死別の悲しみを抱いてどう生きていくか#3
突然の夫の死、難病の息子との別れ――喪失の悲しみが愛しさに変わるまで
突然の夫の死、難病の息子との別れ――喪失の悲しみが愛しさに変わるまで
公開日:2026年03月19日
取材者:河合真美江(かわい・まみえ)さん
1986年に朝日新聞社入社。松江支局や大阪本社整理部、文化部、金沢総局などに勤務し、文芸やジェンダー、死別と向き合う生き方などを取材してきた。2025年6月に退社。「ベルサイユのばら」で宝塚歌劇と出会い、記者として歌劇100周年のころを担当。
【体験談3】スキー中の事故で夫が44歳で急逝した女性
子煩悩な優しい夫と突然の別れ。最後にかけた言葉は
事務機器メーカーに就職すると、きっちりと仕事をする「めんどくさい先輩」がいた。ある日、得意先でコピー機のセットアップをミスした。あの先輩が助けに来てくれた。ミスをとがめることもなく、逆にねぎらってもらった。彼のことが好きになった。
広島県廿日市市の山本薫さん(47歳)。「かおぴー」と呼んでくれる10歳上の彼、一善さんと23歳のとき結婚した。「善ちゃん」は声を荒らげることのない、優しい夫だった。
大のスキー好き。幼い長男の一輝さんをよく連れて行った。六つ下になる長女の真結子さんが生まれると、いっそう喜んだ。子煩悩で、帰宅すると一番に子どもたちの寝顔をのぞきこんだ。
写真館でお宮参りの写真を撮ろうと張り切った。主役の真結子さんは水色のドレスでキメたのに、ゴキゲンななめで大泣き。善ちゃんが汗だくであやして撮った。
別れは突然だった。幸せいっぱいのあの1枚が、善ちゃんの遺影になるなんて。2008年の冬。善ちゃんはスキー中の事故で右足のアキレス腱を断裂する大けがをした。手術後のリハビリは順調で、松葉杖で歩けるまでになった。
ところがしばらくして、容体が急変した...




