母の変化にとまどいながら

母80歳。認知症の始まり……?

公開日:2018.07.03

更新日:2018.08.31

心強い存在だった母が80代で認知症発症。また、難聴とリウマチを患う父。両親の介護を通じ、苦労したことや学んだこと、嬉しかったことなどを綴ります。今回は、母の認知症の始まりとその様子に戸惑う、当時の状況をお伝えします。

心強い存在だった母の変化

初めまして、栗原理代と申します。93歳の母と99歳の父の介護をしています。結婚して一年後に専業主婦になった私は、実家の近くに移り住みました。車で15分、電車では一駅の距離です。

私には3人の子どもがいますが、夫は仕事が忙しく、帰りはいつも子どもたちが寝入ったあとでした。ウイークデーは母子家庭のような生活だった上に、子どもたちは代わりばんこによく高熱を出し、お医者さん通いをしていました。心細く不安な私を、母はいつも支えてくれ、私にとってはとても心強く頼りになる存在でした。

そんな母は、80歳を過ぎた頃になると、同じことを何度も繰り返して言ったり、私が2、3日実家に顔を出さない日が続くと、私に嫌味っぽいことを言ってみたりと、年を取って気弱になったように感じられることが増えてきました。

父の入院をきっかけに……

初めて不安に思うことが起こったのは、父が90歳の時のことでした。父が風邪をこじらせて肺炎になり入院してしまったのです。精神的にショックを受けるような出来事をきっかけに、認知症の症状が出るという話を聞いたことがありますが、まさしく母にも同じようなことが起こりました。

父の担当の先生から「高齢者は何が起こるかわからないので、最悪のことも覚悟しておくように」と言われてしまいました。すると母は、心の整理がつかなくなってしまったのか、つじつまの合わないことを言い出したり、まだ退院でもないのに、病院から電話があって父が退院することになったと言ったりして、私たち家族を驚かせました。

幸い父は元気になり、退院することができました。母も落ち着きを取り戻しましが、その後も父が入院するたびに、母は同じようなことを繰り返し、その症状はだんだんひどくなっていきました。

 

公園

 

ベンチ

不安な気持ちを誰にも相談できず、一人悩む

この頃父は、母の変化に気づいてはいても、母に対して特に不安を感じたり、悩んでいる様子はあまり感じられませんでした。

しかし、この頃から両親の間に少しずつ気持ちの擦れ違いが出てきたような気がします。それまで仲のよかった二人が、たびたび口げんかをするようになりました。お互いに、思いが通じ合わなくなってしまったことへのいら立ちがあったのかもしれません。

私は、もしかすると母が認知症なのかもしれないという思いはあっても、決して認めたくないという気持ちのほうが強くありました。それは、大好きな母はいくつになっても元気でいてほしい、私のよき相談相手であってほしい、そんなふうに勝手に思っていたからだと思います。この頃の私は、年老いた母の変化にとまどい、深く傷ついていました。

それでも、この当時の私の苦しみは、今にして思えば、それほど大したものではなかったのです。このあと本格的に始まる介護の苦労など、当時の私は、まだ想像もしていませんでした。

次回は、このあとに起こった介護におけるエピソードについてお話ししたいと思います。

栗原理代

主婦です。両親の介護を通じていろいろなことを学びました。いずれは自分も通る道だと思うと、考えさせられることも多いです。趣味はサスペンスドラマを見ることと、スポーツクラブに行くことです。ほかに10年日記もつけていて、もうすぐ3冊目になります。どうぞよろしくお願いします。

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