樹木希林さんの“生かすこと、使い切ること”
2024.09.152020年02月25日
人生の先輩に学ぶ、生き方と暮らし方の流儀2
樹木希林さんの“さりげない気遣い”の格好よさ
2018年9月に75歳で亡くなった樹木希林さん。生前の言葉や行動、暮らしぶりには、たくさんの示唆がありました。樹木さんと公私ともに親しくされていたという、石田節子さんの話からは、その片鱗をのぞくことができます。
着物を通して30年来のお付き合い(石田節子さん)
着物スタイリストの石田節子さん。「お正月を写そう♪」でおなじみのフジカラーのCMで、樹木希林さんの衣装を担当していたのが石田さんです。
樹木希林さんと出会ったのは私が35歳の頃。ドラマの衣装のスタイリングと着付けを担当したのをきっかけに、希林さんのきものを仕立て替えるお仕事をさせていただきました。
希林さん自身、きもの好きな上、きものをいただくことも多く、ご自宅には二竿では収まらないくらい大量のきものがありました。でも増え過ぎて、どうしていいか困っていらして。
それを「着てあげたいのよ。くださった方も喜ぶから、日の目に当てたいのよ」って。それで、毎日ご自宅に通って、着る物、人にあげる物、きものとしては使えない物、と一枚一枚、仕分けました。
希林さんには「捨てる」なんて考えはこれっぽっちもなくて、常に「どう生かすか」です。だから、やみくもにあげるのではなく、似合うきものだけをあげる。物の最後まで考える方でした。
たくさんあったきものが片づくまで、2年ほどかかったでしょうか。希林さんは、その後も、傷んで着られない物を洋服にリメイクしたり、パッチワークの布団カバーにしたりして、はぎれ一枚も捨てませんでした。