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グレイヘア……私の「おしゃれ」考
「欲しがりません、勝つまでは」「ぜいたくは敵だ」という時代の親に育てられた私は、おしゃれはお金のかかるものという〝教え〟がかなり身に染み込んでいると思います。断片的な記憶が残る戦時中や貧しかった戦後混乱期には、「あの人はおしゃれね」というのは決して褒め言葉ではなかったようです。
日本の高度成長期、そしてバブル期には「あの人はおしゃれね」という言葉はうってかわって肯定的に捉えられるようになり、さらに「ロマンスグレー」という和製英語を生み出しました。中年から古希あたりの男性の白髪混じりを指して、1977年にソニーの盛田昭夫氏が初めて使った言葉のようです。「胡麻塩頭」という言葉が死語になってしまうほど「ロマンスグレー」は流行りました。そして今や、フリーアナウンサーの近藤サトさんのような「グレイヘア」が注目を浴びています。
そこで私も、『ハルメク』で取り上げられている「グレイヘア」を参考に、ただ今実践中です。子供の頃のボリュームたっぷりだった黒髪は、今やすっかり細く薄くなってしまいました。2018年までは定期的に染め、しかも前髪の一部だけは染め残して白髪のままにしていました。そう、TV「サンデーモーニング」の司会者の関口宏さんも以前そうしていらっしゃいました。
友人知人には、前髪の一部を白く染めている「逆メッシュよ」とふざけて言っていましたが、2019年からは一念発起して「グレイヘア」。私の周囲には「シルバーヘア」の方が3人いますが、いずれも1年がかりのようです。先日、ある集まりで、私の「グレイヘア」が話題となり、あれこれと髪の話に花が咲きましたが、「グレーだのシルバーだのいいねぇ。無いものはどうすりゃいいんかいの?」という男性の一言で大笑いしました。
本当の「おしゃれ」というのは、「ファッション」ではなく「生き方」ではないかと思うようになりました。昔(二、三十年前でしょうか)、TVのコマーシャルの「Simple(is)the best」という言葉が流行りましたが、「あるがままに」という言葉も好きです。この2つの言葉を見事にその生き方で実行表現されていたのが樹木希林さんとお見受けして、ほんのわずかでもその領域に近づきたいと考えています。
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