「大人の脳トレドリル」で記憶力・集中力アップ

2024年11月02日

認知症予防に!大人の脳トレ・3

無料の「大人の脳トレドリル」で記憶力・集中力アップ

脳科学者・篠原菊紀さん
監修者
篠原菊紀
監修者 篠原菊紀 公立諏訪東京理科大学 工学部 情報応用工学科 教授

脳の機能を鍛える無料の「大人の脳トレドリル」です。脳を活性化するには4つの力(思い出す力・イメージする力・記憶する力・集中する力)をバランスよく鍛えることが大切。ここでは、記憶力・集中力アップに効く脳トレ問題を紹介します。

監修者プロフィール:篠原菊紀さん

脳科学者・篠原菊紀さん

しのはら・きくのり 公立諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科教授。運動、学習、遊びなど日常のさまざまな場面の脳活動についての研究を行い、子どもから高齢者までを対象に、脳育や認知機能低下防止、脳トレなどについての執筆や監修、講演などを幅広く行っている。ハルメク365の人気の脳トレコーナー「1日3分 あたまの体操」の監修も。

頭を鍛える脳トレで50代・60代でも能力は伸びる!

前回、脳トレドリルで認知症予防ができることを説明しましたが、毎日の脳トレが認知症予防につながることは科学的に証明されています。

年を重ねると脳の力は衰える一方と思われる方も多いかもしれませんが、脳研究の専門家・篠原菊紀さんは「そうではない」と言います。

「マサチューセッツ工科大学の研究に、相手の感情を読み取る力は48歳、新しい情報を学び、理解する能力は50歳でピークになり、なんと語彙力は67歳でピークを迎えるというデータがあります」

頭を鍛える脳トレで50代・60代でも能力は伸びる

高齢者=すべての脳の機能が衰える、というわけではありません。知能には、経験性とは関連のない「流動性知能」と経験を積むほど高まっていく「結晶性知能」があります。結晶性知能は、トレーニングすることで、年を重ねても伸びていく力です。

短期的な記憶力(流動性知能)は中高年になると落ちてしまいますが、経験に基づく力(結晶性知能)は50代・60代でも伸ばせます。

「日頃から読書や手紙を書くなどしている人は、70歳を過ぎても語彙力は上昇していくという研究結果もありますよ」

脳トレの頻度はどのくらいがベスト?

脳を活性化するためには、日頃の習慣が大切です。脳トレはどのくらいの頻度でやればいいのでしょうか。

脳トレ問題にもさまざまな種類がありますが、例えばパズルなら、週1回でもやっていれば、成績が上がる傾向があり、1年のうち1か月集中的にやっただけで、5年間持つというデータもあるそう。

さらに、「筋肉は毎日トレーニングしてもなかなかつきませんが、脳は刺激を与えると変化が早いんです。おもしろい話を聞いたり、パズルやクイズなどの脳トレ問題を定期的に解くだけでも、十分脳を活性化できます」と篠原さん。

さまざまな種類の脳トレドリル、ゲームが発売されているので、ぜひチェックしてみましょう。

ここでは、「記憶する力」と「集中する力」に効く脳トレ問題を紹介します。

「記憶力」の脳トレ問題で前頭連合野・海馬を活性化!

作業後も言葉を覚えている?(目標5分 25点満点)

覚えたことをそのまま使うのはそれほど難しいことではありませんが、何か別の作業をするなど、他の要素が入ると途端に難しくなります。

まずは下の3つの言葉を覚えてください。

3つの言葉を覚えてください

次に下の問いに答えてください。(各5点)

Q1.100から7を引いてください。=紙に書かずに覚えたら次へ。

Q2.そこから7を引いてください。=紙に書かずに覚えたら次へ。

Q3.さらに7を引いてください。=紙に書かずに覚えたら次へ。

Q4.次の言葉をひらがなで後ろから逆に言ってください。

「富士の山」=言葉を見ない状態で、逆から口に出して言ってください。

Q5.初めに覚えた3つの言葉を紙に書いてください。

【ポイント】ワーキングメモリを鍛えて、もの忘れを防ぐ

前頭連合野・海馬を活性化

「脳には“ワーキングメモリ”というメモ帳のような機能があります。過去を思い出す力とともに、大事なのが、この直前のことを記憶する機能です」。

例えば、何かをしようと思って2階に上がったときにやるべきことを忘れてしまっていたら、脳のこの部分がうまく使えなくなっているのかも。

「記憶した後に別な作業が挟まると忘れてしまうのはよくあることですが、そのままにせず、なるべく思い出す訓練をしましょう」

解答をチェック!

Q1.93
Q2.86
Q3.79
Q4.「まやのじふ」
Q5.「さくら」「ねこ」「列車」

※参考/長谷川式スケール(HDS-R)

 

「集中力」の脳トレ問題で前頭連合野・線条体を活性化!

絵を1分間見て覚えてください(目標5分 25点満点)

まず、下の絵を見て顔や髪型、男女、年齢などをしっかりと記憶してください。1分間で記憶したら、絵の下の問いに答えてください。

脳トレ

絵を見ないで、下の問いに答えてください。





▼質問はこちら(各5点)

Q1.学生服の人は何人でしたか?
 
Q2.眼鏡をかけている人は何人でしたか?

Q3.帽子をかぶっている人は何人でしたか?

Q4.帽子をかぶっている人は、どこにいましたか(右角、左の列の上から2番目など)

Q5.ペットは何匹いましたか?

【ポイント】やる気や意欲増に大切な集中力を維持しよう

前頭連合野・線条体を活性化

「集中力とは、今取り組もうとしていることに、心や気持ちを凝縮できているかどうか、という力。やる気や意欲にも関わる大切な能力です」と篠原さん。

「集中力はもともと、狩りで動物を追うなど、目でしっかりと対象を追えるかどうかという能力で、脳の目の動きをコントロールする部分が関連しています」とのこと。

とすると、視力が衰えるとともに集中力も衰えていってしまうのでしょうか?

「いえいえ。視力が衰えても、瞬間的に絵を覚える脳トレドリルなどで、集中力は鍛えられますよ」

解答をチェック!

Q1.1人
Q2.1人
Q3.2人
Q4.右の列の上から2番目と3番目 
Q5.2匹

以上、記憶力・集中力アップに効く、大人の脳トレドリル【後編】でした。

脳トレ以外に、おりがみなどの指先を使う作業や運動など生活習慣の改善も、認知症予防に効果的です。脳を活性化させる工夫を生活に取り入れましょう。

まだまだ脳トレにチャレンジしたい人は、「1日3分 あたまの体操」や「週刊・大人の脳トレ」連載にも挑戦してみてくださいね。

取材・文=原田浩二(ともにハルメク編集部) イラスト(脳の部位)=冨田マリー ドリルイラストレーション=鈴木みゆき

※この記事は雑誌「ハルメク」2019年11月号に掲載された内容を再編集しています。


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