- ハルメク365トップ
- ハルトモ倶楽部
- 文化部
- 母 いきいきと……
花やリボン、シナモンなどのスパイスを駆使して作られるブリオンフラワーの創作過程や、作品に込められた思いなどについてでんさんが紹介していきます。今回は少しブリオンから離れて、でんさんのお母さんのお話です。
三つ子の魂百まで
前回の「母92歳の骨折で起きた人生久々のドタバタ体験」では、左大腿骨骨折をした母のドタバタについて語りました。今回はその続きです。「三つ子の魂百まで」……とはよく言ったものだと思います。この言葉を地で行くお嬢様が私の母です。
村の代表を長年務める曽祖父、銀行の支店長の祖父、しっかり者の祖母、7人兄妹の3人目、次女として生まれました。色白な赤ちゃんで誰もがこの子は長生きはできないと諦めていた中、祖母は、丈夫に成長できると信じ心を砕いてくれました。そのお陰で、私の母も今や元気な93才のおばあちゃんです。
そこで何がお嬢様かというと、心というか考え方、物の見方ですね。
幼い頃は家族に守られ、結婚してからは夫(私の父)に守られてきました。私の父は、亡き後も母の夢によく現れるとのことなので、旅立ってもなお守っていてくれるということです。お父さんすごい!
母の実家は毎日たくさんの人達がおいでになるので、起床するとすぐに身だしなみを整えるのはもちろん、祖母の厳しいしつけで誰もに
「この娘は何処へ出しても、恥ずかしくない、立派にやっていける娘だ」
と太鼓判を押された母でした。
母は今でも本当にすごいです。おっとりしているのに辛抱強く、他人のことは誰でも良い人と考え、自分のことより人のことを優先する、こんな人もいるんだなあと、ずぼらな娘の私は毎度感心するのです。
婚家は山の中
母は「私ほど波乱万丈な人生を生きてきた人はいない」と言い切っています。
母は見合い結婚です。平らな土地から、山の中腹にある小さな村に嫁入りしました。
貴重な白米を毎日炊いたので、米びつがあっという間に底をつく、薄暗い戸棚(昔の戸棚は木の引き戸だったので、中が薄暗かった)の中に置いてあった昆布の佃煮が何かわからず、怖くて触れず奥の方へ隠したり……と、次々と伝説を作っていきます。
山の農家では水田ではなく「おかぼ」という米、麦やいも類等を作り主食としたようです。当然、麦ご飯です。
姑は「うちの嫁ごは米しか炊けない」と言っていたとか……。
村の人たちも「本当によくもまあ、こんな山ん中に、里から嫁ごがきたもんだ」と母の花嫁姿を見るまでは半信半疑だったそう。
山の農家は坂での仕事です。片足に力を入れ、他方の足は曲げ気味にし、バランスを取りながらの仕事です。幼い頃は番頭さんの肩車でお祭りを見に出掛けていたような母が「しょいた」を背負って、山の斜面を登り降りするのですから、相当の重労働だと思います。
それでも母はがんばりました。がんばりすぎて「腰椎変形症」になってしまいました。コルセットをつけても足が痺れ、痛みが酷く家の周りを歩くことができるまで10年以上かかりました。
その間、山の生活から群馬県高崎の町へ転居しました。平らな土地での生活になったのですが、コルセットは何度か作り替え、80才代までつけ続けました。
腰に加え、膝も痛め、子宮筋腫の手術、ときどき起こるめまい、今回の大腿骨骨折と健康面では母の言う通り波乱万丈です。
それでも母は私の見る限り穏やかでした。
あの頃の母の年になって
母が60才の頃、朝からスズメ達を眺め「可愛くて見ていて飽きない」とよく眺めていました。
その頃の私は30代で子育て真っ最中。1分の時間も惜しむくらい忙しい毎日。スズメ達の可愛い仕草も目の中で消えていきました。
母はつまらない娘だなあと呆れていたかもしれません。
綾小路きみまろさんではないですが、あれから33年。今我が家の庭には河津桜が満開。スズメの他になんとメジロやセキレイ、ムクドリまで発見。蜜を吸い蕾をついばむのです。可愛い!! 飽きない! お母さん、私お母さんの気持ちがわかる年になっていましたよ。
お母さん、今年はひ孫が8人になります。
どんどん写真の祖母に似てくる母。目の前のことをひとつひとつ精一杯の努力でこなしてきたのだろうと思うと、少し小さくなった背中がいとおしいです。
最近は昔話をよくします。幼馴染みの名前を言って
「〇〇ちゃんは元気でいるかねぇ」
「きっと元気にしているよ。会えると良いね。お母さん」
いつも決まってする会話です。
お母さんは元気で長生きしてちょうだいね。
一人前になるということ
親が子に残す贈り物は、人間として幸せに生きていく術を見つけ出し、次の世代にバトンタッチできるよう、子どもに自分の生きざまを見せて行くことなのかなあ、と思います。
そして最後の別れの悲しみから立ち直ったとき、やっと一人立ちが出来るのでしょうか。
文章に書くと、忙しがって見えていなかった母の姿が見えてきました。
また機会があったら、母のお嬢様ぶりを書いてみたいと考えています。
次回は久しぶりにブリオンフラワー作りができた楽しさをお伝えしたいです。
-
子に遺すべき資産は?
「現金」か「不動産」か…どっちが得?メリット・デメリットは?相続や親族間のトラブルに悩まされないためにしておくべき準備とは -
突然の我慢できない尿意
実は多くのハルメク世代が悩んでいる「尿トラブル」…中には上手に対策をしている人も!気軽にできる対策って? -
個人情報管理できてる?
銀行口座・保険・クレジットカードなど、「デジタルの情報」をきちんと管理できていますか?煩雑にしていると思わぬ落とし穴が… -
お金の管理が簡単に!
三井住友銀行アプリに「シンプルモード」が新登場!スマホ操作が苦手な人でも簡単に使える便利機能が満載です! -
認知症セルフチェック
「もの忘れが増えた」「名前が思い出せない」という症状に心当たりがある方は要注意!それ、「認知機能のレベル低下」が原因かもしれません… -
健気な姿がかわいい!
「思わず笑顔になる」と巷で話題の「永遠の2歳児・ニコボ」!ハルメク世代の2人に、ニコボとの生活にハマる理由をお聞きしました! -
生前親に●●聞き忘れると
老親の契約や登録しているサービス、これらを子が把握していないと将来ムダな出費や面倒なトラブルに発展する可能性が!特に見落としがちなのは… -
50代~お金の増やし方
将来を見据えて、50代から「まとまった資金の調達」が重要になります。どんな選択肢があるか、ご存知ですか? -
60日で英語が話せる!
英語をマスターするのに「完璧」はいらない!初心者でも60日で英語が話せるようになる、驚きの3つのコツとは? -
今なら無料でお試し!
将来、自分の認知機能が低下するリスクがあるか、簡単に予測できるサービスが誕生。今なら無料で先行利用できます! -
おひとり様の備えはOK?
この先「おひとり様」になったら意外な落とし穴がいっぱい…。そんな不安に備える、おひとり様専用お助けサービスが誕生! -
50代から1日1分脳トレ
認知機能を衰えさせないためには、早い時期から「脳を活性化」させることが大切。脳トレ効果がグッとアップするコツって?