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- 冬の信州を満喫するほっこり温泉旅:長野県
大人女性に人気の温泉を紹介する連載企画。今回訪れたのは、長野県の大町温泉郷。立山黒部アルペンルートの長野県側玄関口であり、冬はウインタースポーツの拠点です。囲炉裏や雪鍋など、温泉旅館「界 アルプス」の冬ならではのお楽しみも紹介します。
大町温泉郷(長野県)の特徴・アクセス方法をチェック
北アルプスの麓に湧く湯量豊富な秘湯・葛温泉から引湯する大町温泉郷。1971年(昭和46年)の立山黒部アルペンルート全線開通と前後して、多くのホテルや旅館が開業しました。
比較的新しい温泉地のため、1施設の面積が大きく、自然環境がよく保たれています。黒部ダムへの拠点はもちろん、冬はウインタースポーツの観光客でにぎわいます。
大町温泉郷へはJR長野駅から特急バスが発着するほか、新宿と大町温泉郷の最寄り駅である信濃大町駅を結ぶ高速バスもあります。車では名古屋から約3時間、東京から約3時間30分、大阪から約5時間30分の距離にあります。
【東京からのアクセス】
●東京駅→北陸新幹線約1時間30分→長野駅→特急バス約1時間15分→大町温泉郷
●新宿駅→高速バス約4時間10分→信濃大町駅
今回訪れた温泉宿「界 アルプス」と周辺観光スポット
今回宿泊した「界 アルプス」は、北アルプスに抱かれた自然豊かな地にあります。
宿から車で30分ほどの距離に海外からのスキーヤーも多く訪れる白馬エリアがあり、ウインタースポーツが楽しめます。また、宿行きの特急バスが出ている長野駅周辺の観光スポットに立ち寄るのもおすすめです。
今回は、長野観光で外せない善光寺や、スキーヤーでなくても雪景色を堪能できるスポットなどを紹介します。
遠くとも一度は詣でたい「善光寺」
善光寺は、約1400年の歴史を有する無宗派の寺院です。あまねく人々を救う本尊は秘仏の一光三尊阿弥陀如来で、2022年に本尊と同じ姿といわれる前立本尊が御開帳されました。
門前町を歩き、仁王門をくぐると石畳の仲見世通りがあり、土産物店や飲食店などが軒を連ねます。
その先には1750年(寛延3年)建立の山門があり、楼上に挙げられた「善光寺」の額には5羽の鳩が隠れているので、ぜひ探してみてください。
国宝の本堂には、びんずる尊者像(そんじゃぞう)があり、自分の患部と同じところを撫でると病が治るといわれ、つるつるに光っています。極楽浄土を表す美しい内々陣の前で手を合わせ、お戒壇巡りへ。
真っ暗な回廊を進むと、本尊が安置されている真下に「極楽の錠前」があり、これに触れて縁を結びましょう。境内の東側にはお守りやおみくじを頒布する授与品所があるので、参拝の記念に立ち寄ってみてください。
日本画の巨匠に会う「長野県立美術館・東山魁夷館」
隣接する善光寺周辺の町並みや自然と調和したランドスケープ・ミュージアムをコンセプトとして、2021年リニューアルした長野県立美術館。自由に見学・鑑賞できる無料ゾーンもあり、誰もが美に触れられるスポットです。
信州に縁のある芸術家の作品を展示するコレクション展示や、さまざまな企画展、視覚以外の感覚も使った鑑賞が可能な作品を展示するアートラボなどがある「本館」と、日本画家・東山魁夷の作品を展示する「東山魁夷館」から構成されています。
昭和を代表する日本画家・東山魁夷は、信州の自然や素朴な人々に魅了され、多くの作品を残しました。
約970点の作品の多くは、信州を自己の芸術の故郷とする東山魁夷が寄贈したもの。蓼科高原・御射鹿池を描いた代表作《緑響く》をはじめ、吸い込まれそうな独特な色合いの絵を間近で鑑賞できます。
また、東山魁夷館の建物は、モダニズム建築家の谷口吉生の手によるもの。建築好きも注目です。
好みの七味をブレンド「根元 八幡屋礒五郎」
善光寺門前に店を構える「根元 八幡屋礒五郎」。1736(元文元年)に善光寺境内で七味唐辛子を売り出したのが始まりといいます。
2024年は缶入り販売を始めて100年ということで、記念のイヤーモデルの百年缶(上写真右)が登場。長野県産100%の素材を使用した特製品です。
この店の七味唐辛子は体を温める生姜を入れていることが特徴で、カレー・ラーメン・イタリアン用など、さまざまな商品を揃えています。
目の前で約40種類の素材を調合するカスタムブレンドサービスでは、通常の辛さはもちろん「辛味増し増し」など、好みの組み合わせの七味唐辛子が作れます。
出来上がった七味唐辛子のカルテがもらえるので、次回はそれを見せるだけでリピート購入できます。自分だけのお気に入りの味を見つけてみてくださいね。
銀世界を満喫!白馬五竜「展望レストランALPS360」
スキーヤーはもちろんですが、スキーをしなくても圧倒的な銀世界を楽しめるのが、白馬五竜。ベースセンターのエスカルプラザから全長2000m、8人乗りのゴンドラ・五竜テレキャビンで山頂へ向かいましょう。
北アルプスの威容を眺めつつ、眼下には爽快に滑るスキーヤーの姿も。ウエア・用具のレンタル一式があるので、昔を懐かしんで滑ってみるのもいいですね。
標高1515mのアルプス平駅で下車し、展望レストランALPS360へ。
パウダースノーを楽しむスキーヤーに交じり、とろりとしたチーズがくせになる豪快なハンバーガーに舌鼓。
窓からは連なる山々が見渡せ、雪山の魅力を存分に感じられます。
「界 アルプス」で信州の田舎暮らしを実感
長野観光や雪景色を楽しんだ後は、いよいよ「界 アルプス」へ!
