「また会いたい」54歳女性が恋に落ちた瞬間

【体験談・54歳チフミの恋2】既婚者パーティで出会った彼に、私は夢中になった

【体験談・54歳チフミの恋2】既婚者パーティで出会った彼に、私は夢中になった

公開日:2026年05月17日

【体験談・54歳チフミの恋2】既婚者パーティで出会った彼に、私は夢中になった

既婚者向けの出会いの場で知り合った彼。会いたくて苦しくなる感情、抱きしめられたときの幸福感、涙が出るほど揺れる心。54歳既婚・チフミさんが「女として生きる喜び」を取り戻していく日々を描きます

「恋なんて自分には関係ない」ずっとそう思って生きてきた

Ushico / PIXTA

前編記事はこちらから。

けれど、心のどこかでは“誰かに求められたい”という気持ちが消えていなかったのだと思います。そして私は、勇気を出して一歩を踏み出しました。

既婚者向けのマッチングアプリに登録はしたものの、実際に誰かと会うとなると気が引けて、なかなか一歩を踏み出せませんでした。

でも今思えば、あの頃の私は、「恋をしたい」というより、「自分の人生をもう一度動かしたい」と思っていたのかもしれません。

「会う気もないなら登録するな」

そんなメッセージが来たこともあります。そういうことに積極的になれない女性の気持ちをわかってない男性なんだなと思いました。

勇気を振り絞って参加した「既婚者パーティ」での出会い

Ushico / PIXTA

そのアプリで、あるとき「既婚者パーティ」というのがあったので申し込んでみました。大勢で集まるなら、怖いと思えば帰ってしまえばいい。短大時代の友人を誘おうかと思いましたが、「何考えてるの」と言われそうだったから、なんとか一人で応募しました。

当日、おずおずと会場に行ってみると、なんだかまるで同窓会みたいに、みんな普通の顔をして集まっていた。会を仕切るスタッフも感じがよくて。飲み物を取りに行こうとしたら、近くにいた男性が「何を飲みます?」と取ってきてくれました。

その方としばらく話したあと、パーティが始まりました。貸し切りレストランで、4人掛けテーブルが10席くらい。席替えもあるので、いろいろな方たちと話せて楽しかったという印象です。

最後に話したグループで、「話し足りないから二次会に行こう」ということになり、私も参加しました。あと2人、「一緒に行きたい」という男女がいたので、6人で行ったんですが、この二次会が盛り上がりました。

誰も家庭の話なんてしなかった。世代が近いこともあって、昔のアイドルの話とか趣味の話とか。

私、実は洋楽好きで、マドンナとかマライア・キャリーなんかをよく聴いていたんです。

隣にいたカズトさんという男性が、「僕も好きだったなあ」と共感してくれて、しばらくぶりに90年代の洋楽ヒット曲について語り合いました。

出会ったその日のハグ。軽く見られてはいけない

帰りに全員とLINE交換をしたんですが、帰宅する前にカズトさんから連絡がありました。

「どうしても今すぐ、もう一度顔が見たい」

その言葉にドキリとしました。とって返して、もう一度少しだけ会いました。

「今度、二人だけで会いたい」

そう言われて頷きました。

軽くハグして手を握り合って、そのまま別れましたが、ふわりと香った彼のかすかな体臭が、すごく心地よくて。

1週間後、二人で食事をしました。

それまでの1週間、毎日LINEでいろいろ話して。会ったときは、すっかり二人ともお互いのことをわかりあっている気になっていて、LINEの文章と現実を埋め合わせるような作業をして、さらに安心して。

「帰したくないなあ」

そのときの彼の言葉が、また私の胸を撃ち抜きました。

「帰らなくてもいい」と言いかけたけど、安く見られてはいけない気がして、「今日はここで」と前よりしっかりハグしました。

膝から力が抜けそうでしたが、「今日はダメ」と自分に言い聞かせて。

暗黙の了解で越えた一線

 毛並良好 / PIXTA

そしてまた1週間ほどたった頃、お互いの暗黙の了解でホテルへ行きました。彼は私に迷う時間を与えず、軽く食事をして、すぐタクシーに乗せられた。

部屋に入ってからも彼はじっと私を抱きしめて、「早くこうしたかったんだ」「きれいだよ」と耳元で囁いて。

ドラマの主人公にしてくれた。ずっと「きれいだよ」「好きだよ」と言ってくれて。

タクシーで家まで送ってくれると言ったけど、さすがに危険なので、最寄り駅のいくつか手前の駅まで送ってもらいました。降りるときに彼は私の手を握って、「また会えるよね」って。

この日のことは一部始終覚えています。私が生まれて初めて恋した日のことですから。

この先どうなるのかなんて、わからないけけれど

 shimi / PIXTA

それから8か月、今も彼との関係は続いています。

月に数回会えることもあれば、慌ただしくお茶だけというデートが続くこともある。彼の仕事のスケジュールによるんですよね。忙しい人だから。

仕事の内容も家庭状況もみんな話してくれているから、彼のことは信頼しています。

「本当は僕ら、若いときに出会って一緒になるべきだったんじゃないかな」

彼がそう言ったとき、私は泣きました。

同い年ですが、彼が結婚したのは40歳手前だったので、子どもはまだ中学生と小学生。無責任なことはできないと彼は言うし、私もそれはわかってる。一緒になんてなれません。

不思議なことに、夫を裏切っている実感はありません。夫とはもう長年、男女ではなくなっているからでしょうか。あるいは私が夫に「男」を感じていないからでしょうか。

最近、パートの時間を少し増やしました。たまには新しい服も買いたいから。

頭の中はお花畑だったり谷底だったり。揺れています。せつなくて悲しくて、一人で涙が出ることもあります。でも、こういう「揺れ」こそが恋なんだと実感しています。

もちろん、この恋に“正しい答え”があるとは思っていません。でも、54歳になって初めて、自分の感情が大きく揺さぶられる経験をしました。

この先どうなるのかはわからない。いつか終わる日が来るのかもしれません。

それでも私は、「恋をしている今の自分」を、嫌いではないんです。

亀山早苗
亀山早苗

東京生まれ。明治大学卒業後、フリーランスのライターとして雑誌記事、書籍の執筆を手がける。おもな著書に『不倫の恋で苦しむ男たち』『復活不倫』『人はなぜ不倫をするのか』など。最新刊は小説『人生の秋に恋に落ちたら』。歌舞伎や落語が大好き、くまモンの熱烈ファンでもある。