老後資金のために!50代から始める資産運用#2

「長期的に見れば世界の株価は上がる」その理由とは?

「長期的に見れば世界の株価は上がる」その理由とは?

更新日:2023年09月18日

公開日:2023年10月04日

「長期的に見れば世界の株価は上がる」その理由とは?

IFAの福田猛さんによる、老後資金に備える資産運用について学ぶ連載です。第2回目は、資産運用の「王道」、世界の株式への分散投資がなぜ良いのか解説します。世界株式は長期的に見て上昇する、という長期資産運用の基本的な考え方がわかります。

教えてくれる人は福田猛(ふくだ・たけし)さん

教えてくれる人は福田猛(ふくだ・たけし)さん

ファイナンシャルスタンダード代表。大手証券会社を経て、IFA※(独立系ファイナンシャルアドバイザー)法人であるファイナンシャルスタンダードを設立。アドバイザーやセミナー講師など幅広く活動。一般社団法人ファイナンシャル・アドバイザー協会理事。著書に「考えない投資生活」(飛鳥新社刊)など。楽天証券と業務委託契約。無料の個別相談資産運用について学べるセミナーを好評開催中。

※IFAとは、特定の金融機関に属さず、独立した立場でお客さまに資産運用のアドバイスを行う専門家です。

損をしないためには理屈を押さえることが重要

前回は、投機・投資・資産運用の違いを説明しました。そして、資産運用とは世界の株式や債券に分散投資することであり、長期的に行うことでみんなが「Happy」になるもの、とお伝えしました。特に世界の株式への分散投資は、長期的に大きなリターンが期待できます。それは、現在50代の方であっても同じです。

資産運用を行う際は、なぜ世界株式への分散投資が良いのかの理屈を理解する必要があります。理屈を知らずに投資を始めると、株価が下がったときは恐怖心に支配されます。株価が下がるときは、当然悪いニュースが流れています。「悪いニュース」「下がる株価」を見ていると恐怖心から多くの人が資産運用をやめてしまいます。

それこそ、資産運用で損をしてしまう瞬間です。そうならないためには、世界の株式へ分散投資する意味や理屈を押さえておく必要があります。

まず解消していただきたいのが、「そうは言っても、いつかは世界株式が下がり続けるようになるんじゃない?」という疑問です。なぜ、価値の変動は起きるものの長期的には上昇する、と考えられるのか、解説していきます。

不況時でも上場企業全体でみれば黒字

図1
図1
ブルームバーグデータを元にファイナンシャルスタンダード作成

まずは図1をご覧ください。これは世界の上場会社全体の利益と株価の推移です。黄色の部分は利益を表しています。一番下のゼロのラインが赤字黒字の損益ラインで黄色の部分はすべて利益、つまり黒字部分を表しています。

「リーマンショック」
図1_リーマンショックの場合

2008~2009年頃を見てください。「100年に1度の危機」と言われた「リーマンショック」がありました。私の知る限りでは過去50年くらいの中では株式市場にとって一番の危機だったと思います。

それくらいのことがありましたから、確かに利益は減っています。赤字になった会社もあれば倒産した会社もあります。しかし、それでも全体では黒字です。

コロナショック
図1_コロナショックの場合

2020年も見てください。コロナショックで世界が一変しました。パンデミック、ロックダウン……。映画の中での出来事のようなことが現実になり、世界は大混乱しました。

世界株式全体の利益は減りましたが、それでもしっかり黒字です。そして利益が減っても回復し増えていっていることがわかります。世の中では、株式市場にとってネガティブでとんでもない出来事が起こります。しかし、そのようなことが起こっても、毎年世界の上場会社全体では黒字で利益を出していることがわかります。

毎年利益を出し続けることで、株主の価値が増える

図2
図2

では利益を出し続けて黒字だと、なぜ株価は上がり続けるのでしょうか。それを理解するためには、会社の資産と配当の仕組みを知りましょう。

図2をご覧ください。左側は企業の1年間の売上や利益を示す損益計算書(PL)で、右側は企業が保有する資産や負債・自己資本(純資産)を示す貸借対照表(BS)です。難しい話はここでは置いておいて、まず左側のPLを見てください。

全体の売上からさまざまな費用を差し引いて、さらに法人税などの税金も納めた後に残るものが純利益です。純利益から株主に配当を支払います。純利益のすべてを配当で支払わず、残る部分は会社の資産になります。

それがBSの右下の自己資本(純資産)の増加になります。自己資本(純資産)は株主のものです。つまり、純利益の行先は配当であろうが、自己資本(純資産)であろうが、「株主の資産」が増えることになります。

毎年、利益を出し続け黒字であるということは、株主にとっての価値が増え続けることになります。世界株式に長期で分散投資するということは、株主になるということであり、株主は毎年配当を受け取り続け、株主資本(純資産)は増え続けることになります。

黒字が増えることで純資産も増え続ける

図3
図3
ブルームバーグデータを元にファイナンシャルスタンダード作成

改めて、世界株式の純資産と株価がどのように推移してきたのか見てみましょう。
図3は世界株式の純資産と株価の推移です。ピンク色は純資産です。右肩上がりに増え続けていることがわかります。純資産は株式の「本質的な価値」です。通常、企業の価値は保有している純資産以下には理論上はならないからです。

株価を見ていると割高になったり割安になったり変動しますが、この本質的価値である純資産が増え続けているため、株価は下がってもある程度下がったらまた上昇に転じ、長期的には上昇を続けているのです。

上場企業は、黒字を出し続けるのが当たり前

上場企業は、黒字を出し続けるのが当たり前

なぜ純資産が増え続けているのか。それは先ほど説明した通り、世界株式全体では毎年利益、黒字だからです。ではなぜ毎年全体では黒字を出せるのか。

それは上場会社の立場に立てばわかります。上場会社は株主から利益を出すことを求められます。利益を出すのは「当たり前」で利益を成長させることを求められています。そのために経営計画、事業計画を立て、実行していきます。利益を出すためには、売上を伸ばす必要があります。そのため、新商品を開発したり、新しいサービスを始めたり、さまざまな企業と提携したりします。

また、利益を出すためにはコスト削減も必要です。非効率的な業務はデジタル化を急いだり、企業努力を続けないといけません。このように上場会社は利益を成長させるために創意工夫を行っています。

それでも赤字になる会社はあります。ただ、世界の上場会社全体では赤字の会社より黒字の会社の方が多く、全体では毎年利益、黒字を出し続けています。そこに自身のお金を投資する。これが資産運用です。

このような資産運用を行うと投資家はどのくらい恩恵を受けることができるのか。資産運用をした人としない人では、どのくらい差が出るのかについて次回ご説明します。

※情報は2023年10月時点のものです。投資に関する決定はご自身のご判断と責任のもとに行っていただきますようお願いいたします。

■もっと知りたい■

福田猛さんの連載は、毎月4日・18日に更新予定です。

福田 猛
福田 猛

ふくだ・たけし ファイナンシャルスタンダード代表。大手証券会社を経てIFA法人を設立。一般社団法人日本金融商品仲介業協会理事。著書に『この世でいちばん臆病な投資生活』(サンマーク出版)など。楽天証券、スマートプラスと業務委託契約。無料の個別相談資産運用について学べるセミナーが好評。