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- 母が転倒。本格的に始まった介護
心強い存在だった母が80代で認知症発症。また、難聴とリウマチを患う父。両親の介護を通じ、苦労したことや学んだこと、嬉しかったことなどを綴ります。今回は母が2度の骨折。そこから本格的な介護が始まります。
それは2013年の強風の日、定期通院帰りの出来事
北風の強いとても寒い日、私は父からの電話で、高血圧などの薬をもらうための定期通院の際、母が強風にあおられて転倒したことを知りました。慌ててお医者さんに駆けつけ、医師から、そのとき周りにいた人たちが協力して連れてきてくれたこと、検査の結果打撲と診断されたことを聞かされました。痛がる母をやっとの思いで車に乗せ、実家に連れて帰りました。
しかし、痛みはかなり強く、少し動くのも辛そうで、骨折していないということに疑問を感じるほどでした。次の日からブロック注射を受けるために、毎日通院することになりました。
ところが、しばらく通っても一向によくならず、だんだん強い薬を処方されるようになり、不安は募るばかり。私は途方にくれました。
ある日私は、たまたま通りかかったデイサービスに立ち寄り、先の見えない不安な状況について相談してみました。すると、介護サービスがすべて実費になってしまうので、すぐに介護認定を受けることをすすめられ、早速市役所に申込みに行きました。
認定の結果を待つ間に、なんともう一度母が転倒!
介護認定をしてもらって、デイサービスに通うことを母に提案したのですが、母は断固としてそんなところは行きたくないと言い、頭から反対されてしまいました。そうはいっても、ほとんど寝たきりで入浴もできない状態でしたので、なすすべもなく、本当に困り果ててしまいました。そんなとき母は、再び家の中で転倒し、今度は救急車で病院に運ばれました。最初の転倒から6週間後の出来事でした。
大腿骨骨折で、人工骨頭置換え手術を行い、6週間の入院を余儀なくされました。この時の執刀医の先生の説明で、とてもおどろいたことがあります。それは、前回の転倒のときの骨折がもう治りかかっていると言われたことです。最初の転倒のとき、あれほど痛がっていた意味がようやく分わりました。かわいそうなことをさせてしまったと、胸が痛みました。
誤診に対する怒りもあったのですが、普通の町医者では小さな骨折は見落としてしまうことはよくあることらしく、なぜ大きい病院に連れていかなかったのかという後悔の気持ちのほうが強かったのです。
退院後、母はデイサービスに通うことに……
入院している間に介護認定が下り、ケアマネージャーも決まって、母はデイサービスに通うことになりました。ところが、このデイサービス通いがなかなか曲者で……。車いす生活になっていても、自分はまだまだ元気でしっかりしていると思っていた母でしたので、あんな年寄ばかりのところには行きたくないと言って、私たち家族を困らせました。自分で電話をして、今日は体調が悪いので休みますなどと言って、勝手に休んでしまったこともたびたびありました。
母のデイサービス通いは本当に苦労しました。自分で電話をかけて休んでしまったときは、その後、私が母の家に説得に行き、デイサービスまで連れていったことが何度かありました。また、スタッフの方に私が説得した後で迎えに来てもらったこともありました。
それでも、しばらく通っているうちにスタッフの方々とも仲良くなり、また、名字ではなく下の名前で呼ばれることに新鮮さを感じ、うれしかったようでした。おしゃべりをする仲間もでき、デイサービスに通うことを楽しみにさえするようになり、母に笑顔が増えて私もほっと一安心。やっと少し明るい光がさしてきたように感じられました。
そして、今後のことに備えて、父も介護認定を受けておくことになりました。なぜなら、母が骨折してから認定を受け、認定が下りるまでに1か月もかかってしまい、前もって認定を受けておけば、いざ何かあったときに、すぐ介護サービスを利用することができるからです。(これは私の友人にもすすめています)
この出来事から5年たった今、93歳になった母は要介護3で軽い認知症があり、99歳になった父は要介護1で、認知症はありませんが強度の難聴とリウマチがあります。二人とも、今は元気で落ち着いていますが、今日に至るまでには、様々な病気でかわるがわる入退院を繰り返しました。
入退院を繰り返すうち、困ったことに二人とも、もう入院はしたくないという気持ちがだんだん強くなっていったようです。何が困ったかというと、具合が悪くても、それを言おうとはせず、気付いたらかなり悪くなってしまったということが何度もあったからです。
次回はもう少し、そんなエピソードをお話ししたいと思います。
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