小さい頃からいつも本がそばに

校正や割り付けに四苦八苦。文集「あかね1号」の誕生

公開日:2018.12.10

幼少の頃から読書が大好きで、定期的に行っている読書会についてや、文学にちなんだ場所巡り、おすすめの本について紹介。今回は、読書会第1号の文集作りに奮闘したお話です。2018年最も面白いと思った本についても触れます。

「読書会とわたし」

「何かこの1年の足跡をのこしておきたいわね」とだれからともなく文集の話が出て、あれあれと言っている間にぼつぼつ原稿が集まりはじめました。

まずどんな構成にするかを話し合って、「読書会とわたし」というタイトルにして書きたい人が書くことになりました。読書会の文集であるから、感想文をメインとして最低一人1編は書かねばならないとなりました。

これがなかなか難しく、私など何度も何度も本を読み返したものである。タイトルは「選んだ本、出会った本」としました。メンバーのセンスの良さでタイトルはすてきだけど、中身が釣り合わなければだめだと思ったものです。 

いつか文集を出したいという気持ちがみんなの中にあって、会を始めたときから、話し合いの内容はテープにとっていました。雑談になったと思うときは中断したので、テープの係の人にはご苦労かけたなぁと思いました。

もっと大変なのはそのテープを聞きながら、文章化する作業です。秋田さんが一手に引き受けてくれました。そのような仕事をされたことがあったようです。私などがとてもできる作業ではないと思えました。

「話し合いの中から」というタイトルで4編書いてくれました。いつ読み返しても楽しい、これは誰の意見だとわかります。人は年月が流れてもそんなに変わっていないのでした。

エッセイは「雑感」としました。

「あかね1号」が誕生。この会の中で成長していきたい!

「女の気持ちペングループ」の会報誌の編集をしたことがあった人たちが集まって、そろばん片手に割り付け(字の大きさや字間、図の配置などを原稿に指定すること)をしました。なかなかうまくいきませんでしたが、カットを入れる作業が楽しかったです。

校正は何度見ても誤字が出てきて、自信を無くしました。できる範囲のことはすべて自分たちの手で作業した本当に手づくりの文集です。

ページ数にして48ページの「あかね1号」が誕生しました。会を始めて1年目のことです。

すごいなぁと思っいました、そしてこの会のなかで少しでも成長していきたいと思いました。

この時、感想文は難しく、毎月の課題図書を読むときにノートに簡単な感想を書くことを習慣にしなければと思ったのに、なかなか書けないでいます。

 

【ちょっとブレイク 私の読書記】

2018年ももうすぐで終わり。今年一番面白いとおもった本をご紹介したいと思います。

『天涯の船』

玉岡かおる(新潮文庫)上、下     

舞台は明治時代。下働きの少女(14歳)がお嬢様 酒井美佐緒(16歳)の身代わりとなり米国へ。留学船の長い船旅中、乳母お勝のいじめに耐え抜いて、美しく成長しオーストリアの子爵婦人になる、波乱万丈の人生が描かれている。

読書会の仲間が席に着くや、口をそろえて「面白かったね」と言った本である。久しぶりに読書の醍醐味を味わった。時間がたつのも忘れて夢中で読み、上巻、下巻とかなりの長編なのですが、そんなこと少しも気にならず、ヒロイン、ミサオが気になりました。明治17年ごろからの時代背景もよく描かれています。運命の人・光次郎(親友の夫)との秘めた恋。どこをとっても面白かったです。

■それぞれの感想

昔、読書会の仲間で源氏を一緒に勉強した、あかね会の名付け親である友達に「天涯の船」を送った(今は関西を離れて東京在住)。

さっそく手紙が届き、私が知っている彼女らしくない感想にびっくりだった。

「物語のヒロイン、ミサオの生き方において、彼女は徹頭徹尾とんでもない自堕落ふしだらな女だとさげすむばかり。親友の夫の愛人になるとは愚女そのもの。しかし、著者玉岡かおるは歴史物を良く調査されたと感心。久しぶりに感情、たかぶりました」とありました。

この彼女の意見を先日の読書会で報告したところ、

「文学ってそういう見方したら、文学でなくなるよね」

「源氏物語に詳しい彼女らしくないね」「私はこんな恋がしたい」

「幼い頃から彼が好きだった、彼もまた彼女が好きだった。これって純愛なのでは?」

といろんな意見が出ました。

私は下巻の二人の逢瀬を、夜寝るときいつも少し読んで寝ることにしています。自分がミサオになったつもりで。

 

久田かえこ

好きなことは読書。本は小さい頃からいつもわたしのそばにありました。引っ込み思案な点がありますが、裏を返せば奥ゆかしさにつながるのでしょうか。4人姉妹の長女で、和歌山の実家で母を見てくれていた一回り下の妹が60歳で他界、その時の寂しさを紛らわせてくれたのは数々の本とそれを通して出会った仲間たちです。

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