2月の読書会ー読書談義に花が咲く

読むほどに不思議な本『こちらあみ子』今村夏子

公開日:2020.03.05

幼少の頃から読書が大好きな久田さん。今村夏子さんの著書『こちらあみ子』について語ります。また、定期的に行っている読書会のメンバーでも、『こちらあみ子』のお話に花が咲いたそうで……。

2月の読書会では、今村夏子さんの『こちらあみ子』を読むことに

奈良で行っている読書会の仲間は、奈良市の人が3人、生駒市の人が1人、大阪からの人が1人、三宅町の人が1人、河合町の人が1人という構成です。

昔は毎月当番を決めて作品のを作っていましたが、今はそれもしなくなり、作品の感想をそれぞれに話し合うことになっています。

参加者の平均年齢は75歳歳ぐらいになるのかなぁ。毎月第三金曜の午後に集まっています。

2019年は珍しく9月から12月まで堀江敏幸さんの作品を読んでいました。この人の作品は奥が深く、都会的な雰囲気があり好きでしたが、深くは読み取れていないと感じています。

読書会が済んでみんなの意見を思い出しながら、もう1度同じ作品を読見返してみたことが度々ありました。

2020年の1月は、幸田文さん『流れる』を読みました。森鴎外(もりおうがい)の次女で、母亡き後、家事のひととおりを鴎外から厳しくしつけられたとそうです。日常生活が丁寧に描かれた作品でとても読みやすく感じました。

2月は、たまには若い人の作品も読んでみようかということになり、今村夏子さんが候補にあがり、『こちらあみ子』を読むことになりました。
 

本屋さんがなくて不便

私は、場所は奈良市の学園前駅の近く西部公民館で本を借りています。駅から1分の交通の便がいいところなので人気で借りるのが大変ということがあり、奈良市在住のメンバーにお世話になっています。利用日の1か月前からでないと、申し込めないのです。

図書館に探しに行くと、『こちらあみ子』が無くなってしまっていました。隣町の図書館にあるとのことで、そこへ行くと、今度は貸し出し中でした。仕方なく予約して帰りました。4、5日して図書館から電話があり、やっと本を手に取ることができました。私の町には本屋さんがなくなってしまったので、とても不便です。

著者の今村夏子さんなのか、どんな人か知りたくなりました

今村夏子さんの『こちらあみ子』を初めて目にしたとき、なんと凝った装丁なのだろうと、装丁家柳川貴代さんのセンスに惹かれました。スミレの花のカットがかわいいです!。

ヒロインのあみこは優しくっていい子なのだけれど、そのことに誰も気が付いていなくて、問題児として片づけられているのが残念で仕方なかったです。こんな風に1つの家庭って崩壊していくのかなぁと思いながら読んでいました。物語の中で、彼女の故郷の広島弁がときどき出てくるのに救われました。

実に、読むほどに不思議な本だったので、こんな作品を書いた彼女のことを知りたくなりました。

今村夏子さんは、1980(昭和55)年2月20日、広島県生。学歴は公表されていません。大学卒業後、職を転々としていた29歳のとき、「明日は休んでください」と清掃員の仕事場で言われました。その日の帰宅途中に突然、「小説を書こう」と思いついたそうです。そうして書き上げた『あたらしい娘』が2010年に太宰治賞を受賞。『あたらしい娘』を『こちらあみ子』と改題。

この作品と新作中短編「ピクニック」を収めた本が2011年に三島由紀夫賞を受賞しました。2016年に第2作の「アヒル」が芥川賞候補となり、河合隼雄物語賞を受賞。

第3作「星の子」でも芥川賞の候補になり野間文芸新人賞を受賞しました。『むらさきのスカートの女』で2019年に第161回芥川賞受賞。

現在は大阪市在住で、2歳になる娘がいるため、朝2時半に起き、少なくとも5時間はパソコンに向かっているそうです。すごい人なのだなとびっくりしました。

2月21日に読書会での感想は?

ずっと寒い日が続いていましたが、2月21日は久しぶりにいいお天気で、温かい一日でした。コロナウイルスのことも気になるけれど、来月の3月21日は祝日ということで、会場が読書会がお休みになるみたいで、「とりあえず集まりましょう」と集まった読書会のメンバー。久しぶりに全員がそろい、今村夏子さんの著書『こちらあみ子』のお話に花が咲きました。

A「とても読みやすい作品やったね。普通はあみこの視点でなく、作者の視点で物語が展開していくのだけれど、この作品はあみこの視点で書かれているのが新鮮というか、今村流なのかなぁ」

B「あみこのその時々の心情とか、よく書かれているけれど、学校でも落ちこぼれに近い存在やね。父や後妻の母、兄にも分かってもらえていないあみこの寂しさ。デリケートで優しいいい子やのにね」

A「また祖母と二人の暮らしに戻るのかなぁ……。1回さらっとと読んで、もう1回読んだとき、あみこって今村さん自身のことを投影しているのではと思えたけど、違うかなぁ……」

B「そうなんじゃない」

A「この人の作品、他にも読んでみたいね。4月は文庫が出ている『あひる』にしない?」
と来月の読書会で読む本が決まりました。

C「『あひる』は児童文学の部類に入るのかなぁ。」

B「しっかり読んでこようね」

話が弾んでいましたが、私は3時には席を立つことにしています。家まで近鉄電車を3回乗り継いで約1時間半かかるからです。家に帰って一休みしました。最近は腰の調子が悪いので、整体に通っています。

暖かくなったら、腰の調子がよくなるといいなぁ……。春が来るのを待っています。

久田かえこ

好きなことは読書。本は小さい頃からいつもわたしのそばにありました。引っ込み思案な点がありますが、裏を返せば奥ゆかしさにつながるのでしょうか。4人姉妹の長女で、和歌山の実家で母を見てくれていた一回り下の妹が60歳で他界、その時の寂しさを紛らわせてくれたのは数々の本とそれを通して出会った仲間たちです。

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