シニアに広がる「推し活」イマドキ事情
2023.07.272023年08月30日
シニア世代のシンクタンク所長が考察
今どきのシニアの居場所は?「集う」場所はどこ?
雑誌「ハルメク」のシンクタンク「生きかた上手研究所」所長の梅津順江が、ミドル~シニア世代の女性のトレンドを読み解きます。今回は50歳~81歳の女性に「集う場所」に関するアンケートを実施。地名だけでなく、施設も多数挙がりました。
若者は「渋谷」から「新大久保」へ。シニアは「巣鴨」からどこへ?
2023年7月10日、マツコ・デラックスさんが、TOKYO MXのテレビ番組「5時に夢中!」で、若者の渋谷離れについて独自の考えを公表して、話題になりました。マツコさんは、渋谷の変化について、次のような見解を述べていました。
「悪い意味じゃなくて、普通の街になったんだと思う。渋谷が。特殊なヤマンバギャルみたいなのが来る街じゃなくて大ターミナル駅に」
渋谷は再開発による高層化で30~40代のビジネスパーソンが増え、10代は新大久保に流れているといいます。
一方で、50代以上のハルメク世代はどうでしょう。今どきのシニアはどこに集うのでしょうか。
ハルメク 生きかた上手研究所は「集う場所に関するアンケート調査」を6月9日~12日、インターネットで、50~81歳の全国の女性458人に実施。「あなたの世代に向けたイベントが開かれ、同世代の方々が集まるとしたら、どこが適していると思うか」を自由に答えてもらい、コード化して集計しました。
シニア世代が考える「集う場」として適している場所ランキング
(50~81歳の全国の女性 458人)
※「東京・銀座」は、有楽町・丸の内・日比谷、「神戸」は三ノ宮、「渋谷」は恵比寿・広尾、「地元」は最寄駅・母校も含めている
※3位「商業施設」は「イオン」「あべのハルカス」「地域の役所・公会堂」など、16位「観光スポット」は「伊勢神宮」「法隆寺」「奈良公園」「大通公園」「海、山、パワースポット、寺」が挙った
※4人はなし、3人以下は「その他」に含めた。なお「巣鴨」は2人であった
1位は「東京・銀座」で70人(15.3%)、2位は「横浜」で35人(7.6%)、3位は「商業施設」で30人(6.6%)、4位は「大阪・梅田」で29人(6.3%)、5位は「京都」で20人(4.4%)、6位は「新宿」で18人(3.9%)。
以下、「地元・近く」14人(3.1%)、「神戸」11人(2.4%)、「名古屋」9人(2.0%)、「上野・浅草」9人(2.0%)、「軽井沢」8人(1.7%)、「札幌」8人(1.7%)と続きます。
街・地名に関しては、都道府県別に確認している「居住地」とほぼ相関のある結果となりました。
冒頭で触れた「渋谷」と答えた人は7人(1.5%)で、「おばあちゃんの原宿」として知られ、シニア世代が集う地蔵通り商店街がある「巣鴨」は2人(0.4%)でした。前者は「案外多い」、後者は「案外少ない」という印象です。
居住地に関係なく、歴史や文化がある街が上位に。意外なのは…
さらに、ランキング順に選択理由を見ていきましょう。
1位の「東京・銀座」は、「東京」と「銀座」とで回答傾向が違いました。
まずは「東京」から。
「全国から集まりやすい」(北海道、66歳)
「各地から来るのにも便利が良い」(山形県、57歳)
「交通網がしっかりしている」(愛知県、56歳)など。
一方「銀座」はどうでしょうか。
「劇場が近くに多く、華やか」(東京都、65歳)
「渋谷・新宿とは違って大人な街」(神奈川県、63歳)
「いちばん有名で高級感がある」(神奈川県、59歳)
「大人の街なので落ち着いて会える」(東京都、56歳)など。
東京の「アクセスのしやすさ・集まりやすさ」に、銀座の「大人の落ち着き・おしゃれさ」が兼ね備わっているから、同世代が集う場所としてふさわしいと感じるハルメク世代が多いのでしょう。
2位の「横浜」は、選んだ35人中29人が、神奈川県在住者でした。
