ライフプラン

2024年11月30日

ライフプラン表の作り方を解説!

ライフプランとは? 老後に必要なお金を把握しよう

人生100年時代、リタイア後はこう過ごしたいな、など漠然としたビジョンをお持ちの方も多いのではないでしょうか。それを具体的に計画にしてまとめたものが「ライフプラン」。シミュレーション法やライフプラン表の作り方を解説します!

【記事監修】小川貴行(おがわ・たかゆき)さん

小川 貴行(おがわ たかゆき)

小川貴行
CFP®認定者、日本証券アナリスト協会認定アナリスト
愛知県出身。関西学院大学商学部を卒業後、証券会社・生命保険会社を経て現在は家計の見直し相談センターで家計・資産運用・保障のコンサルティング、講演などに従事。

「ライフプラン」人生をどう過ごしたいか

ライフプランとは

「ライフプラン」という言葉を耳にしたことがある人も多いでしょう。ライフプランとは、自分の人生をどんなふうに過ごしていきたいのか、その計画をまとめたものをいいます。

例えば「3年に1回は海外旅行に行きたい」「65歳までは働きたい」「リタイア後は友人と趣味の教室に通いたい」など、これからの人生についてやってみたいこと、理想とするライフプランがあると思います。そのような計画は、思っているだけでは叶えることは難しいため、いつ、どんなことをやりたいのか計画を立てることが、ライフプランの目的です。

人生100年時代と言われるほど、寿命が長くなった今だからこそ、男性で約83歳、女性で約88歳までは生きることを想定してライフプランを立てる必要があります。ライフプランを立てれば、その計画を実行するために必要なお金も見えてくるので、目標に合わせて、いつから、いくらお金を貯めればいいか、ということもわかってきます。

ライフプランをシミュレーションする

ライフプランシミュレーションをする

ライフプランについて初めて知った人は、「自分で一から作るのは大変……」と思うかもしれません。しかし、ライフプランを簡単にシミュレーションできるサービスがインターネット上にたくさんあります(日本FP協会や、金融庁のウェブサイトなど)。ライフプラン表はキャッシュフロー表とも呼ばれています。詳細はサービスごとに若干異なりますが、自分や配偶者の年齢、職業、収入、子どもの人数、貯蓄額などをガイドに従って入力するだけ。そうすることで、自動でライフプランを設計し、その診断結果が表示されます。

ライフプラン表では、年齢ごとの収入と支出、貯蓄残高の目安も出るのが一般的で、自分の将来の貯蓄残高状況の推移などをイメージすることができます。また、赤字や黒字になる場合も見えてくるため、老後資金として自分でこれからいくら準備する必要があるのか、ということもわかります。

ライフプラン表を作る

ライフプラン表を作る

インターネット上にあるライフプラン表を使ってシミュレーションする他、ライフプラン表を自分で作ることもできます。ライフプランを簡単にシミュレーションできるウェブサービス同様、インターネット上にはライフプラン表を自分で作るためのテンプレートが無料でダウンロードできるサービスも数多くあります。これらを利用すれば、自分独自のライフプラン表ができます。ライフプラン表の作り方のおおまかな手順は次の3ステップです。

手順1:目標を設定する

ライフプラン表を作る上で大切なのが、老後をどんな人生にしたいのか、どんな生活を送りたいのか、その目標を立てることです。これがライフプラン表のベースとなります。目標は1~2年の短期目標から、3~5年の中期目標、6~10年までの長期目標に分けて、それぞれ書いていきましょう。

このときの目標は、漠然とした内容ではなく、できるだけ具体的な内容を記載することがポイントです。例えば「温泉旅行に行きたい」ではなく、「1年に1度は家族みんなで温泉旅行に行く」という具合です。目標に数字も入れて具体化することで、その目標を現実的に捉えていくことができるようになります。

手順2:ライフイベントを入力する

目標を設定したら、次は家族構成とそれぞれの年齢も入力していきます。そして、これから起きる人生の出来事(ライフイベント)を入力していきます。50代の方なら、子どもの高校入学、高校卒業、大学入学、大学卒業、独立、介護、リタイア(退職金の有無)などがあるでしょう。

また上記以外にも、「3年に1回は旅行に行きたい」「5年おきに新しい車に買い換えたい」「10年後に自宅をリフォームしたい」など、今後の希望する出来事も合わせてライフプラン表に記載していきます。

さらに、ライフイベントと合わせてそれに必要な金額も入力しましょう。子どもの教育資金(高校3年間や大学4年間の費用)、結婚祝い、車の購入額、旅行費用、葬儀費用等、家のリフォームや住み替え、などを洗い出していきます。金額がわからない場合は、インターネットなどで平均金額を調べて予想した金額で構いません。

手順3:収入と支出、現在の貯蓄残高を入力する

収入と支出、現在の貯蓄残高を入力する

最後は、家族の収入と支出、現在の貯蓄残高の入力です。収入は、想定される給与やボーナス、退職金、公的年金などが該当します。このとき大切なのは、給与明細や源泉徴収票に記載されている額面の金額を入力するのではなく、手取り額を入力すること。実際に収入として手にするお金は額面上の金額ではないため、手取り額を入れることが大切になります。なお、財形貯蓄制度など給与天引きで貯蓄している分については手取り額にプラスして入力し、個人年金保険等に加入している方は、将来の受取予定金額を入力します。

また、定年退職後に再雇用になる場合の収入減、年金生活に入った後の収入減についても考えなければなりません。毎年誕生月に送られてくる、ねんきん定期便から将来の年金見込額を大まかに計算することができます。 

