親から子へ、子から孫へ

きものの「リフォーム力」に魅せられて

公開日:2018.07.03

きものをいろいろなものにリフォーム。過去に手がけた作品と、その背景にある物語を綴ります。今回はきものリフォームを始めたきっかけや、子どもの一つ身を孫の袴に、そしてお雛様の被布に-。2回生まれ変わったきもののお話です。

母の色留袖で作った長襦袢
母の色留袖で作った長襦袢。

私がきものリフォームを始めたきっかけ

初めまして、やまきひろのと申します。私がきものリフォームを始めたのは30年前です。当時、5歳の次女が扇舞を習い始め、ひざ丈のきものと袴(馬乗り)が必要になったことから始めました。

 

母のきものを娘のきものに。使いまわせる幸せ

母の娘時代のきものと、お借りした扇舞のきものを持って、親戚のお婆さん(父の弟の奥さんの母)を訪ねました。明治生まれのお婆さんは仕立物をされていました。作れるものですね。完成の喜びと、お婆さんの昔の生活話に惹かれて、週に一日、和裁を習いに行くことになりました。きものが生活着だったお婆さんの時代の、当たり前の「リフォーム力」は、私にとって新鮮で「目からうろこ」の感動ものでした。

例えば、上前が汚れたり、日焼けしたり、裾が擦り切れたりしたら、帯で隠れる位置で切り離し、上下、左右を入れ替える。子どもの晴れ着は、成長したら長襦袢に作りかえる。帯は座布団にしたり……というような「使いまわし」の工夫は、私の生活に素直に浸透しました。

早速母の色あせた色留袖を長襦袢にしました。「見てちょうだい。私の襦袢は裾模様があるの。紋付よ」と、きものの裾をめくって見てもらっています(笑)。

子から孫へ、孫からひ孫へ

長女が誕生したときに両親からもらった一つ身です。二人の娘がよく着ました
長女が誕生したときに両親からもらった一つ身です。二人の娘がよく着ました。

 

孫の三歳の七五三です。一つ身の上前にシミがありました。そこで大叔母の留袖で袴を作り、 シミを隠しました
孫の三歳の七五三です。一つ身の上前にシミがありました。そこで大叔母の留袖で袴を作り、
シミを隠しました。

 

それでも後身頃は刺繍が多く綺麗だったので、被布にしました
それでも後身頃は刺繍が多く綺麗だったので、被布にしました。今はお雛様と飾って
いますが、ひ孫に着てもらいたいとひそかに思っています。

リフォーム中に生まれた思いがけない副産物

きものをリフォームするときは、ほどいて洗います。洗うと色が落ちますが、その色がもったいなくて、薄い胴裏(袷の着物の白い裏地)を浸してみました。するとやさしい色に染まりました。幅は耳をそのままにして、両端は三つ折りぐけにして、スカーフを作りました。

スカーフ
スカーフ。


次回は帯のリフォームを見てくださいね。

 

やまきひろの

3世代6人家族で暮らし、家事を担当する主婦です。孫の世話もしており、旅行も孫連れが多いです。趣味はきものリフォームで、完成に至るまでのいきさつを交えながら作品を紹介していきます。

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