葬儀費用の相場はいくら?内訳や備え方などを解説
2021.07.082021年12月13日
自分の希望を叶え、遺族も困らせない
どんな葬儀がしたい? 最新事情と葬儀費用の相場は
「家族葬」や「オンライン葬儀」など、コロナ禍も相まって、最近の葬儀は多様化しています。そんな葬儀の最新事情と、費用の相場をご紹介。遺族を困らせないために、自分の葬儀について生前に決めておく、終活の進め方についても考えてみましょう。
従来の葬儀の相場と規模感は?
葬儀において特に気掛かりなのは、「どの程度の費用がかかるのか?」というポイントでしょう。まずは従来型の葬儀の相場について、鎌倉新書が運営するポータルサイト「いい葬儀」でお客様センターの責任者を務める久保田衛(くぼた・まもる)さんに教えてもらいました。
斎場の空き状況や、平日・休日などの日程によって葬儀費用は変動します、と前置きした上で、久保田さんは次のように説明します。
「葬儀費用(祭壇・棺・搬送費など一式の費用)に加えて、施設使用料(斎場、火葬場)、おもてなし費用(料理、返礼品)、僧侶へのお布施が必要です。当社が実施した『第4回お葬式に関する全国調査(2020年)』では、葬儀費用の平均総額は184万3300円でした。葬儀費用が119万2000円、飲食費が31万4000円、返礼品33万8000という内訳です」
同アンケート調査は2年ごとに実施されており、2015年以降は平均180万円前後で推移。ただ、様式や規模などには地域差があるそうです。
「各地の文化や風習によって葬儀の様式は異なっており、例えば中部地方のように先代の習俗を忠実に守って立派な祭壇にこだわるエリアがある一方、首都圏のように核家族化が進み、様式も多様化しているエリアもあります。費用はこうした違いに連動します」(久保田さん)
先程の調査では、中部地方の平均総額が203万6100円で最も高かったのに対し、関東地方は192万5300円、最も安かったのは中国・四国地方で163万8200円でした。
地域によって差があるとはいえ、200万円近い費用がかかる従来の葬儀は、やはり大がかりなものといえるでしょう。
簡略化・小規模化が進む最新の葬儀
しかし、ここ数年、葬儀の様式が大きく様変わりしています。首都圏を中心に多様化が進んでいることに加え、新型コロナウイルスの感染拡大は葬儀の在り方にも大きな影響を及ぼしました。
通夜や告別式を行わない「直葬・火葬式」、参列者の数を最小限に抑えた「小規模な葬儀」や「家族葬」、通夜を省いた「一日葬」を選択する人たちが急増したのです。
また、遺族が故人の側に付き添って別れの時間を過ごす「安置葬」や、スマホやパソコンからリモートで参列してもらう「オンライン葬儀」も登場しています。
ちなみに、「直葬・火葬式」「家族葬」「一日葬」の費用(全国平均)は以下の通りです。
■家族葬 137万914円
■一日葬 134万8500円
■直葬・火葬式 80万2624円
※鎌倉新書「第4回お葬式に関する全国調査(2020年)」
従来の葬儀に比べて、費用面でもかなり抑えられているのがわかるでしょう。
鎌倉新書が提携葬儀社を対象に実施した「コロナ禍におけるお葬式の実態調査(2020年9月)」によれば、直葬・火葬式が最初の緊急事態宣言下(2020年4月~5月)で急増したものの、その後は次第に減少傾向となり、代わって家族葬や一日葬が増えています。
「最初の緊急事態宣言の頃は、もう葬儀はなくなってしまうのではないかと思われましたが、そんなことはありませんでした。やはり少しでも故人とお別れの時間を作りたい、という遺族の想いは強いです。スタイルは変わっても、日本人にとって葬儀は大切な儀式なんですね」(久保田さん)
葬儀のことで遺族を困らせないためにできることは?
このように、のこされた人にとって葬儀は大切なものです。しかし、事前に準備をしておかないと、葬儀の手配は慌ただしく進められることになります。
「私どものサービスをご利用になるお客様の約6割は、すでにご家族が他界して葬儀の手配を急いでいる方々です。ご臨終の前後に急遽ネット検索で私どものサイトを探し出し、お問い合わせになるというパターンが多いようです」(久保田さん)
のこされた人が慌てずに、心を込めて送り出すためには、やはり終活の一環として、自分がどのような葬儀をしてほしいのかを生前に考え、それを伝えたり書き残したりすることが大切といえるでしょう。
特に、遺族が判断に困るのは様式や規模、予算です。「誰に参列してもらい、どんな内容(趣向)にし、どれくらいの予算をかけるのか」といったことについて希望をまとめておきましょう。
ただし、その際には自分が住んでいる地域の習俗にも配慮する必要があります。そこをまったく無視した内容の葬儀を希望すると遺族が戸惑うかもしれません。できれば生前に家族と相談して決めるのがいいでしょう。
また、自分の希望を伝えると同時に、費用も事前に準備しておくなど、葬儀を執行してくれる人たちにきちんと心配りをした終活を心掛けたいものです。
おひとりさまは葬儀を執行してくれる人の確保を
近くに頼れる人がいないおひとりさまは、どうしたらいいでしょう?
その場合は、葬儀に関する自分の希望をエンディングノートなどにしっかり書き記しておくとともに、信頼できる第三者に「死後事務」の履行を依頼しておくという選択肢があります。
例えば、三井住友信託銀行の「おひとりさま信託」なら、死後事務を行ってくれる一般社団法人を紹介してもらえ、葬儀についても自分の希望を反映できます。その際は、あらかじめ信託していたお金によって葬儀代が支払われることになるので、費用面でものこされた人に負担をかけずに済みます。また、契約すると「未来の縁-ing(エンディング)ノート」を電子媒体で管理してもらえるサービスも。必要な項目が厳選されていて、専門家に相談しながら準備できます。
久保田さんは、「エンディングノートをすべて記入した人は1~2%程度という調査もありますから、故人の希望に沿って葬儀のご契約をされるお客様は、ごく稀です」と言います。
「ですが私どもも、人生の終わりに向けてやるべきことは先延ばしにしないで、元気なうちに着手することが大事だと考えます。『QOD(クオリティ・オブ・ダイイング)』を考えることで、『QOL(クオリティ・オブ・ライフ)』が上がると思うのです」(久保田さん)
葬儀を考える終活、ぜひ今のうちから行っておきたいものです。
【鎌倉新書】
葬儀・お墓・相続・介護など終活関連のポータルサイト運営や冊子・専門誌を出版。累計相談件数150万件超。東証一部上場。ミッションは「明るく前向きな社会を実現するため、人々が悔いのない人生を生きるためのお手伝いをします」
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■記事協力=三井住友信託銀行