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- 忘れられない思い出の国、ロシア
いろいろな国へ旅するのが大好きな翠さん。今回は、今までに3度訪れたことがあるロシアのお話。一つの国に何度も行くと、愛着が湧くそうです。
モスクワの思い出
ロシアには3回行きました。一度目は、サハリンの花々を見て巡り、日本人墓地をお参りし、熊が生息するようなチエホフ岳にガイド付きで登り、ロシア人の一般家庭で夕食をいただき、家族と一緒にロシア民謡をアコーディオンに合わせて歌うという貴重な体験ができたツアーでした。
2度目は、シベリア鉄道に乗れるというので参加したハバロフスクへの旅でした。首都のモスクワとサンクトペテルブルクはぜひ見ておかなくてはと思い、3度目にして初めてのモスクワ入りでした。
モスクワは大きな都市ですが、周りを大きな森が囲んでいます。首都をドーナツの輪のように森が囲んでいるのです。モスクワ郊外に出るには高速道路で森を突っ切るように抜けなくてはなりません。高架の道路の橋脚部分は森を分断しないようにトンネルなどが設置してあり、動物が行き来できる工夫がなされて自然を保護しているようです。また、地面から発火するという泥炭地を見るのも初めての経験で、木々が焼けた跡がたくさんある原生林を見てびっくりしました。
また、今も残っている古い共産時代のシステムでは、退職金代わりに郊外に土地と小さな家がもらえるそうです。そして、それは次世代まで受け継ぐことができる仕組みで、モスクワに住む人々は、郊外へ家族で出掛けて、週末には小さな畑を耕し野菜を作り、自然と触れ合う時間を楽しむのだそうです。その郊外に建つ家々は手頃な広さで、思い思いに屋根がカラフルに塗られていて、個性的でかわいらしいです。
もちろんモスクワの街中は地下鉄も道路も整備され、整然としています。ビルの形もいかにも共産国だったことと思わせる無駄な装飾が省かれた合理的な独特な造りです。また、地下鉄の駅内に彫像がいくつも設置され、まるで美術館のような地下の駅構内が印象的です。
注・ロシア国内は撮影禁止場所が多く。なかなか細かく撮影ができません。
モスクワ郊外の思い出
若い頃に「モスクワ郊外の夕べ」という曲があり、よく歌いました。モスクワの街を抜けて郊外の観光地に向かうとロシア特有の家々に明かりが灯り、カーテン越しに家族のだんらん風景が見えそうな家の前を通るとついつい口をついて歌ってしまいます。
モスクワ郊外には素晴らしい建築物を持つ宗教的な建築物や美術品がたくさんあります。石の彫刻、キラキラ光る屋根、黄金の礼拝所、装飾美術の美しさ、精巧さなど日本では見られない美術様式は圧巻です。
また郊外の修道院は、王侯貴族の娘、離縁された妻たちが静かに余生を暮らすなど秘められた裏事情などがあり、興味深く見聞きしました。どの文化の歴史上にも存在する事情と言え華やかな首都・ロシアと離れた土地で、人生の大半を過ごした女性達の心はいかばかりかと思わずにはいられず、光景と共に深く私の心に残っています。
観光地の一つである教会を見学した後、一人でロシアの広い風景を見ながら休んでいると、かわいらしい少女が通りかかり、私と笑みを交わした後、くるりとスカートを翻して回って見せてくれた。あまりの可愛さに言葉は通じないけれど、拍手をして笑い合いました。
その後、それに気付いた祖母らしき女性に促されて帰って行きました。二人の後ろ姿をいつまでも見送っていると、少女も時折り振り返ってくれました。何とも心安らぐ思い出の一コマです。
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