山本ふみこさんのエッセー講座 第9期#1
2024.10.312021年07月12日
青木奈緖さんが選んだエッセー作品の紹介とQ&A動画
青木奈緖さんのエッセー通信講座第2回参加者の4作品
「家族」をテーマにしたエッセーの書き方を、エッセイストの青木奈緖さんに教わるハルメクの通信制エッセー講座。参加者に寄せられた作品から青木さんが選んだエッセーを紹介します。父と息子、母と息子など、心温まるエピソードをお楽しみください。
青木奈緖さんが選んだ4つのエッセー
「青木奈緖さんのエッセー講座」参加者による家族のエッセーです。
クリックすると、作品と青木奈緖さんの講評をお読みいただけます。
「息子に囲碁を教える」岩田實さん
私は囲碁が趣味である。高校生の頃に父親に囲碁を手ほどきされ……
「時の道筋」宇野百合子さん
NHKにファミリーヒストリーというテレビ番組がある。毎回ゲストが……
「幸せを運ぶ〈てがみ〉」岡島みさこさん
「うちのお風呂がこわれてしまったの。あした入りに行っていい?」……
「遠回りしたけれど」加藤菜穂子さん
「なおさん、今から打ち合わせいいかなあ?」と社長から声を掛けられるたび……
エッセーに関する質問・お悩みに動画で回答
通信制エッセー講座の参加者から寄せられた質問やお悩みに、青木奈緖さんが動画で回答します。
質問「歌詞や文章を引用するときの決まりや注意事項を教えてください」
青木さん:引用は、それが読者もよく知っている歌や詩の一節だった場合、奥行きがふわっと広がるんですね。「わかる!」と共感をすることもありますし、作品の世界が広がることもあり、引用をなさりたいという気持ちはよくわかります。実際に効果もあります。 ただ、よそ様の著作物なので、引用には守らなければならない決まりがあります(著作権法といいます)。以下にピックアップしてみました。
【引用の決まりごと】
- 公表された著作物であること
- 曲のタイトルと作詞者の名前(文章の場合は書名と著者名)を明記すること
- (漢字の表記など、すべてにおいて)歌詞(文章)を変えないこと
- 引用部分とそれ以外の部分が明瞭に区別されていること
- 自分の著作物が主で、引用する歌詞(文章)が従になっている
- 引用する目的に必然性が必要
これを例文にしてみると、こうなります。
〈例文1〉
今日はとてもいいお天気でした。そのとき私はなぜか世阿弥の『高砂』の一節を思い出しました。
高砂やこの浦舟に帆を上げて / この浦舟に帆を上げて
月もろともに出潮の
波の淡路の島影や
(中略)
はやすみのえに着きにけり
はやすみのえに着きにけり
このあとずっと私の書いたエッセイがつづきます。………
解説をしますと、この例文1では、1行空けて、明白にここからは私の文章ではなく「引用」です、という形をとっています。左にも2マス意図的に空けています。そして「高砂やこの浦舟に帆を上げて・・・」という歌詞をその通りに書いています。『高砂』は時代が古いので表記については諸説ありますが、新しい歌だったらば、漢字や数字の表記などに気を付けて、作詞者が書いていらっしゃる通りにしてください。
歌詞は1節ずつで改行していくと、行数をかなりとってしまいます。そこで、引用の3行目「月もろともに出汐の」の後に「/(スラッシュ)」斜線を入れて、次の1節を続けて入れるというやり方もあります。その次の1節はわざと略したんですけど、この場合には(中略)と入れています。
引用が終わったら、ここで引用は終わりですと表すために1行空けて、この後、『高砂』についての私のエッセーがずっと続きます。
〈例文2〉
今朝はとてもいいお天気でした。清少納言は『枕草子』の冒頭で「春はあげぼの。やうやう白くなり行く、山ぎは少し明かりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる」と言っています。
例文2は、歌詞でなく文章の引用ですが、「」で括って地の文章と区別する形をとりました。
動画では、例文の詳しい解説を青木さん本人の言葉で聞くことができます。
また、参加者のエッセーを紹介するコーナーでは、母と子ともまた違う、父と息子の関係を見事に表現なさった岩田實さんの作品「息子に囲碁を教える」を青木さんの朗読で紹介しました。ぜひご覧ください。
エッセイスト・青木奈緖さんのプロフィール
1963(昭和38)年、東京生まれ。文豪・幸田露伴を曽祖父に、作家・幸田文を祖母に、随筆家・青木玉を母に持ち、自身もエッセイストとして活躍。著書に『幸田家のきもの』(講談社刊)、『幸田家のことば』(小学館刊)他。
ハルメクの通信制エッセー講座とは?
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回家族の思い出をエッセーに書き、講師で随筆家の青木奈緖さんから添削やアドバイスを受けます。
書いていて疑問に思ったことやお便りを作品と一緒に送り、選ばれると、青木さんが動画で回答してくれるという仕掛け。講座の受講期間は半年間。
次回第4期の参加者の募集は、2022年1月に雑誌「ハルメク」の誌上とハルメク旅と講座サイトで開始予定。募集開始のご案内は、ハルメクWEBメールマガジンでもお送りします。ご登録は、こちらから。