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- ソレ使いすぎ!親から子へのダメな経済援助を見直そう
家族をとりまくお金の問題。誰に相談すればよいかわからず、一人で抱えてしまっている人もいるのでは?そこで、親から子への経済的にダメな援助・いい援助について、読者のお悩みを元にお金のプロと家族問題のプロに3回にわたりお答えいただきました。
教えてくれたのは、お金と家族問題の2人のプロ!
畠中雅子(はたなか・まさこ)さん
ファイナンシャルプランナー(CFP(R))。1963(昭和38)年生まれ。大学時代にフリーライター活動をはじめ、1992年にファイナンシャルプランナーになる。「高齢期のお金を考える会」や「働けない子どものお金を考える会」などを主宰。『70歳からの人生を豊かにするお金の新常識』(高橋書店刊)他、著書・監修書は70冊を超える。
宮本まき子(みやもと・まきこ)さん
家族問題評論家、カウンセラー。1947(昭和22)年生まれ、津田塾大学卒業。79年から22年間、主婦の友社の電話相談室で育児、親子関係、家庭問題などのカウンセラーとして勤務。現在はフリーライター、エッセイストとして著作のかたわら、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどでコメンテーターとして活躍。『孫ができたらまず読む本』(NHK出版)『輝ける熟年』(東京新聞出版局)など著書多数。
貯蓄は減る世代……子世帯への援助にはメリハリを!
年金生活が始まったばかりの頃は、退職金や貯蓄に余裕があり、あれこれ子どもに援助しがち。でも、援助額が増えていく一方、貯蓄は減っていきます。早い段階から、メリハリのある援助を心掛けましょう。
今回は読者のお悩みを「ちょこちょこ援助」「経済不安援助」「ひきこもり援助」の3つのケースに分けて、紹介します。それぞれのケースについてお金のプロ、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんと、家族問題のプロでカウンセラーの宮本まき子さんからアドバイスをもらいました。
※質問者はすべて仮名です
ちょこちょこ援助がつらくなってきた3事例
Q.近居の子ども家族が夕食を食べに来ます。食費を出してもらう、うまい言い方があれば…… ――佐藤英子さん(69歳)
A.まわりくどい言い方はダメ。単刀直入に相談してみましょう
お子さんは何十年も自分の家で無料でご飯を食べ慣れているため、自分たちの食費があなたの家計の負担になっているとは思っていないかもしれませんね。お金の話は、まわりくどく言うよりストレートに伝える方が、後くされなく解決できます。
例えば、お孫さんが小学生になり食事量が増えるタイミングで「ハル君もたくさん食べるようになったわね。1食当たり300円(学校給食の、人件費抜きの原価)くらいもらえると助かるわ」と具体的に相談してみては? ポイントは1食ごとにもらうこと。「月々いくら」では、給食がわりに毎日作ることになりかねません(宮本さん)
Q.遠方に暮らす子どもの帰省費用を出しています。もう払ってあげられません ――水野ふさえさん(74歳)
A. 「だんだん貯金が減って将来が心配で」と正直に伝えて
まず、預貯金を見直して、現状の援助額と、今後いくらまで援助できるのかを「見える化」しておきましょう。その上で、予算以上の支出になるなら「今年は他に大きな出費があったから、帰省費用を出すのは厳しいわ」と理由も含めて計算書を見せて正直に説明すれば、お子さんも納得するはずです。老後生活はやりくりだけではなく、資金計画をたてて、遂行する経営的なセンスも大事ですよ。
お子さん世帯は、自分たちの収入だけで暮らす「身の丈に合った生活」をすべきです。手助けがないと生活が成り立たなくなるようでは、援助できなくなったときに急に打ち切られて、逆に苦労させることになります(宮本さん)
Q.娘家族と会うたびに、外食費を負担したり、孫へおもちゃを買ったりしています。当たり前になってしまっているのかしら…… ――山本恭子さん(70歳)
A.ちょこちょこ援助は、「援助」と思われていないことが多い。入学祝いなど、節目の援助が喜ばれます
子どもたちに喜ばれるのは、入学式や卒業式、結婚式など、節目を迎える際のまとまった額のお祝い金です(下記ランキング参照)。一方、日々の交流で行われる「ちょこちょこ援助」は、親は無自覚にあげて、子どもは無自覚にもらいがちです。援助が「当たり前」になり、感謝の気持ちが薄れてしまいます。
援助が度を越して、逆にあなたの家計が破綻しては大変。援助したからといって、老後にお子さんに面倒を見てもらえるとは限りません。メリハリをつけることが必要です(畠中さん)
その「ちょこちょこ援助」、本当に必要とされている?
