シニア投資コンサルの50代60代からの資産運用#2

金融取引トラブルに60代以上が陥りやすい3つの理由

金融取引トラブルに60代以上が陥りやすい3つの理由

更新日:2023年08月16日

公開日:2023年06月16日

金融取引トラブルに60代以上が陥りやすい3つの理由

「証券・金融商品あっせん相談センター」の報告によると、金融取引トラブルのほとんどに60代以上の世代が関わっている…と話すのは、シニア投資コンサルタントの西崎努さん。その理由とトラブルにならないための「いい担当者」の見分け方を伺います。

60代以上は金融取引トラブルに巻き込まれることが多い!

60代以上は金融取引トラブルに巻き込まれることが多い!

金融取引をめぐるトラブルで、特に注意が必要なのが60歳以上の世代です。これは偏見ではなく、実際に起きているトラブルの多さに基づいています。

証券・金融商品あっせん相談センター」(略称FINMAC、フィンマック)という機関では、四半期ごとに紛争解決手続(あっせん)の事案を公表しており、現場でどのようなトラブルが発生しているのかを知ることができます。

事案の内容を見てみると、トラブルになる商品としては「EB債」などの仕組債が半数以上を占め、次いで新興国通貨がらみのものや投資信託関連のものが続きます。

そしてトラブルに関わっているのはほとんどが60代以上

60代以上にトラブルが多い3つの理由

60代以上にトラブルが多い3つの理由

なぜ60代以上の投資をめぐって、これほどトラブルが多いのでしょうか?大きく3つの理由があるように思います。 

【理由1】仕組みが複雑な商品やサービスが増えている

金融機関から提案される金融商品や金融サービスは、年々複雑な仕組みになってきています。

単純に「株式」や「債券」「保険」といったくくりでは捉えられなくなっていて、どんな仕組みで利益が出るのか、あるいは損失を被るのか、理解するのが非常に難しくなっています。

【理由2】投資する側の知識不足と準備不足

最近でこそ、国をあげて貯蓄から投資へと促したり、NISAやiDeCoを広く推奨したりして「資産形成」という言葉が一般に浸透してきました。

しかし、一般に60代以上の世代では、十分な金融リテラシー(金融や経済に関する知識や判断力)を身に付けられているケースが少なく、お金の使い方が貯蓄に偏っていたことは否めません。

【理由3】銀行や証券会社の担当は「販売のプロ」

金融機関が顧客にすすめる商品やサービスは、担当者レベルで自由に選べるわけではありません。担当者には会社から課せられた予算というノルマがあります。会社として、あるいは支店として「今期はこれを売っていこう」「今月の販売手数料〇千万円とるぞ!」といった計画や目標が設定されているのが普通です。

彼らにとって、数千万円という退職金や、コツコツ貯めてきた貯蓄を持つ50代60代以上の世代は超優良顧客。悪くいえば営業ターゲットでもあるのです。

いかがでしょうか。年々ややこしくなる商品、窓口や担当者に頼りがちで、多額の資産を持ち、営業のターゲットになりやすい、50代60代以上のシニア世代。。

この3つの理由が重なり、シニア世代の間で「やってはいけない資産運用」が猛威を振るっていることが、トラブルにつながっているのです。

担当者の信頼度の差は「ピンチのとき」に出る

担当者の信頼度の差は「ピンチのとき」に出る

いろいろな金融商品、金融サービスの仕組みを確認し、それらを比較検討し、自分に合ったものを選び、さらにタイミングに応じて見直しをすることは、年齢とともに難しくなっていきます。 

判断力の低下もありますし、資産運用であれこれ悩んだり調べるのに時間を費やしたりするよりも、普段の生活を楽しみたいという方も多いでしょう。

特に、ある程度まとまった資金を運用する場合、ほとんどの方は金融機関の営業担当者と接触し、時には説明を受けたり、場合によっては問い合わせをしたりすると思います。

そこで重要になるのが、信頼できる担当者を見分けることです。担当者が本当に信頼できるかどうかの判断には時間がかかるでしょうが、ポイントは商品やサービスを購入するときよりも、投資した商品が下がってきたときです。

もし詳しい説明もなく「様子を見ましょう」「もう少しすれば戻ります」などと言うだけだとしたら、要注意。想定よりもリスクを取り過ぎていたのであれば、「まず半分だけ売りましょう」などといった損切りも含めた提案も選択肢としてほしいところです。

投資のプロや投資に慣れている人ならば、景気や相場状況に応じて様子を見たり、複数回に分けて少しずつ売る、もしくは買うといったきめ細かな運用を行っているはずだからです。

そういった丁寧な投資の仕方をきちんとアドバイスし、状況についてもわかりやすく説明してくれることで、顧客の金融リテラシーを向上させたり、実践的な資産運用・管理の方法を教えてくれる、もしくは自分の代わりに調べてくれるのが、信頼できる担当者の必要条件だと私は考えています。

担当者の対応が不安なときは金融機関の変更も検討

担当者の対応が不安なときは金融機関の変更も検討

担当者の対応に不安を感じたなら、それ以上その人に説明を求めてもあまり意味はありません。とは言えすべての提案がダメとも限らないので、判断が難しいですところです。

そんな場合は、一つの方法として、他の金融機関の営業担当「同業他社」にアドバイスを求めてみるのがいいでしょう。現状の悩みや、担当者からの提案や説明について相談してみてください。

ポイントは「同業他社」です。他業種の専門家(税理士や弁護士など)は運用の知識がないので相談相手としてふさわしいとはいえません。一方で同業他社であれば、現在の提案内容にどんな意図があるかを知っているし、商品知識もあります。

また、あなたの運用資産を自分たちのところに移してほしいと考えますし、まだ預かり資産がなければ、フラットな意見を言いやすい状況ですから、比較的フェアな見解「金融における“セカンドオピニオン”」を受けられるはずです。

とはいえ新しい金融機関にいきなりすべての資産をさらけ出すのは抵抗があるかもしれません。その場合は一部の資産について相談して、様子を見てもいいと思います。

西崎努(にしざき・つとむ)さんプロフィール

西崎努(にしざき・つとむ)さんプロフィール

リーファス株式会社 代表取締役社長。
2007年にSMBC日興証券に入社、CFP資格も保有する全国トップセールスとして活躍し、シンガポール・ロンドンでの海外研修も経験。帰国後はIPOや公募増資等の引受業務に従事する。2017年に独立し、リーファス株式会社を設立。金融商品の仕組みはもちろん、運用実務、大手銀行や証券会社の販売手法まで熟知したアドバイスが好評。


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HALMEK up編集部
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