息をのむ紅葉のリフレクション!京都「瑠璃光院」へ
2023.11.052024年07月10日
京都で新緑を楽しむ旅!
「瑠璃光院」と雨の日こそ訪ねたい「圓光寺」
紅葉で有名な京都の「瑠璃光院」。実は新緑の季節も素晴らしいのです。案内してくれるのはバラ愛好家の奥野多佳子さん。もう1つの名所「圓光寺」と、絶対立ち寄りたい絶品ランチとおいしいスイーツ店もご紹介します。
春は色鮮やかな花であふれる庭を眺めながら心躍らせますが、バラが終わりを迎えると、その気持ちを落ち着かせるように庭は木々の緑で覆われます。
初夏は緑の美しい季節! 紅葉のリフレクションが素晴らしかった京都・瑠璃光院の青もみじを見たくて訪ねました。紅葉の頃のような混雑はないので、美しい新緑に包まれてゆったりできました。そして雨の日こそ楽しめるお寺もありました。
※写真が数多くあります。Yahoo!等でお読みの方は「次へ」のマークをクリックしてご覧ください。
重なり合う青葉と木漏れ日をひっそり楽しむ「瑠璃光院」
大きな木々に覆われた山門、華やかな紅葉の季節に比べると落ち着いた雰囲気です。
訪れたのは7月6日。まだ梅雨も明けない頃でしたが、この日は快晴。まぶしいほどの光にあふれていました。
山門をくぐると見えてくる「山露地の庭」、昨夜降った雨で石段がしっとり……苔もきれいです。
石橋を渡ると玄関へ。数寄屋造りの建物が見えてきます。
紅葉の時期は大勢の人の出入りで混雑していましたが、今はそんな騒がしさがないので参拝する心構えまで違ってくるようです(笑)
まず、書院2階から眺める「瑠璃の庭(るりのにわ)」
すごい! 青もみじのリフレクション! 秋は華やかな色彩の饗宴でしたが、青もみじは緑一色! 緑に包まれる感じです。
どれだけの木があるのでしょう……その一本一本が大きく枝を広げ葉を繁らせ重なり合っています。
緑といってもいろんな色合いがあることに気付きますが、光を浴びて輝く新葉と、奥に潜む葉とのグラデーションが奥行き感を出して、圧倒的な迫力で迫ってきます。窓に囲まれた一枚の絵画です。
このお部屋を後ろから見ると、こんなふうになっています。
部屋の窓近くに塗り机が3つ繋げて置いてあって、外の景色が机に反射するように配置されています。部屋全体が緑に染まっているようです。秋には人がいっぱいでこんな写真は撮れませんでした(笑)
そして、1階からの瑠璃の庭です。お座布団に座ってゆっくり眺められました。苔がきれいで、緑にあふれています。
多くのカエデが繁る深い山の地に、いく重にも苔が重なり清らかな泉が湧き、庭が瑠璃色に輝くことから「瑠璃光院」と名がついたといわれているので、庭の苔は大切にお手入れされているそうです。
お部屋ではお抹茶がいただけます(1000円)。お菓子は「八瀬氷室」という瑠璃光院が販売しているお菓子です。氷に見立てた小豆が入ったお菓子で、おいしかったので昨秋にはお土産にしました。
秋はお抹茶もお茶室でいただきましたが、今回は平日だったのもありほぼ貸し切り状態で、瑠璃の庭を見ながら本当にゆったりとできました。秋の混雑が嘘のように落ち着いた雰囲気!
