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- 家の中のカビが原因?2つの病気とその症状
本格的な雨のシーズン、特に気を付けたいのが家の中に発生する「カビ」。知らないうちに体の中に取り込み、病気を引き起こすこともあるそう。真菌医学研究センターの矢口貴志さんに、カビが発生しやすい条件と注意したい2つの病気を教わりました。
矢口貴志(やぐち・たかし)さんのプロフィール
千葉大学真菌医学研究センター准教授。1961(昭和36)年生まれ。早稲田大学理工学部応用化学科卒業。食料品メーカー勤務を経て、2003年より現職。生活環境のカビ、特に病原性のカビを専門に研究している。わかりやすい解説に定評があり、「世界一受けたい授業」「あさイチ」などテレビ番組にも出演。
一日に1万個の「見えないカビ」を吸い込むって本当!?
じめじめする梅雨のこの時期、「今年も水回りなどのカビに悩まされるのか……」と憂うつな人も多いのではないでしょうか?
「カビが生えやすいのは、温度が20〜30℃、湿度が60%以上の環境です。まさに梅雨と9月の長雨の時期にはカビが繁殖しやすくなります」と教えてくれるのは、千葉大学真菌医学研究センターの矢口貴志さん。
カビが発生する条件
浴室などの湿った場所に発生する黒カビは目に見えますが、実はリビングや寝室など家の中の至る所に“見えないカビ”が存在しているといいます。
「一般の家では、1立方メートル当たり100〜1000個のカビが浮遊していて、私たちは1日に約1万個のカビを吸っているといわれています。個人差はありますが、たくさん吸い込むことで、花粉症のようなアレルギー症状の他、さまざまな病気を引き起こす可能性があります」と矢口さんは注意します。
風邪だと思っていた体調不良はカビが原因かも
カビが原因の病気1:夏型過敏性肺炎
カビが原因で起こる病気の一つに、湿気を好むカビ、トリコスポロンなどを吸い込むことで発症する「夏型過敏性肺炎」があります。
主な症状は、せきや微熱、痰など。夏風邪と似ているため、カビが原因だと気付かないまま放置している人が多いといいます。
「ただし夏風邪とは違う特徴もあります。家の中のカビが原因なので、自宅にいるとせきや微熱が出て、外出や旅行の間は症状が治まるのです。夏になると家でせきが続くという人は、医療機関の受診をおすすめします」と矢口さん。
【夏型過敏性肺炎の症状】
微熱が出る、乾いたせき、痰が出るなど、夏かぜと似た症状が長く続く
【夏型過敏性肺炎の特徴】
自宅にいると症状が続くが、外出時や旅行中には症状が治まる
カビが原因の病気2:アスペルギルス症
さらに怖いのが、ホコリの中に多いカビ、アスペルギルスが肺などに入り込んでしまう「アスペルギルス症」だといいます。悪化すると呼吸困難を引き起こし、命の危険もあります。
「健康な人ならアスペルギルスを吸っても発症しませんが、高齢者やがんの患者さんなど免疫力の落ちている人や、リウマチなどで免疫を抑える薬を服用している人などは注意が必要です」と矢口さんは助言します。
これらの病気を防ぐには、カビはもちろん、カビの栄養分となるホコリなどを減らすことが重要です。
次回は、すぐにできるカビ対策と徹底したい6つのポイントについてお伝えします。
取材・文=五十嵐香奈(ハルメク編集部) イラストレーション=古村燿子
※この記事は雑誌「ハルメク」2019年7月号を再編集し、掲載しています。
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【第1回目】家の中のカビが原因?2つの病気とその症状
【第2回目】少しの工夫で簡単に!家のカビ対策の6つのポイント
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