支出は、基本的な生活費や住宅ローン返済などの住居費、教育費、車両費、保険料などをまとめていきます。住宅ローンの返済予定についてもライフプラン表に入力しましょう。また、手順2で作成したライフイベントで必要な資金については、一時的な支出として入力しましょう。

そして、現在の貯蓄残高を入力しましょう。現在ある預貯金や株式、投資信託などの現在の時価を含めた合計額を入力します。なお、毎月積み立てなどで定期的に貯畜を行っている分については改めて入力する必要はありません。収入額と支出額がきちんと入力されていればその差額が貯蓄できているということになります。

最後に、この作成したライフプラン表上の年間支出額の合計が、実際の支出額と合っているかどうかをチェックする必要があります。実際のところ、支出額を細かく把握しておくことはとても難しく、多くの場合支出の計上漏れが出てしまいます。そこで、貯蓄残高から逆算して実際の支出額を計算してみることをおすすめします。

例えば、1年前の貯蓄残高が500万円、現在の貯蓄残高が520万円、そして意識的に積み立てた1年間の貯蓄額が50万円だとします。そうすると、確かに50万円積み立てたはずなのに結果的に20万円しか貯蓄残高が増えなかったということは、1年間で手取収入プラス30万円分の支出があった、ということになります。こうした計算をもとに支出の計上漏れがないかどうかチェックしておきましょう。

これでライフプラン表は完成です。

資金不足の場合は?

資金不足の場合は

ライフプラン表が完成したら、収入と支出を見たときに赤字になる年がないかどうかを確認できます。赤字が毎年続くようになってしまった場合は、貯蓄を取り崩すことになります。

もし赤字額が大きくなるようなら、「毎年温泉旅行に行きたい」という目標を「3年に1回温泉旅行に行く」と変更するなど、目標の微調整を行いましょう。また、将来の生活で資金不足になるとわかったら、解決法を考えましょう。毎月少額でもコツコツと貯金をすると、5年後や10年後の生活が変わってくるものです。ここでは将来の資金不足の解決策として、次の4つの方法をご紹介します。

生活費・固定費の見直しをする

生活費・固定費の見直し

まずは、貯蓄できる家計にすることが先決です。赤字になるということは、収入よりも支出が多いということ。そうであれば、収入の範囲内で生活をする必要があります。そこで、もう少し出費を抑えられないか見直しを図ってみましょう。

毎月の支出で特に見直すべき部分は、住居費や保険料、通信料などの固定費です。固定費は一度削減すれば、その効果が努力することなくずっと得られることになります。
例えば、家計には見合わない保障が大きすぎる保険プランに入っていないか見直しを行ったり、携帯電話の契約を格安スマホに替えたり、家族全員でお得なプランに入ったり、固定費を削減する方法は数多くあります。また、余計な交際費や外食費がかかっているなら、その頻度や予算を少なくするなど、支出額を減らすように考えてみましょう。

積立貯金をする

積立貯金をする

こうして生活費・固定費の見直しによって貯蓄できるようになったら、次は自動的にお金が貯まる仕組みを作りましょう。まずは、積立貯金のような低リスクでもコツコツと堅実にお金を貯められる方法が最適です。毎月給料日と同じ日かその近くに自動引き落としを行うと、先取貯金ができます。

これなら貯金が苦手な方でも、自然とお金が貯まっていきます。例えば55歳から65歳まで毎月5万円を10年間貯めたら、合計で600万円になります。50歳から65歳までの15年間なら900万円になるので、老後資金の大きな足しになるはずです。

収入を増やす

収入を増やす

生活費の出費を見直すのと同時に、収入を増やす方法についてもぜひ考えてみましょう。最近は副業を行っている人も増えていますし、副業を認める企業も増えています。パートを行っている人は労働時間を週に2日から3日に増やすなど、収入増となる手段について検討してみることをおすすめします。

さらに、リタイアする年齢についても考えたいところ。定年退職の年齢が会社で決まっている場合、リタイア後は週に数日程度アルバイトを行うなど、収入を持続させることも一案です。

資産運用に慣れておく

資産運用に慣れておく

退職後、年金生活に入ると収入額が増えることはありません。自助努力が求められている昨今、50代からは30年後にも使える資産が残っているように、「お金にもある程度働いてもらう」必要があります。退職金が入ってから資産運用を考えたりするものですが、よくあるパターンは、金融機関にすすめられるままの商品に退職金をつぎ込んで失敗するということ。

資産運用には想定外のリスクがつきものです。先々に期待して投資したものの、途中で経済ショックに巻き込まれてしまい、「こんなはずじゃなかった」なんて結果は避けなければなりません。失敗をできるだけ避けるコツは「長期」「分散」「積立」です。

資産運用初心者の場合、まずは失敗しても仕方がないと思えるくらいの少額から積立投資にチャレンジしてみましょう。月々数百円からスタートが可能な金融機関もあります。こうすることで資産運用・世界のマーケットの値動きに慣れることができ、値下がりしたときにどう対処すればよいかが冷静に判断できるようになり、失敗しにくくなります。商品選びに迷ったら運用コストが比較的安い「インデックスファンド」から始めることをおすすめします。

まずは支出を見直して貯蓄できる家計にし、毎月貯蓄する額の一部をこうした積立投資に振り向け、できるだけ早く資産運用に慣れておくことがポイントです。
 

ライフプランは快適なセカンドライフの第一歩

人生100年時代といわれる今、リタイアしてからの人生が30年以上になる人もたくさんいます。そのセカンドライフを快適なものにするためには、今のうちから人生設計を作っておき、それに基づいたマネープランを立てる必要があります。充実した老後を送るためにも、ぜひライフプラン表を作ってみませんか?

※この記事は2020年7月の記事を再編集して掲載しています。

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HALMEK up編集部
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