「おしゃれして出掛けたい街」(神奈川県、72歳)
「港の見える丘公園。ベンチや木陰がたくさんあり、ゆっくりすごせる。お花や木立もきれい。海も見えて眺めが良い」(神奈川県、66歳)
「街を歩いているとフッと海の香りがして緊張がほぐれる」(神奈川県、63歳)
「山下公園。交通の便がよく、開放的でのびのびできる」(神奈川県、61歳)など。
「横浜」への愛にあふれるアピールが目立ちました。
3位の「商業施設」には、さまざまな施設名が記され、「イオン」、「役所・公会堂」、「あべのハルカス」などが挙がりました。興味深いのは、屋外ではなく、屋内がイメージされた点。世代の特徴の一つと言ってよいでしょう。
「イオンモール。いつも利用していて身近」(熊本県、74歳)
「イオンは広い」(熊本県、73歳)
「幕張。アウトレット、イオンモール、コストコならついでに買い物がしたい、都内みたいに人が多くなくてよい」(千葉県、66歳)
「あべのハルカス。家から行きやすい」(奈良県、69歳)
「公民館。近くていつでも行ける」(茨城県、63歳)など。
主に、地方や郊外に住んでいる人が、「広さ」「便利さ」「身近さ」を理由に挙げました。
4位の「大阪・梅田」。「大阪」も「梅田」も回答傾向に違いはありませんでした。
「梅田。街の中心部で集まりやすい」(大阪府、69歳)
「大阪。西の地区の人には集まりやすい」(三重県、64歳)
「梅田。商業施設やオフィスも多くおしゃれでかっこよい街で、アクセスも良い」(大阪府、59歳)など。
主に、大阪・和歌山・三重など京都以外の関西圏在住者が選択しました。
5位の「京都」はイメージ通りの回答です。
「古都で歴史がある」(愛媛県、67歳)
「観光地で集まりやすい」(兵庫県、63歳)
「年齢を考えて落ち着いた静かなところがいい」(埼玉県、60歳)
「文化、歴史があり、気持ちが落ち着く」(千葉県、59歳)など。
居住地に関係なく、歴史や文化がある街に魅力を感じているのがわかります。
「地元」「交通の便がいい」「おしゃれ」が、集う場選びのポイント
「特になし」を除いた406人には、理由も聞いています。
「地元で近い」が63.5%と断トツでした。
「遠出が億劫になってきました」(愛知県、75歳)
「移動する手間暇や身体的負担がかからないから地元」(兵庫県、65歳)
「介護で遠出ができないため、自分が行きやすい場所」(大阪府、62歳)
「自分の住んでいる地域で、同世代と知り合える機会があったらぜひ参加したい」(東京都、62歳)
など、世代ならではの事情もありそうです。
次いで、「交通の便がよく集まりやすい」12.1%、「おしゃれで落ち着いた大人の街」10.6%、が上位に挙がりました。そのほか「自分が好きな場所」5.4%、「文化や歴史がある」2.7%、「好奇心が持てる」2.0%、「行き慣れている」1.0%、「懐かしい」0.7%、「カジュアル」0.5%という理由も。
3位に街ではなく「商業施設」が選ばれたのは、必ず地元に1つはあり、かつ交通の便がよい、という理由が重なっているからのようです。確かに、ショッピングモールなどは屋内施設が充実し飲食店も多いため、天候に左右されず、長居しやすいという好条件も揃っています。
「集う場」としてその街や商業施設が適していると思う理由
(「集う場所は特にない」と回答した人を除く50~81歳女性 406人)
ハルメク世代が「集う場」として、あなたならどんな場所を選びますか?
旅行や外食、スポーツ観戦など人が集まる場所への外出行動はコロナ禍以前の水準に回復しました。
外出欲やコミュニケーション欲が高まっているのはハルメク世代も同じ。でも、できれば「地元の屋内で集いたい」と思っています。遠出の場合、「アクセスのしやすさと大人の落ち着きを兼ねる街」が選ばれました。
みなさんは、おしゃれして同世代で集うとしたら、どこへ行かれますか。
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