の種類にも注目しましょう。老人ホームでは、入居者一人一人の嚥下能力や食事制限に合わせた食事が必要となりますが、すべての種類には対応できないところもあります。

どのような食事形態が提供可能なのか、食事形態が変わっても食感や味を楽しめるのか、もポイントとなります。

  • 嚥下しやすい食事は提供されているか
  • ミキサー食も十分においしいか
  • 増粘剤(とろみ剤)はしっかりと混ざっているか

食事形態は、口腔機能や嚥下機能が低下した後に大切なポイントとなります。

3.生産者や調理師の顔が見えるのか

食事において、生産者や調理師の顔が見えるのかも重要なポイントです。食材がどこから来ているのか、調理はどのように行われているのかを知ることで、食事する際の安心感が格段に向上します。

その上で、提供される食事の調理過程や食材の生産背景を把握できれば、食事の満足度を高められるだけでなく、食事への深い敬意や感謝の気持ちを持つきっかけにもなります。特に地元の生産者が関与している場合、その地域の風土や季節感を食事で体験することが可能です。

4.食事環境は明るく清潔なのか

4つ目のポイントは、食事環境は明るく清潔かという点です。食事を快適に楽しむためには、ダイニングや居室の環境が明るく、清潔であることが求められます。

食事環境が整っていると食欲を誘い、食事に対する喜びを引き立ててくれます。一方で、不衛生な環境だと食欲が低下し、かえってストレスが溜まってしまいます。老人ホームを見学する際には、以下のようなポイントを確認しましょう。

  • 朝食・昼食のときにカーテンは開いているか
  • 床も十分に清掃されているか
  • テーブルの上に余計なものは出ていないか
  • 食事後の食器はしっかり片付けられているか

感染症などのリスクを抑え、安心して食事を行うためにも、老人ホームの食事環境にぜひ注目してください。

5.セレクト食はあるのか

老人ホームを選択する上では、セレクト食があるのかも重要です。セレクト食(選択食)とは、メニューの中から好みの食事を選べるシステムのことで、食事への満足度が高まります。自分の好みに合わせて食事を選べることが、食事の楽しみを増やすのです。

また、セレクト食により入居者の嗜好をより細かく反映させることで、栄養素をバランス良く摂取でき、健康状態の維持にも繋がります。

老人ホームの食事でよくある不満

老人ホームの食事でよくある不満

老人ホームの食事に、入居者が不満を抱くことがあります。老人ホームの食事でよくある不満を「食事内容」と「サービス内容」に分けて解説します。

食事内容の不満

高齢者住宅経営者連絡協議会が2014年10月に公表したアンケート調査「高齢者住宅における食事サービスについて」によると、以下のような不満が挙がっています。

食事内容の不満

参考:高齢者住宅における食事サービスについて|高齢者住宅経営者連絡協議会

サービス内容の不満

食事時のサービスにも、さまざまな苦情が寄せられています。サービス内容への不満で多いものは以下の通りです。

  • 配膳の順番を間違える
  • 食べ終わった食器がなかなか下膳されない
  • 配膳時にカップの飲み口に手が付いている
  • 髪やビニールが食事に混入している

食事を大事にする方は多く、不満も抱きやすいもの。不満にならないよう、見学時にしっかり見たり、入居者の声を聞きましょう。

老人ホームを選ぶ際は必ず食事をチェックしよう

入居者にとって食事は日常生活の中で最も楽しみな要素の一つであり、運営企業もそれを認識しています。そのため、それぞれの住まいが工夫をこらし、特長のある食事を用意しています。入居前の見学時に試食したり、体験入居をしたりして、入居前に食事のことを把握しておくと、入居後の不安を減らせます。


食事に力を入れるシニア住宅をお探しなら、知識が豊富なスタッフに相談できる「ハルメク 介護と住まいの相談室」をご利用ください。多くの選択肢の中から、ご自身に合った住まいを見つけましょう。

記事監修:坂本愛さんのプロフィール

さかもと・めぐみ 社会福祉士。急性期病院のメディカルソーシャルワーカーとして受診相談や退院支援業務を経験。退院後に必要なケアをもとに、ご自宅での療養生活のアドバイスや、介護施設の紹介を実施。雑誌『ハルメク』の記事執筆にも携わる。

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