廊下を進むと「臥龍の庭(がりょうのにわ)」が見えます。ピカピカに磨かれた床に、光と青もみじが映り込んでモザイク模様のようにきれいです。
臥龍の庭には池があります。水面が揺らいで鯉もゆったり泳ぎます。
モミジの種坊……この季節になると赤く色づいてとてもかわいい! 羽根がついているので私はモミジのプロペラと呼んでいますが、種坊もこれからどこかへ飛んで旅する季節になりました。
瑠璃光院は紅葉の床もみじで有名ですが、青もみじもしっとりしてグラデーションの美しさは見事です。そして何よりゆっくり楽しめることも魅力です。
美しい自然の……でもそれは日々庭師の方のお手入れがあってですが、色彩鮮やかで、光を受けて煌めく新緑はこの季節だけのもの。新緑のリフレクションも圧巻でした。
夏の特別拝観
- 拝観期間:2024年7月13日(土)~8月18日(日)
- 拝観時間:10時~17時(16時30分受付終了)
- 拝観料金:2000円
- 夏の拝観は予約がいりません
瑠璃光院(るりこういん)
京都市左京区上高野東山55
※瑠璃光院では、春季・夏季・秋季の特別拝観期間のみ境内への参拝ができます。
*瑠璃光院の見どころやアクセス、紅葉のリフレクションを書いた記事も併せてご覧ください
雨の日に訪ねたい「圓光寺」
京都左京区一条寺にある圓光寺を訪ねた日は、うって変わって雨の一日でした。山門もしっとり。
階段を上がると枯山水のお庭、奔龍庭(ほんりゅうてい)です。渦を巻き流れる白砂を雲海に見立て、天空を自在に走る龍を石で表しているそうですが、あまりにモダンで見とれてしまいました。
本堂の書院に入ると 青もみじが目に飛び込んできます。雨でしっとり……ここは十牛之庭(じゅうぎゅうのにわ)。池泉回遊式庭園です。縁側の緋毛氈が効果的で、柱を額縁にした一枚の絵をモダンに引き締めている感じがします。
禅の悟りに至るまでの道筋を描いた「十牛図」をもとに作られた庭で、牛に見える石が十配置されています。ちょうど中央に見える横長の石も牛のよう……。
圓光寺も秋の紅葉の美しさは有名です。人気があるので秋の参拝は予約が必要ですが、夏は予約は必要なく、この日は平日で、しかも雨だったので本当にひっそりと静かな境内。十牛の庭を独り占めでした。
縁側の毛氈に座って雨の音を聞きながら、時間が止まったような静寂の中、気持ちがとても落ち着くのを感じます。
そんなとき、ほんのかすかに聞こえるのが水琴窟の音です。雨でしっとりした景色の中、澄んだ音が静かに響いて……。友人が動画で撮っていましたが何度聞いても美しい音色でした。
お庭を一周すると、洛北で最も古いといわれる栖龍池(せいりゅうち)があって、蛙がいるんですね、鳴き声が聞こえてきました。
遊歩道を奥に進むと鐘楼もあります。竹林もあるので、書院の縁側から眺めているよりずっと奥が深いようです。
「応挙竹林」と言われる竹林。江戸時代中期に人気のあった京都の絵師、丸山応挙がよく通って竹林をモデルに描いたとか。寺には「雨竹風竹図屏風」(重要文化財)が残されているそうです。雨竹って、この日のようなしっとり雨に濡れる竹を描いたのでしょうか。
苔が美しいことでも有名なお寺ですが、雨の日に見るのが一番きれいとか。近くで見ると面白い……ちくちくしていそうで柔らかい(笑)
中門から入り口にある奔龍庭を眺めると、やっぱりモダンな枯山水だなって思えます。白砂、石、縦に伸びる緑、周りを覆う木々……限られた色彩と形でそのコントラストが美しい! 十牛之庭は「額縁の庭」と言われていますが、この奔龍庭も一枚の絵のようです。
雨の日の新緑は本当にしっとりと美しいですね。晴れた日にそよぐ若葉も柔らかく気持ちがいいですが、雨の日は瑞々しくて生き生きしています。
雨の日のお出掛けは、できれば避けたいといつも思っていましたが、この日は雨の日だからこその風景に出合えました。ポタポタと滴り落ちる雨粒、雨の音に消されるようにひそかに聞こえる水琴窟の音、何より鮮やかな緑に、心まで洗われそうで1時間近く書院から眺めていたでしょうか。
