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雑誌「ハルメク」では、人生の先輩たちのロングインタビューを毎号掲載しています。過去にご登場いただいた樹木希林さん、美輪明宏さん、日野原重明先生さん、篠田桃紅さんなどの貴重なインタビューの中から名言の数々をご紹介します。
雑誌「いきいき」はシニア女性に注目した“元祖”
「平成」という時代も、残りひと月あまりとなりました。
世の中は、この31年を振り返るニュースにあふれていますが、みなさんにとって「平成」はどんな時代だったでしょうか。
雑誌「ハルメク」の前身である「いきいき」が創刊したのは1996年4月。平成8年のことでした。平成8年といえば、前年に阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件が発生。日本中が何とか明るい方へ向かおうとしていた頃です。筆者はまだ中学生でしたが、多感な少女時代、そんな「日本中が一生懸命になっている」という空気をひしひしと感じて過ごしていたことをはっきり覚えています。
今でこそ「シニア市場」とか「シニア向け」とうたった商品・サービスが多岐にわたって展開されているものの、当時はまだ「シニア」という存在はほとんど注目されていませんでした。そんな中、小誌は女性たちが人生の後半戦に生き生きと輝くことこそ、日本を明るくする!と確信(したと聞いています)。シニア市場ブームよりもだいぶ先立って「50代からの女性の生き方・暮らし方応援雑誌」をコンセプトに、暮らしに役立つ情報を発信してきました。
編集部にある書庫には、「いきいき」時代からのバックナンバーが、ずらりと並んでいます。手に取って一度ページを開いたら最後、手前味噌ではありますがつい読みふけってしまい、そこからなかなか仕事に戻れません。
雑誌「ハルメク」の魅力はインタビューにあり!
なんといっても小誌の魅力は、“人生の先輩”の深くてあたかかくて、ときにはクスリと笑ってしまうインタビュー。
仕事でうまくいかないことが続いたとき、女友達にちょっとイライラしてしまったとき、なんだか日常が物足りないとき……折々にインタビューに出てきたエピソードや名言を思い出しては“エネルギー”を補給しています。そう、私にとって「ハルメク」は「読んで10秒チャージ」なエネルギー源といえるのかもしれません。
年々日本のシニアはパワフルに若々しく“進化”し続けています。
ハルメクで取材をさせていただく方々も年齢をまったく感じさせない、みずみずしい方ばかりです。今回は、過去に掲載した80歳以上の人生の先輩たちのインタビューの中から、私が“生き方の指針”として心に留めている言葉をご紹介します。
次の時代も心に留めておきたい平成の名言たち
まず、落ち込んだときに思い出す言葉たちから。
私は「なぜ」ではなく「何のために」と言い換えることを心がけています。「なぜ私はうつ病になったか」と考えると、過ぎたことを振り返るばかりです。でも「何のためになったか」と捉えれば、自分に起きたことにどんな意味があり、これからどう生きていけばいいのかと、前を向くことができますでしょう。
―2014年3月号より
(シスター・渡辺和子さん 取材当時87歳)
「どうせ私なんて」――。この言葉は年を取るほど口にしてはいけません。自分を卑下している人は、大抵背中が丸まっています。背すじが丸まると、人の視線が上から降ってきてみじめな気持ちになります。(中略)背すじを伸ばして胸を張り、堂々と人生を楽しみましょう。
―2019年1月号より (美容研究家・小林照子さん 取材当時83歳)
私たちの左側にあるものが「不安」や「不満」、右側にあるものが「満足感」や「幸せ感」だとします。人間には、常に左側ばかり見ようとする癖があるのです。(中略)みなさん、どうして右側にあるものを見ようとしないのでしょう? 「ああ、ありがたい」と感謝することを探せば、いつでもどこでも幸せになれるというのに。
―2018年9月号より(美輪明宏さん 取材当時83歳)
友人に期待しないこと。新しい友人を作る機会もあるでしょう。
―2015年2月号より
(曽野綾子さん 取材当時84歳)
幸せは自分で引き寄せるもの。ついつい何かのせいにしたくなってしまうのですが、物事のとらえ方次第なんですよね……。
気持ちが引き締まる名言
次に、読み返すと気持ちがキリッと引き締まる言葉たち。
昨年9月に逝去した女優・樹木希林さんは、「ハルメク」にたびたび登場していただき、数々の名言を残してくださいました。発売わずか3か月で100万部を突破した『一切なりゆき』(文藝春秋刊)にも「ハルメク」に掲載された言葉がいくつか紹介されています。中でも、これから年を重ねていく中で、大事にしたい言葉をひとつ。
年齢に沿って生きていく、その生き方を、自分で見つけていくしかないでしょう。
―2015年6月号より
(女優・樹木希林さん 取材当時72歳)
依頼のたびに初心に帰るの。こうして61年も続けてこられたのは、きっと未熟さへの自覚を持ち続けてきたから。その自覚が私自信をぶれずに支え、成長し続けさせてくれているのだと思います。
―2018年6月号より
(弁護士・湯川久子さん 取材当時90歳)
真剣に日常茶飯と向き合っていると、いろんなことが見えて、感じられて、応えられる人間になります。論じ詰めると、世界の中で自分はどのように存在すべきかが見えてくる。やるべきことをやらず、「これでいいのかしら」と迷いながら生きていく人とは大きな差がつくでしょう。
―2018年10月号より
(料理家・辰巳芳子さん 取材当時93歳)
一本の線を引いたら、自分で気に入らなくても、それはそれでいい、という感じでやっています。そして、描いているときは集中していますが、集中すると同時に心を解放もしています。だから、自分自身のバランスを取りやすいと言えば、取りやすいです。やはり、最後は自分なのだ、と思いますね。―2016年10月号より
(美術家・篠田桃紅さん 取材当時103歳)
こんな風に年を重ねたい……憧れの人の名言
最後に、こんなふうに年を重ねたい……そんな憧れを。
「この年になって大きな冒険ですが、やはり燃えるのはいい。心を熱くして生きなくて何の老いがあろうと思うんです。――2013年9月号より
(染色家 志村ふくみさん 取材当時88歳)
ぴんと張った糸が弾かれたときによい音を奏でるように、私もまた読者のみなさんからの反応に弾かれて、より新鮮な発言や行動ができるでしょう。人は、誰かと反応し合うことで、新しい考え方に至ったり、生きる力を得たりします。「ハルメク」がそのきっかけになるよう、私もまた冴えたメッセージを送り続けたいと思います。
――2016年12月号より (日野原重明さん 取材当時105歳)
いかがでしょうか。
きっとこれらの言葉たちは、色あせることなく時代を超えてみなさんの胸にも響き続けるはず。新たな時代「令和」にも、雑誌「ハルメク」は変わらず心豊かな生き方を応援する雑誌として、さまざまな方々にインタビューしていきます。
乞うご期待!
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