心療内科医・姫野友美さん

2023年12月17日

年を重ねても輝ける心と体に大切なこと

心療内科医・姫野友美さんに教わる大人女性の「栄養」

自分の食生活に自信がある方はどれくらいいるでしょうか?「カロリーは足りていても食品の偏りで栄養が取れていない方が多い」と心療内科医・姫野友美さんは言います。クリニックで取り入れている栄養療法とは? 50代の女性に必要な栄養素を解説します。

若々しさの秘訣は「栄養療法」

クリニックでの診療、テレビ番組「主治医の見つかる診療所」(テレビ東京)などへの出演など、忙しい毎日を送る心療内科医・姫野友美さん。取材のために、私たちが「ひめのともみクリニック」を訪れたのは、夜の8時を過ぎた頃でした。

実は、編集部と姫野さんとのお付き合いは、かれこれ10年以上。この日も診察後で疲れていらっしゃるはずなのに、編集部が感じたのは「最初にお会いしたときと全然変わっていない!」ということ。お会いするたび、以前と変わらない若々しさに驚かされます。

姫野さんは、現在66歳(2019年取材時)。

「おやつの撮影用に、お皿を出しましょうか?」と私たちを気遣い、テキパキと撮影小物をご用意くださる姿も、くすみのない明るい顔色も、元気そのもの。

この若々しい姿こそが、姫野さんが伝える「食(栄養)のバランスを整えること」の重要性を物語っています。

 

栄養指導でうつやパニック障害が改善

姫野さんが栄養の大切さに行きついたのは、あらゆる治療を行っても改善しない患者さんの存在でした。患者さんをどうすれば治せるか悩むなかで、「栄養療法(オーソモレキュラー医学)」に出合います。

姫野さんがご自身の専門である心療内科での治療に取り入れているのは、「分子整合栄養学医学」に基づく「栄養療法」。

「人間の体は食べ物からの栄養で成り立っている。体内分子(栄養)を正常な状態に整えれば細胞が活性・修復を行い、その結果、自然治癒力が高まる」というものです。

心療内科医・姫野友美さんのクリニック

例えば、うつ病やパニック障害などの治療はストレスの回避や休息、投薬などが主流ですが、「栄養療法」では、脳に必要な栄養素・アミノ酸(たんぱく質)の補給指導などを行います(※人により必要な栄養素は異なります。正確に知るには血液検査が必要)。

この「脳への栄養補給」で脳の神経伝達機能が回復し、今まで改善しなかった患者さんも、心と体が前向きに変わっていったそう。

「食事を変えるだけで、認知機能が上がる方も多い。それほど、栄養は大切なんです」

栄養不足は縁遠いことではなく、毎日の食事だけでは栄養が足りていないシニアの方や、カロリーは取っていても食品の偏りで栄養が取れていない方など、意外に多いそうです。

姫野さんご自身もこの治療法に50代のときに出合い、食生活にいち早く取り入れたのだとか。

「自分のそれまでの不調が改善されて、この療法のすごさを身をもって感じました」

50代女性こそ、栄養状態を整えて

「ひめのともみクリニック」には、心と体の悩みを抱える50代の女性が多く受診にくるとのこと。

「50代は子どもの独立などで役割や目的の喪失を感じやすい時期で、加えて閉経など体の変化も起きてきます。脳の機能としてはドーパミンやセロトニンが減ることで、トキメキが少なくなり、イライラや集中力の低下が起きます。たんぱく質や各種ビタミン、鉄、カルシウムなどを積極的にとるとよいですね」

「また、コレステロール値を気にして肉や魚、卵などの動物性食品を抑えすぎる方がいますが、これは逆効果です。コレステロールはたんぱく質と同様に女性ホルモンやストレスに対抗するホルモンのコルチゾール、細胞の膜などの材料にもなるからです。良質な動物性食品も意識して取ってください」

心療内科医・姫野友美さん

物覚えの悪さも、すぐれない気分も疲れやすさも、毎日の食事やおやつ、間食で上手に栄養を取ることによって改善する可能性が高いのです。年だから仕方ないと諦めず、できることをやってみてはいかがでしょうか。

 

「回復が早い」ことが栄養療法のよさ

「栄養療法の一番のよさは、体と心が回復するための土台を作ってくれることだと思います。誰だって疲れることもあるし、嫌なことがあれば体が反応してパワーダウンもします。でも、土台がちゃんとしていれば復活することができますから」と、姫野さんは言います。

「私だって、ガックリと落ち込むことも病気になることもありますよ。それは生きていれば仕方がないことですよね。でも、翌朝には、“何とかなる”と元気になれます。栄養状態が良いと、復活のパワーが衰えないんです」

姫野さんが栄養のことも考えて、普段食べているおやつ(間食)は栄養豊富なナッツ類です。また、たんぱく質が取れる卵や豆乳などの食品もいいといいます。

年を重ねて、ますますパワフルに生きる姫野先生。何を食べるかの選択はどんな毎日、ひいてはどんな人生を送るかの選択なのかもしれません。

※この記事は2019年10月の記事を再編集して掲載しています。


 

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元気に毎日を送る心と体を作る食べ方を、もっと深く知ることができる姫野さんの著書もおすすめです。

『心療内科に行く前に食事を変えなさい 疲れた心に効く食べ物・食べ方』(1333円+税/青春出版社刊)

『美しくなりたければ食べなさい 魅力的になる「秘密の方程式」』(700円+税/三笠書房刊)

ひめ のともみクリニックのホームページはこちら    

和田聡子
和田聡子

「ハルメク 健康と暮らし」健康食品担当として、日々、奮闘中。趣味は占星術で、世界中の占星術家が集まりセミナーを行う大会にイギリスまで行き参加したことも。「人参通信」では、毎月の星占いを担当しています。

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