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2021年1月、2021(令和3年)度の年金額が決まったというニュースがありました。年金額は、毎年物価や賃金の変動を基に改定されていて、昨年度よりわずかに減額されるとのことでした。そこで、「マクロ経済スライド」について調べてみました。
令和3年度の年金額について
ニュースによると、2021(令和3年)度の年金額は、昨年度よりわずかに減額されるとのことでした。さらに今回は、マクロ経済スライドは適用されなかったと付け加えられていました。
マクロ経済スライドは、2015(平成27)年4月から適用が開始されたとのことですが、これまで3回くらいしか適用されていないとのことです。適用される年と適用されない年ではどのような違いがあるのか、また適用されるとどのように年金額に変化があるのか。わかったようでいて、わからないので、調べてみたい思います。
マクロ経済スライドが導入された背景
マクロ経済スライドが導入される前は、年金の支給額は物価や賃金に応じて決められていたようです。しかし、少子高齢化が進み、年金を納めている現役世代の人口が減り、年金を受け取る受給者が増加しています。このままだと、年金財政が破綻する恐れがあります。それでこのマクロ経済スライドが導入されました。現役世代の人口減少や平均余命の伸びに合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。
本来、年金は物価や賃金が上昇すると給付額も上昇する仕組みですが、年金の給付額の上昇を、物価や賃金の上昇以下に抑えて実質的に給付額を減らすことで、現役世代の負担の一部を分かち合うということになっています。
まあ、私のように年金をもらっている側から見れば、1円でも多い方がうれしいですが、年金制度は社会全体でお互いを支え合おうという制度なので、現役世代の負担を減らすためやむを得ないことだと思っています。
ここまでは理解できていたのですが、この先、適用される年とそうでない年があるのはなぜかという問題になります。これがちょっと難しくて、今回いろいろと調べました。完全にわかっていないのですが、書きながら整理をしていきたいと思います。
年金額の算出基礎になるもの
「賃金変動率」と「物価変動率」が基本の要素ですが、ここに「マクロ経済スライド調整率」が加わります。
賃金変動率は正確には名目手取り賃金変動率というもので、厚生労働省から発表される過去3年間の「名目手取り賃金変動率」の平均などから算出するようです。物価変動率は、1月に発表される前年度の全国消費者物価指数の総合指数を使っているようです。
物価変動率と賃金変動率を比較します。今までは、物価と賃金の変動率がともにマイナスで賃金変動率の下落の方が大きい場合は、変動の小さい物価変動率を採用しました。物価変動率がプラスで賃金変動率がマイナスの場合は年金額を改定しませんでした。
例えば、物価変動率がマイナス0.5%で、賃金変動率がマイナス1.0%だったら、物価変動率マイナス0.5%を基に年金額を改定しました。
これが今までのルールだったのですが、2021(令和3年)度から法改正があります。ますます少子高齢化が進んでいるため、年金の減額が大きくなるような改定です。上記のいずれのパターンでも賃金変動率をもとに減額改定が行われます。
2021(令和3年)度の改定がその例です。物価変動率は0.0%で、賃金変動率はマイナス0.1%でした。従来ならば物価変動率が採用され、年金額は変わらないのですが、今年は賃金変動率のマイナス0.1%が改定率となります。
マクロ経済スライド調整率と次年度以降に繰り越されたマクロ経済スライド調整率
いよいよ今回の話題に入ります。
マクロ経済スライド調整率は、公的年金全体の被保険者の変動率に平均余命の伸びを勘案した一定率(0.3%)を合算して算出されるということですが、被保険者の変動率の数字がどこでみられるのかはわかりませんでした。
このマクロ経済スライド調整率は、賃金や物価による年金額の伸びから、スライド調整率を差し引いて年金額を決定するものです。賃金や物価が上昇した場合に適用されます。
ある程度賃金や物価が上昇した場合は、完全にスライドの自動調整が適用され、給付の伸びが抑制されますが、賃金や物価の伸びが小さくスライドの自動調整を完全に適用すると名目額が下がってしまう場合には、名目額を下限とします。さらに、賃金や物価の上昇率がマイナスの場合は、スライド調整は行われないということになっているようです。最近は経済がデフレ基調で、賃金や物価の上昇がみられないので、結果的にマクロ経済スライドが適用されないようです。
このマクロ経済スライド調整率は、2021(令和3年)度は適用されませんでしたが、次年度以降に繰り越しされ、賃金や物価が上昇したときにまとめて調整される(キャリーオーバーというようです)ことになったようです。これは2018(平成30年)度の法改正によるものです。
いろいろ調べてみて、難しい専門用語が多くて一度には理解しがたいなあという印象を持ちました。でも大切なことですから、これからも調べ続けていきたいと思います。
ただ調べても、この改定額から私の今年の年金額が算出できるかというとそれは無理なようです。年金額の決定過程では複数の算出方式があり、算出された方式は年金受給者個々によって異なるためのようです。
■参照元
日本年金機構 年金Q&A(マクロ経済スライド)
みずほ総合研究所みずほインサイト
いっしょに検証!公的年金 厚生労働省
地方職員共済組合 年金受給者だより
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