入ってまず目を引くのは、囲炉裏のある土間。寒さをしのぎ、家族が集まり、おしゃべりの花が咲く、そんな田舎の囲炉裏があり、旅人を温かく迎えてくれます。
チェックインの時間帯には、お茶と“おやき”のもてなしがあります。
片面だけ焼き目を付けたおやきは、外はパリッ、中はふんわり! ぽかぽかの炭火に当たって、ひと息つきましょう。
切り絵や和紙など、落ち着いた「信濃もてなしの間」
全48室の客室は「信濃もてなしの間」と名付けられ、伝統工芸の松崎和紙の行灯や切り絵作家によるアートワーク、上田紬のベッドライナーなど、ご当地の魅力に溢れます。
離れ、ロフト付き和室、内風呂付き和室など全4タイプがあり、ほっと落ち着く空間です。
切り絵作家・柳沢京子さんの切り絵が部屋で楽しめる体験セットもあり、童心に帰れます。
漬物文化にどっぷり!信州お漬物滞在
今回は、3月31日まで開催中の「信州お漬物滞在」プランを体験しました。その名の通り、地元漬物屋のお母さんから、漬け物づくりを習える特別プランです。
作業の前に、多様な漬け物をお茶とともに味わいます。エリンギの粕漬やさっぱりとしたしば漬け、定番の野沢菜漬け、小梅の甘酢漬けなど。
冬の寒さが厳しい信州では、収穫した農作物を漬け込んで保存食として備えました。新潟から運ばれた塩を使い、さらに味噌・醤油を使い、お茶請けの漬物を各家庭でつくってきました。
今回は、胡瓜・リンゴ・白菜を使った味噌粕漬けと、大根の醤油漬けを作ります。ザクザクと野菜を切り、水分を抜き、調味料を加えよく揉み込みます。
樽に詰めて一晩寝かせて、明日の朝食で味わいます。待ちきれない!
温泉で温まり、地酒を味わう
冷えた体を温めるにはやっぱり温泉! カラマツの林に囲まれる大浴場には、秘湯・葛温泉から引湯した温泉が溢れます。
露天風呂では雪化粧した山々が広がり、凛と冷たい空気が気持ちいい限りです。泉質は弱アルカリ性の単純温泉。やわらかく肌触りの良い湯です。
湯上がりには、冷たいアイスキャンディや蕎麦茶、紫蘇リンゴ酢ジュースで水分補給。
さらに、囲炉裏コーナーでも、地酒と漬け物のもてなしがあります。19時~21時30分の提供なので、夕食の後に寄ってみてもいいですね。
食後の和んだ気分で、囲炉裏のご主人とともに、客同士で話が盛り上がることもしばしばとか。
夕食の名物は雪のかまくら風・雪鍋!
夕食のコースは先付のローストビーフと信州サーモンの鳴門から始まり、煮物椀、八寸や馬刺しなどのお造りが盛られた宝楽盛りへと続きます。
先付には、名産の生山葵が添えられ、おろしたての山葵はお造りなどにも大活躍です。
メインは雪鍋(冬から春)です。鍋の上にふんわりと乗せた綿あめに、割り下をかけて食べる鍋料理(すき焼き風)で、綿あめが消えていくところがまるで雪解けのよう。
その様子はぜひ動画で残してみてくださいね。
早起きして「おめざ粥」でスタート
翌朝はフロントで開催されるアルプス体操で体を起こしましょう。スキーの動きを取り入れた体操です。
そして囲炉裏の土間では、かまどで炊いた「おめざ粥」を。アルプスの伏流水で炊くお粥はやさしい風合い。添えられた練り梅がよく合います。
そして食事処で朝食を。昨日仕込んだ漬け物はどうなっているでしょう。
大根の醤油漬けはシャキシャキと歯ごたえもよく、野菜の味噌粕漬はほんのりとした甘みとリンゴの酸味がマッチしています。オリジナルの漬物の完成です!
朝食も信州の恵みがたくさん。茸たっぷりの味噌汁や花豆など「おめざ粥」をいただいたのに、ご飯をおかわりしたくなる美味しさでした。
チェックアウトは12時なので再び湯浴みに興じたり、トラベルライブラリーでのんびり雪景色を楽しんだり、あるいは朝一番でスキー場へ繰り出すのもいいですね。降りしきる雪がだんだん愛おしくなっていきます。
都会に住む者にとっては懐かしく、温かく、ちょっと非日常の気分になる雪国ならではの田舎体験。寒さを楽しむ旅に出掛けてみてはいかがでしょう。
今回宿泊した温泉宿はこちら
界 アルプス
立山黒部アルペンルートの玄関口である大町温泉郷にある温泉旅館。信州の田舎を体験でき、心安らぐ時間が過ごせる。70歳以上限定『温泉めぐり 界の定期券』の対象施設の一つとして、シニア女性にも人気。
●住所:〒398‐0001 長野県大町市平2884-26
取材協力:星野リゾート 文・写真:関屋淳子 編集:竹下沙弥香(ハルメク365編集部)
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