50・60・70代にそれぞれに必要な資産運用とは?
2024.04.112024年04月04日
物価上昇時代に負けないための「お金」の知識#5
老後資金を増やすために知る「株式・債券・投資信託」
IFAの五十嵐修平さんが、物価上昇時代に必要な「お金の知識」をお伝えする連載です。実は50代・60代・70代、それぞれ年齢によって選ぶべき金融商品は変わるんです。その考え方を2回に渡って、解説します。
教えてくれる人は五十嵐修平(いがらし・しゅうへい)さん
株式会社バリューアドバイザーズ 代表取締役。父親の影響で大学生の時に投資を始める。投資に“無限の可能性”を感じ、証券会社に就職。「中立な立場で顧客に資産運用の提案をしたい」との思いから2013年に会社を設立。ゴールを設定する欧米式の資産運用手法を基にIFAとして活躍中。著書に『55歳からでも失敗しない投資のルール』(インプレス刊)。無料の個別相談とセミナーが好評。
※IFAとは、特定の金融機関に属さず、独立した立場でお客さまに資産運用のアドバイスを行う専門家です。
ゴールベース運用の考え方のおさらい
第1回目では、インフレ時代に現金預金では資産が目減り実質的に目減りしてしまうこと。第2回目では、欧米のシニアはどのようにインフレを乗り越えてきたか、そして、資産運用に対する考え方の違いによってどのように差をもたらしてきたか、第3回目では、金融リテラシークイズでみなさんの現状をご確認いただき、第4回目では、目的と目標を見据えた計画的な方法である「ゴールベース資産運用」について解説しました。
米国人の人生を豊かにしてきた「ゴールベース運用』ですが、実は年齢(フェーズ)によって具体的な「金融商品の使い方」は変わってきます。
今回と次回で、50代、60代、70代の年齢別の具体的な運用方法を解説していきます。
今回は具体的な金融商品のお話になりますので、本題の前に株式投資や債券投資、投資信託についての用語を解説します。
世界株式への分散投資は15年間保有すれば100%プラスに
まず「株式投資」について解説します。株式投資は「会社のオーナー(株主)になって利益の一部をもらう」投資です。
もらえる利益のことを「配当金」と呼びます。投資先の会社が絶好調だとたくさん配当金がもらえますので、その会社のオーナーになりたい人が増えます。すると、株式の価値は値上がりするため大きくプラスになります。
一方、赤字だと利益がないので配当金がもらえませんし、株式の価値が大きく下がることもあります。いわゆる「ハイリスク・ハイリターン」なのです。
しかし、そんな株式投資でも長期でやるほどマイナスになる可能性が低くなるんです。以下の図は直近約50年間の世界株式へ分散投資した場合の実績になります。
世界株式へ投資して1年間だけ保有をした場合は、プラスになる可能性は67%です。やはり、その年の景気に左右されます。
しかし、5年・10年と保有期間を長くしていくとだんだんプラスになる確率は高くなっていき、15年間保有した場合は“景気に関係なく”プラスになる確率は、なんと!「100%」だったのです。ポイントは「長期&分散」です。
債券投資なら利息の定期収入がもらえる
次に債券投資について解説します。債券投資は「お金を貸して利息をもらう投資」です。
例えば、国にお金を貸すと国債、企業にお金を貸すと社債と呼びます。基本的には、利息も償還日(満期日)も最初から決まっていて、利息収入が償還日までずっと入ってきて、償還日になると投資したお金(元本)がそのまま返ってきます。
株式と違って「毎年もらえる利息」も「償還日に返ってくるお金」も決まっています。いわゆる「ローリスク・ローリターン」なのです。
<イメージ図>
投資信託はプロが手掛けるパッケージ商品を買うイメージ
最後に「投資信託」について解説します。投資信託は「プロに運用をお願いする」投資です。そして、投資信託は「プロが厳選した株式や債券が入ったパッケージ商品」なのです。
株式だけが入っている商品もあれば、債券だけが入った商品、株式と債券の両方が入った商品もあります。そして、なによりプロが代わりに「分散投資」をしてくれる点が最大のメリットです。
デメリットはプロに運用をお願いするのでコスト(手数料)が少しかかります。でも、自分で勉強して投資するよりもプロに手数料を支払って運用する方が失敗する可能性が低いと思います。
例えば、自分で前髪を切ると失敗することもあると思いますが、美容室に行けば失敗する確率は低くなるのではないでしょうか? それと同じです。
次回は、今回解説した「株式」「債券」「投資信託」3つの金融商品を、50代・60代・70代それぞれの年齢ごとにどのように考えて組み合わせるのかお伝えします。
■もっと知りたい■
- 次回:50・60・70代にそれぞれに必要な資産運用とは?
- 第1回:老後資金が貯金だけはNG!将来「減ってしまう」理由
- 第2回:物価上昇で損する日本のシニアと、増やす欧米シニア
- 第3回:今ドキお金の常識〇×クイズ!あなたはいくつわかる?
- 第4回:欧米の富裕層シニアの秘訣「ゴールベース運用」とは?
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