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リアルタイムで手塚治虫を読み、東映動画を見て育ち、累計鑑賞映画本数は1500本以上。「漫画・映画・アニメは私にとって酸素のようなもの」。そう語るK・やすなさんが、溢れる漫画愛をつづります。今回はSF作品から宇宙に思いを馳せます。
もしも、地球に星空がなかったら……
星空の美しい季節になりました。
この夜空がなかったら生まれなかった科学や芸術もあるかと思うと、地球の環境に感謝です。もしも、常にガスや雲などに覆われている星だったら、別の文明が生まれていたのではないかと、星空を眺めて妄想する私です。
今回ご紹介する作品も、星空の贈り物と言えるでしょう。
ヒトの種を蒔くものたち
「ぼくはどうして生まれたの?」「私はどうやってママのところに来たの?」
似たような質問を、みなさまは一度は子どもたちからされていませんか?
神話や伝説に記されているように、ヒトは太古から自分たちの存在について問うてきました。漫画家などのクリエイターが、どのように想像力を働かせたか見ていきましょう。
まず新しいところで、リドリー・スコット監督の映画「プロメテウス」があります。これはかの「エイリアン」シリーズのひとつです。冒頭から衝撃のシーン! なんと、私たちは、あの恐ろしい口裂けエイリアンを作り出した、宇宙人のDNAから発生したのでした。
1979年にうっかり(笑)見てしまった第一作から40年を経て、まさかの展開でした。まだまだ解明されていない謎があるので御歳80歳の監督とともに、私も長生きして、完結を見届けねば!
竹宮惠子作の『アンドロメダストーリーズ』も、地球以外の天体の人間(正しくはヒト型生物でしょうか)の身体が生命の基になっています。
人間自身が、四億年以上タイムトラベルして、あらゆる生命体の元をばらまくのは佐伯かよ作の『クォバディス』。この作品は吸血鬼ものでありタイムトラベルものであり、その上登場人物の衣装も素敵なので、色々と楽しめます。
太古の訪問者
はるか昔、地球の生き物が、ゆっくりと進化の道をたどっている間に、高度な文明を持つ異星人が訪れたこともあるようです。
秋里和国作『青のメソポタミア』は、地球の調査のため西アジアに着陸した異星人の物語です。彼らは地球を「青」と命名していました。
佐藤史生作『夢見る惑星』は、大陸が分裂する前の地球が舞台です。翼竜が空を舞い、神官と王が治める谷に隠されたものは……。繊細なタッチの絵と戯曲のような典雅なせりふが、夢のような太古の世界へ導きます。
独創的で壮大な着想の作品の数々はSF好きには必見ですが、作者は惜しくも2010年に57歳で亡くなりました。
映画「2001年宇宙の旅」では、謎の直方体モノリスが出現して、ご先祖様(?)のサルが道具を使う知恵を授かる有名なシーンがありましたね。
地の底にも…
番外編として、地の底に消えた先人たちを追い求める話をあげておきます。
「君の名は」でヒットを飛ばした新海誠監督の作品、「星を追う子ども」は、アガルタという地底世界をめぐるファンタジーアニメです。
浦沢直樹作「MASTERキートン」の主人公は、「幻のドナウ文明」の存在を信じて証拠を求めています。
私たちはどこへ行くのか
このように諸説ふんぷんですが、真相は如何に! ちなみに私の母方の家系には、天孫降臨の時に出迎えた神様の一柱(ひとはしら)が、ご先祖様だという眉唾物(神様ごめんなさい)の言い伝えがあります(笑)。
星空から来た人たちではなくて残念。ルーツはともかく、ヒトはこれからもずっと地球に住み続けられるのでしょうか? なんだか危うい状況になってきたと思いませんか。
「地球温暖化なんて甘い!危機感がない。灼熱化と呼ぼう!」この夏、何度も吠えた私でした。
科学技術が進歩したら、映画「インターステラー」のように、大変な努力を重ねてどこかの星に移住先を求めるのでしょうか。今回とりあげた作品のように、新しい星で新たな文明の始祖となるのか、それとも待ち構えているエイリアンの餌食となるのか……
本日の作品(もりだくさんになってしまいましたが秋の夜長にいかがでしょう)
「プロメテウス」リドリー・スコット監督(2012年公開)
『アンドロメダストーリーズ』竹宮惠子(1980年11月~1982年11月)アサヒソノラマ刊
『クォバディス』佐伯かよの(2007年~2017年)全20巻 幻冬舎刊
『青のメソポタミア』秋里和国(1996年)全2巻 白泉社
『夢見る惑星』佐藤史生 (1980年~1984年)全3巻 小学館刊
「2001年宇宙の旅」スタンリー・キューブリック監督 (1968年公開)
「星を追う子ども」新海誠監督(2011年公開)
『MASTERキートン』浦沢直樹 (1988年~1994年)全18巻 小学館刊
「インターステラー」クリストファー・ノーラン監督(2014年公開)
次回予告
ブラディー・マリーはお好き?
黒と白の漫画の世界。不自由なようですが、だからこそ気の弱い(?) 私でも読める作品があります。
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