先輩&プロに学ぶ、お金の新常識#7

お金のプロの実体験「将来の年金生活が不安にならないためにすべきこと」

お金のプロの実体験「将来の年金生活が不安にならないためにすべきこと」

公開日:2026年04月17日

お金のプロの実体験「将来の年金生活が不安にならないためにすべきこと」

将来の年金生活はどんなものなのだろう?不安を抱える前に、先輩の実体験から学びませんか。年金制度に精通するお金のプロであり、自身も67歳の年金生活者の井戸美枝さんに、人生を楽しむためのお金の使い方を教えていただきました。

教えてくれた人:井戸美枝(いど・みえ)さん

ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士。社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員などを歴任。講演や執筆、メディア出演を通して、身近なお金の問題を解説している。『ゼロ活~お金を使い切り、豊かに生きる!~』(扶桑社刊)など著書多数。

 

教えてくれた人:井戸美枝(いど・みえ)さん
年に何度も行う講演会では、お金の不安を解消してほしいと願い、複雑な制度をわかりやすく解説

お金は、残りの人生を「楽しいこと」で埋めるために使う

お金は、残りの人生を「楽しいこと」で埋めるために使う

「人生の残り時間を考えたら、お金の不安にとらわれるのは、とてももったいないこと」と語る、井戸美枝さん。

「私は、人生は壮大なパズルだと思っています。これまで経験してきたつらいこと、悲しいことはパズルの絵を豊かにしてくれていますが、空いているピースはもう残りわずか。あとはなるべく明るいこと、楽しいことでピースを埋めたい。お金はそのために役立てるものと考えています」

年金生活となった今、「自分には不要」と思うものは潔く手放し、「本当にワクワクできることは何か?」を日々探求。選択的に時間とお金を注ぐようになったといいます。

生かされないお金が増えている現実

井戸さんがそう考えるようになった理由の一つに、日本では自分の資産が使い切れないままに亡くなる人がとても多い、という現実があります。

生かされないお金が増えている現実

2023年の時点で、相続する人がおらず国庫に入った遺産金は1015億円。10年前の約3倍にも上ります。

「お金は、自分がこれまでかけてきた時間やエネルギーの対価、言うなれば積み重ねてきた人生の証しです。それが生かされないまま、“死んだお金”となってしまうのは、とても悲しいことではないでしょうか」

老後生活の不安についてのアンケート(公益財団法人生命保険文化センターが2022年に発表)では、82.2%の人が「不安がある」と回答。使い切れないほどにお金を貯め込む人が多い背景には、やはり“不安”があるようです。

「貯蓄があっても『足りないのではないか』と考え、貯蓄額を増やしても不安が消えない。何となく不安、という人が多いのだと思います。でも社会保障が充実しており、最低限の暮らしを保障されている日本では、本来そこまで心配する必要はないのです」

漠然としたモヤモヤにとらわれて貴重なお金を無駄にしないために、井戸さんは「今の家計収支を把握し、老後にかかるお金をシミュレーションしておく」ことをすすめます。

「“老後2000万円問題”が取り沙汰されて久しいですが、実際には生活スタイルや年金額などによって、必要な額は異なります。人と比べず、自分の身の丈に合った暮らしを見つめることでしか、本当の安心は得られません」

最期の時を、どんな気持ちで迎えたいか

老後に必要なお金のめどがつけば、残りのお金は自分がやりたいことに使えます。

「人生100年時代といわれますが、元気に動けるのは50歳を過ぎたら平均で25〜30年ほどと、長くはありません。自分がやっていて本当に楽しいことは何か、やり残していることはないかと思いを巡らせて、小さな一歩でいいので踏み出してみましょう」

ハルメク世代に根強くある「子どもや孫のためにお金をとっておくべきでは」という考えについてはこう話します。

「次世代に残せる最大の貢献は、やりたいことをやって悔いなく人生を終える姿を見せることだと私は思います。最期の時をどんな気持ちで迎えたいか、具体的にイメージしてみてください」

人生を楽しむために、ぜひ“生きたお金の使い方”を身に付けましょう。

“生きたお金の使い方”をするために大切な3つのポイント

1.身の丈に合った暮らしにし、本当に自分の「やりたいこと」にお金を使う

“生きたお金の使い方”をするために大切な3つのポイント

人と比べず、家計の収入内で無理なく続けられる暮らし方を身に付け、残ったお金は自分の心が喜ぶものに役立てて前向きに過ごしましょう。「今さら遅い」という思い込みは手放して、自分の気持ちに正直に。

2.今の収支と、将来に必要なお金を把握して不安をなくす

“生きたお金の使い方”をするために大切な3つのポイント

いくらお金を持っていても、老後資金を見通せなければ不安は膨らみます。生活費を把握し、将来の医療・介護費を試算して備えることで、不安は解消されます。もしものときの社会保障も知り、気持ちの面でも備えを。

3.無理せず自分のペースでお金を増やす方法も取り入れる

今は投資を始めやすい時代。すぐ使う予定のない資金があるなら、無理のない長期投資に充てるのも一案です。やりがいを持って働ける場で自分を生かすのもおすすめ。人と交流し、喜ばれることでイキイキと過ごせます。

井戸さんはこんな「やりたいこと」を楽しんでいます

「経験は投資と同じ。得た知識が人生を何倍も豊かにしてくれます」と井戸さん。憧れの習い事をしてみたり、一人で気軽にできるお散歩も楽しんでいます。

バレエ

井戸さんはこんな「やりたいこと」を楽しんでいます

ずっとやってみたかったバレエ。近所に教室ができて、60代から始めました。

旅行

井戸さんはこんな「やりたいこと」を楽しんでいます

息子とのバルセロナは一生の思い出。行けるときに行っておいてよかった!

御朱印

井戸さんはこんな「やりたいこと」を楽しんでいます

お散歩がてら、近所の神社の御朱印集めを。目的ができてより楽しい。

日々を楽しむため、健康は「5年日記」で管理

井戸さんはこんな「やりたいこと」を楽しんでいます

同じ日付の5年分を一覧できる日記に、その日の体調、体重などをメモしている井戸さん。「体調を崩しやすい時期など自分の傾向がわかって今後の予定を立てるのにも役立ちます」

取材・文=田島良子、松尾肇子(ともにハルメク編集部)、撮影=林ひろし、イラストレーション=藤田ヒロコ

※この記事は、雑誌「ハルメク」2025年9月号を再編集しています。

HALMEK up編集部
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