北海道ガーデン街道を2泊3日で巡るモデルコース前編
2021.05.112019年07月05日
初夏から秋が見頃!富良野エリアを花のプロがご紹介
北海道ガーデン街道を2泊3日で巡るモデルコース後編
「北海道ガーデン街道」と呼ばれる、すばらしいガーデンが集まったエリアを2泊3日で車で巡るモデルルートを老舗花屋の第一園芸がご紹介します。後編は富良野から旭川のエリア。ベストシーズンのガーデン街道を巡るツアーもありますよ。
風のガーデン|ドラマの舞台になった庭
前編をまだ読んでいない方はこちら「北海道ガーデン街道を2泊3日で巡るモデルコース前編」
十勝千年の森から車で2時間弱。新富良野プリンスホテル内にあるのが「風のガーデン」です。
こちらは2008年に放送された、倉本聡さん脚本のテレビドラマ「風のガーデン」の舞台として誕生した庭。現在でも撮影に使用された建物が庭の景色となり、ドラマの雰囲気がそのまま残されています。
「風のガーデン」の成り立ちは脚本家の倉本聡さんが上野ファームの上野砂由紀さんに、新富良野プリンスのゴルフ場跡地に庭のデザインを依頼したことに始まります。
庭づくりの打合せを重ねるうちに、アイデアが膨らみ、この庭を舞台にした同名のドラマへと発展しました。
ガーデンにはドラマの各回のタイトルになったカンパニュラやタイム、デルフィニウムなど、季節ごとに約450種類以上、約2万株の花々が咲き誇ります。
こちらのガーデンに咲く優しげな印象の花々は夕暮れ、朝日、そして雨の日が特に美しいので、できればそういったタイミングでぜひ散策してみてください。
ドラマのセットだった〈グリーンハウス〉も常設展示されています。開け放たれたドアからカーテンが風に揺らいでいました。
2日目の宿泊は風のガーデンがある新富良野プリンスホテルがおすすめです。こちらに宿泊して、朝のガーデンをもう一度、ぜひ楽しんでください。また違った印象の庭が楽しめるはず。
■風のガーデン
北海道富良野市中御料(新富良野プリンスホテル敷地内)
2021年度の営業期間:4月29日~10月11日(月)期間中無休
営業時間: 8:00~17:00、6:30~17:30(7月~8月)、8:00~16:00(9月21日~)
入園料:大人1000円、小学生600円、幼児無料
上野ファーム|母と娘がつくった北海道ガーデン
3日目は、「風のガーデン」の散策を楽しんだ後、旭川へ向かいます。旭川にある「上野ファーム」までは車で約90分。途中には花がストライプのカーペットのように咲く、美瑛の「四季彩の丘」などを通るルートなので、移動時間も花を楽しめます。
動物の行動展示で有名な旭山動物園からほど近い上野ファームは、絵本のようなかわいらしい庭がインスタグラムでも人気のガーデン。
もともとは米農家だった上野家ですが、お米の直売を始めた際、農道の脇に花を植えたのがガーデン誕生のきっかけでした。そこから家族総出で農作業の合間に庭づくりに励み、少しずつ拡張を続けて、現在の姿へとなっていきました。
上の写真は「ノーム(妖精)の庭」。上野ファームならではの遊び心があふれるかわいらしいガーデンです。とんがり屋根はノームのおうち。真夜中にこっそり庭仕事を手伝うノームが住んでいるとか……。
私が思う上野ファームの魅力はどこを切り取っても絵になる姿! 春から秋、どの季節も花があふれ、その植物たちの色合わせがとても美しいのです。
上野ファームの後ろ側には「射的山」と名付けられた丘があります。春にはエゾエンゴサク、カタクリ、オオバナノエンレイソウなど北海道ならではの山野草が山の斜面いっぱいに花咲いて、とてもすてきな光景になるそう。写真を撮った初夏には、丘の途中にある大きな木の周りにポピーや矢車草がそよ風に揺れていました。
ランチは園内の「NAYA cafe」で。古い納屋を改築して作ったこちらのカフェでは、季節野菜のファーマーズカレーやガーデン風タコスミートライスやデザートなど、北海道の食材を取り入れたカフェメニューがいただけます。
■上野ファーム
北海道旭川市永山町16丁目186番地
2021年度の営業期間:4月23日~10月17日 期間中無休
営業時間: 10:00~17:00
大人1000円、中学生500円、小学生以下無料
大雪 森のガーデン|山と森と花園のリラックス空間
上野ファームから車で約50分。北海道ガーデン街道で最後に訪ねるガーデンが「大雪 森のガーデン」です。
「大雪森のガーデン」は国の天然保護区域である大雪山系の大雪高原旭ヶ丘にあり、上野ファームの上野砂由紀さんがデザインした「森の花園」と笠康三郎さんがデザインした「森の迎賓館」の2つの趣の異なるガーデンと、北海道出身の三國清三シェフが手掛けるレストラン、そして宿泊施設が点在する複合施設。
今回ご紹介している北海道ガーデン街道の中でも、もっとも標高の高い場所に位置するため、他のガーデンとは植物の見頃が異なり、ここでしか出合えない植物があるユニークなガーデンです。
大雪山系の気候は内陸部にあってしかも標高が高いため、「夏と冬しかない」とも言われるほどで、その地理と気候風土から高山植物の宝庫として名高く、日本国内で最も早く紅葉が始まる地です。
標高650mに位置する「大雪 森のガーデン」も同様で、5月に水仙が咲き、6月でもチューリップやオオバナノエンレイソウなどの春の花が残ったまま、夏の花が咲き出すといった、気温が低い高地ならではの花景色が楽しめます。
こちらは上野ファームの上野砂由紀さんがデザインした「森の花園」の中のひとつ「カムイミンタラ」。アイヌ民族の言葉で"神々が遊ぶ庭"という意味を持つ、花いっぱいのガーデンです。
森の花園を奥に進むと、だんだんと緑が深くなり、樹木や山野草が生い茂る「森の迎賓館」へと続きます。ゆるやかな起伏のある地形と樹木と自生種を中心とした草花が育つこのガーデンの中は、登山をしたような気分になれる場所です。
日程に余裕があれば、フラテッロ・ディ・ミクニのヴィラに泊まって、すばらしいディナーと朝食を堪能するのも素敵ですね。
■大雪 森のガーデン
北海道上川郡上川町菊水841番地8
2021年度の営業期間:4月29日(木・祝)~10月11日(月)期間中無休
営業時間:9:00 ~17:00(最終入園16時)
入園料:大人800円、中学生以下無料
※無料期間:4月29日~5月21日(森の花園エリアのみ無料開放)
※有料期間:5月22日~10月11日
北海道ガーデン街道全8ガーデンを巡るモデルコース
十勝~富良野~大雪を結ぶ全長約250kmのガーデン街道を巡るのは、やはり車がおすすめです。運転に自信のない方には、ツアーなら最も効率よくガーデンを巡ることができます。
1日目:とかち帯広空港 → 六花の森 → 十勝ヒルズ(ランチ)→ 真鍋庭園→帯広市内泊
2日目:紫竹ガーデン(朝食)→ 十勝千年の森(ランチ)→ 風のガーデンへ移動・宿泊
3日目:風のガーデン → 上野ファーム(ランチ)→ 大雪 森のガーデン → 旭川空港
撮影・文=石川恵子(花毎)
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