日常を離れた落ち着いたひととき、とても大切に感じました。
今回は期せずして、雨と日と晴れの日の青もみじを見ることができました。どちらもそれぞれの良さがわかって、とってもいい機会でした。
圓光寺(えんこうじ)
京都市左京区一条寺小谷町13
- 拝観時間:9:00 ~ 17:00
- 拝観料:600円
- 駐車場無料
■宿泊
今回はザ・プリンス京都宝ヶ池に宿泊しました。
ホテル前の国際会館駅から圓光寺まで バスでおよそ30分。車で10分。瑠璃光院までバスで30分です。私はホテルのレンタサイクルで瑠璃光院へ行きました。ホテルから20分ほど、上り坂ですが電動アシスト付き自転車※なのでラクラク~(笑)。新緑の中のサイクリング、楽しかったです。※半日1760円~、要予約
おしゃれなランチはいかが?AWOMB(アウーム)の「手織り寿司」
ランチは京都烏丸にある楽しいお寿司をいただきました。
町屋を改装したシンプルなお店「AWOMB(アウーム)」、京都の食材で作られたおかずが小さなサイズで15種類並んでいます。海苔で手巻き寿司のように巻いたり、酢飯にのせたり、自分でカスタマイズしていただけます。
おかずの載った皿の手前にはわさび、ガーリック、アーモンドのスライス、ブラックペッパーなど10種類の薬味があるので味変できるのが楽しいです。
生湯葉+鴨肉+ラフランスの組み合わせや、ブロッコリー+抹茶ラスク+たたき牛蒡という組み合わせなどがあって、およそお寿司の具材という概念にとらわれないメニューでとても楽しく、季節によってメニューは変わるのでお気に入りのお店です。お品書きも横に置かれているので、どれを食べるか迷ってしまいます(笑)。手織り寿司3960円。
アウーム烏丸本店
京都市中京区姥柳町189
- 営業時間:11:30-15:00 (Last call 14:00)/ 17:30‒21:00(Last call 20:00)
- 定休日:なし
- 地下鉄烏丸線「四条駅」より徒歩7分、阪急京都線「烏丸駅」より徒歩7分
※アウームは西木屋町にもお店がありますが、お料理の内容が違います。また、人気のお店なので必ず予約してください。
スイーツはいかが?Koe‘ donuts(コエ ドーナツ)
お寿司を食べた後、東へ5~6分歩くと(四条河原町からは2~3分)新京極商店街がありますが、その中にナイフとフォークで食べるドーナツのお店があります。
「コエ ドーナツ京都」。実はこのお店、ドーナツもおいしいのですがその内装が印象的です。建築家の隈研吾さんが手がけていて、京都嵐山の竹で編まれた竹かごが、天井や壁を覆っていてドーム状になっています。
かごの網目から照明の光が漏れて穏やかな和モダンの空間……斬新ですね~。初めて行ったときは宇宙空間のようで驚きました。
ここではイートインできます。京都の食材を使ったオーガニックにこだわったドーナツで、オープンキッチンがあるので出来立てのドーナツが味わえます。写真左のイートイン限定メニューの「ドーナツメルト ストロベリー」は、まるでケーキのよう!ちょっとお高め1100円。
一番上の写真のクッキー缶(2280円)もおしゃれでおいしいです。
コエ ドーナツ京都
京都府京都市中京区新京極通四条上ル中之町557
- 営業時間:9:00-20:00
- 阪急京都線「河原町」駅 9番出口より徒歩約1分
京都は学生の頃から通った街で、当時は京都らしさが重要視されていました。でも最近は、町家を改装して独自性のある面白いお店が増えてきて、行くたびに昔の面影が消えていく寂しさはありますが、新しさに出合える楽しみが増えてきました。過去と未来が同居する街でしょうか……京都、大好きです!
※記事中の金額は2024年7月現在、すべて消費税込みです。
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