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- 医薬品のはちみつがあるって知ってた?
甘くておいしいはちみつですが、実は医薬品として販売されているはちみつがあることをご存じでしょうか?日本では、何と100年以上も前から医薬品として認定されているのだとか。薬局で買えるはちみつの効能や使い方について専門家に話を聞きました。
■お話を伺ったのは:福島忍(ふくしま・しのぶ)さん
山田養蜂場 健康科学研究所 学術情報担当。入社以来、最先端の研究学術情報を集約・発信する業務に従事する他、10年間、全国各地の大学との共同研究や自社の臨床研究などにも携わり、ミツバチ産品の効果を明らかにしてきた。
はちみつは100年以上前から医薬品認定されている
豊かな風味と自然な甘みが魅力のはちみつ。そのままペロリと舐めるのはもちろん、トーストやヨーグルトにかけたり、料理やお菓子作りに使ったりと、いろいろな楽しみ方ができますよね。
そんな甘くておいしいはちみつですが、実は医薬品として販売されているはちみつがあることは、あまり知られていないのではないでしょうか。
はちみつは100年以上も前から、医薬品として認められています。
医薬品は、医療用医薬品と一般用医薬品の大きく2つに分かれていて、ドラッグストアなどで購入できるのは一般医薬品に分類されるもの。一般医薬品は第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品、要指導医薬品の4つに分類され、その分類によって、薬剤師にしか販売できないものや、通信販売でも買えるものに分かれます。
はちみつは医療用医薬品と一般用医薬品どちらにも認定されていて、一般医薬品の中では第3類医薬品に含まれます。第3類医薬品は、市販薬の中でも副作用のリスクが低い(※)ため、一般の人が自分の判断で購入できます。
「2009年の法改正によって第3類医薬品のネット販売が解禁され、第3類医薬品のはちみつもネットで購入できるようになりました」(福島さん)
ところで、なぜはちみつが医薬品として認定されたのでしょうか?福島さんはこう話します。
「古くから口内炎の治療の他、漢方薬を塗り固める丸薬としても利用されていたことから、医薬品として認定されていたようです。私たちの調査では、少なくとも1886年には、日本の医薬品に関する品質規格書である日本薬局方に収載されていたことがわかっています」
さまざまな栄養素を含み、抗菌作用を持つことでも知られるはちみつですが、古くから医薬品としても使われていたのですね。
※日常生活に支障をきたすほどではないが、体の変調・不調が起こる恐れがある成分を含むもの
栄養補給や、唇の傷・荒れにも
第3類医薬品として販売されているはちみつに書かれている効果と用法の一例は、次の通りです。
<効能または効果>
栄養剤、甘味料、口唇の亀裂・荒れ
<用法、および用量>
・栄養剤、甘味剤としてそのまま、または適宜薄めて用いる
・口唇の亀裂、荒れにはそのまま患部に塗る
はちみつは、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ポリフェノールなど、健康に役立つ栄養素を含みます。また、主成分であるブドウ糖と果糖は、素早くエネルギーに変わる糖分なので、疲れたときの栄養補給にももってこいです。
栄養剤として使うときは、そのまま舐めるのはもちろん、飲みやすい濃さに水で薄めてもOK。
一方で、唇の傷や荒れに使うときは、直接塗って使いましょう。「医薬品とはいえ味は通常のはちみつと変わらず甘いので、つい舐めてしまいそうになりますが、舐め取ってしまうと効果が薄まるので気を付けてくださいね」(福島さん)
海外でも医薬品として販売!医療に用いる国もある
ところで、はちみつが医薬品として認められているのは、日本だけなのでしょうか?
「いえ、アメリカやルーマニア、エジプト、ギリシャなど、数多くの国で医薬品認定を受けたはちみつがあります」
「例えばニュージーランドでは、マヌカはちみつを染み込ませた絆創膏のようなものが医薬品として販売されていますし、アメリカでははちみつを使ったゲルやシートが、傷口や火傷跡用として医薬品認定されています。ちなみにイギリスやルーマニアでは、医療にもはちみつが用いられているのですよ」(福島さん)
福島さんは、「海外でも古代から、はちみつの薬用効果に注目されていたようです」と話します。
「紀元前2000年頃のものとされる古代パレスチナ北部・サマリアの石版には、『皮膚の潰瘍の治療にはちみつを使う』と記されていますし、4000年前のエジプトでも、はちみつを広く医療に利用していたという記録が、伝統的なエジプト医学の文書・パピルスに残っています」
古くから、世界各地で人々の健康に役立ってきたはちみつ。その健康効果は、医療が進歩した現代でも、さまざまな場面で活用されています。
おいしくて健康にもよいはちみつを一生懸命作ってくれるミツバチたちに、改めて感謝したいですね!
取材協力:山田養蜂場 健康科学研究所
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