下にあるのは、援助してもらった子どもたちが「ありがたい」と思ったランキング。節目のお祝い金の方が、日々のちょこちょこ援助よりもありがたがられる傾向に。また金額が大きくなりがちな「帰省時の交通費」は意外にも低い順位。「本当に必要なものは何かを、お子さんと話し合ってみるのもいいでしょう」と宮本さん。
子どもがありがたいと思う援助ランキング
※アンケート回答者:65歳以上の親を持つ男女400人、「ハルメク 生きかた上手研究所」によるインターネットアンケート(2017年)
子どもが親から受けた援助について、「ありがたい」「当たり前」「迷惑だった」という選択肢から回答。「ありがたい」と答えた人が多かった項目順に並べた。
子どもがありがたいと思う援助
1位 大学の入学・卒業祝い
1位 高校の入学・卒業祝い
3位 七五三
4位 中学校の入学・卒業祝い
5位 結婚祝い
6位 出産祝い
7位 小学校の入学・卒業祝い
8位 住宅取得費
8位 孫の小遣い
10位 小遣い
11位 孫のお年玉
12位 孫の洋服
12位 孫のおもちゃ
14位 旅行代
15位 外食代
16位 帰省時の交通費
17位 買って(送って)きた食材
18位 光熱費
喜ばれるお祝い金|金額は自身の家計と相談を
※アンケート回答者:65歳以上の親を持つ男女400人、「ハルメク 生きかた上手研究所」によるインターネットアンケート(2017年)
子どもが親から受けた1回あたりの援助額について、数値を記入して回答。最低額と最高額を抽出した。
お祝いのお金、もらった金額は?
大学入学・卒業祝い…(最低額)3000円 (最高額)50万円
高校入学・卒業祝い…(最低額)1万円 (最高額)10万円
中学校入学・卒業祝い…(最低額)3000円 (最高額)20万円
小学校入学・卒業祝い…(最低額)5000円 (最高額)20万円
出産祝い…(最低額)2000円 (最高額)100万円
結婚祝い…(最低額)5000円 (最高額)500万円
住宅取得費…(最低額)1万円 (最高額)2000万円
子ども世代に、親からもらったお祝いの額を聞くと、最低額と最高額には大きな差がありました。「お祝い金をあげる際に気にするべきは、隣の家庭ではなく、自分の家計」と畠中さん。宮本さんは、「小学校の入学祝いの場合は5000~2万円を包むことが多いです。金額をはっきりさせたくないなら品物で贈るのがいいでしょう」と言います。
次回は、2つ目のケース「離婚などで経済的に不安を抱える子どもへの経済援助」について、読者の質問に答えます。
※この記事は雑誌「ハルメク」2020年3月号を再編集、掲載しています。
取材・文=井口桂介、児玉志穂、長倉志乃(すべて編集部) イラストレーション=伊藤ハムスター
■年金生活のお金の不安&リスクを減らす!■
【第1回】ソレ使いすぎ!子どもと孫に流れるお金を見直そう
【第2回】どうすべき?経済的不安を抱える子どもへの援助
【第3回】この先どうすれば…ひきこもりの子どもの将来が心配
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