- ハルメク365トップ
- カルチャー
- エンタメ
- 【映画レビュー】「どん底作家の人生に幸あれ!」
女性におすすめの最新映画情報を映画ジャーナリスト・立田敦子さんが解説。今回の1本は、不遇な日々を送る主人公が、周りの助けを得ながら人生を切り開いていく生き様を描いており、コロナ禍の不安な日々を過ごす私達に大きな希望を与えてくれる作品です。
「どん底作家の人生に幸あれ!」
『クリスマス・キャロル』や『大いなる遺産』で知られる19世紀のイギリスの文豪チャールズ・ディケンズの自伝的要素が反映された長編小説『デイヴィッド・コパフィールド』を原作とした「どん底作家の人生に幸あれ!」。不遇の幼少時代に始まるデイヴィッドの波乱万丈の人生を独特のユーモアを持って描くコメディタッチのドラマだ。
人生の悲しみや喜びをダイナミックに描き出すヒューマニズムあふれるディケンズの小説は重厚な印象があるが、本作は、その重さが払われ、彼の経験する苦難や挫折には、救いや希望もあり、“悪役”や欠陥だらけの人たちも温かい視点で描かれている。
「ディケンズなのに笑える!」そんなマジカルな芸当を可能にした秘訣の一つは、英国を代表する名優たちの共演だろう。一見シニカルだが心の優しい裕福な伯母ベッツィ役にハリウッドでも活躍するティルダ・スウィントン、貧乏だがのんきなミスター・ミコーバー役には、テレビドラマ「ドクター・フー」で知られるピーター・キャパルディ、不気味にデイヴィッドにすり寄ってくる悪人ユライア役に「007シリーズ」でも知られるベン・ウィショーなど英国の個性派俳優が顔をそろえる。
主人公のデイヴィッド役は、アカデミー賞受賞作「スラムドッグ$ミリオネア」でスターとなったデヴ・パテルだ。インド系移民を両親に持つケニア出身イギリス人の彼を主演に起用するあたりも、今日的な多様性を意識した作り手の意図がうかがえる。
“愛すべき変わり者”たちの助けや友情を力にして、なんとか人生を切り開いていくデイヴィッドの生き様は、不況やコロナ禍で先が見えない今日、大きな希望となるだろう。思いがけないディケンズの大復活に乾杯!
監督/アーマンド・イアヌッチ
原作/チャールズ・ディケンズ『デイヴィッド・コパフィールド』(新潮文庫、岩波文庫)
出演/デヴ・パテル、ピーター・キャパルディ、
ヒュー・ローリー、ティルダ・スウィントン他
製作/2019年、イギリス・アメリカ 配給/ギャガ
1月22日(金)より、TOHOシネマズ シャンテ、シネマカリテ他、全国順次公開
もう1本「ルーブル美術館の夜 ダ・ヴィンチ没後500年展」
2019~20年に空前絶後の規模で開催された大回顧展「ルーブル美術館 レオナルド・ダ・ヴィンチ展」を、準備に10年間を費やしたルーブルの絵画部門のチーフ・キュレーターらの解説で巡る贅沢なドキュメンタリー。ルーブル秘蔵の至宝をはじめバチカンやエルミタージュ美術館などから貸し出された名画の数々は圧巻。真夜中に撮影されたという人けのないルーブルの美しい映像も含め、ぜひ大スクリーンで見たい。
監督/ピエール=ユベール・マルタン
製作/2020年、フランス
配給/ライブ・ビューイング・ジャパン
TOHOシネマズ シャンテ他にて公開中
文・立田敦子
たつた・あつこ 映画ジャーナリスト。雑誌や新聞などで執筆する他、カンヌ、ヴェネチアなど国際映画祭の取材活動もフィールドワークとしている。映画サイト『ファンズボイス』(fansvoice.jp)のチーフコンテンツオフィサーとしても活躍中。
※この記事は2021年2月号「ハルメク」の連載「トキメクシネマ」の掲載内容を再編集しています。
※雑誌「ハルメク」は定期購読誌です。書店ではお買い求めいただけません。詳しくは雑誌ハルメクのサイトをご確認ください。
■こちらの記事もおすすめ
雑誌「ハルメク」
女性誌売り上げNo.1の生活実用情報誌。前向きに明るく生きるために、本当に価値ある情報をお届けします。健康、料理、おしゃれ、お金、著名人のインタビューなど幅広い情報が満載。人気連載の「きくち体操」「きものリフォーム」も。年間定期購読誌で、自宅に直接配送します。雑誌ハルメクサイトはこちら
-
子に遺すべき資産は?
「現金」か「不動産」か…どっちが得?メリット・デメリットは?相続や親族間のトラブルに悩まされないためにしておくべき準備とは -
突然の我慢できない尿意
実は多くのハルメク世代が悩んでいる「尿トラブル」…中には上手に対策をしている人も!気軽にできる対策って? -
個人情報管理できてる?
銀行口座・保険・クレジットカードなど、「デジタルの情報」をきちんと管理できていますか?煩雑にしていると思わぬ落とし穴が… -
お金の管理が簡単に!
三井住友銀行アプリに「シンプルモード」が新登場!スマホ操作が苦手な人でも簡単に使える便利機能が満載です! -
認知症セルフチェック
「もの忘れが増えた」「名前が思い出せない」という症状に心当たりがある方は要注意!それ、「認知機能のレベル低下」が原因かもしれません… -
健気な姿がかわいい!
「思わず笑顔になる」と巷で話題の「永遠の2歳児・ニコボ」!ハルメク世代の2人に、ニコボとの生活にハマる理由をお聞きしました! -
生前親に●●聞き忘れると
老親の契約や登録しているサービス、これらを子が把握していないと将来ムダな出費や面倒なトラブルに発展する可能性が!特に見落としがちなのは… -
50代~お金の増やし方
将来を見据えて、50代から「まとまった資金の調達」が重要になります。どんな選択肢があるか、ご存知ですか? -
60日で英語が話せる!
英語をマスターするのに「完璧」はいらない!初心者でも60日で英語が話せるようになる、驚きの3つのコツとは? -
今なら無料でお試し!
将来、自分の認知機能が低下するリスクがあるか、簡単に予測できるサービスが誕生。今なら無料で先行利用できます! -
おひとり様の備えはOK?
この先「おひとり様」になったら意外な落とし穴がいっぱい…。そんな不安に備える、おひとり様専用お助けサービスが誕生! -
50代から1日1分脳トレ
認知機能を衰えさせないためには、早い時期から「脳を活性化」させることが大切。脳トレ効果がグッとアップするコツって?