シニア世代のシンクタンク所長が考察

悩める40代・50代女性のファッション・美容事情

公開日:2023.02.01

雑誌「ハルメク」のシンクタンク「生きかた上手研究所」所長の梅津順江が、ミドル~シニア世代の女性のトレンドを読み解きます。今回は40代・50代女性の「ファッション・美容」に関する意識と実態を大調査。かける金額やブランドのリアルをお届けします。

40代50代は、70代以上よりおしゃれ意欲が低い?

ハルメク生きかた上手研究所は2022年11月9日~10日、40~89歳の女性1000人に「シニア女性のファッション・美容に対する意識・実態調査」を実施しました。

今回は、その中でも40~50代のファッション・美容事情や特性に焦点を当てて結果を紹介します。

まず、「おしゃれへの意欲」についてです。

「おしゃれ意欲あり」の割合(全体、年代別)40~89歳の女性

シニア女性 お金 ファッション 美容
40~89歳の女性(単一回答に基づき算出):1000名(※1)

今回は「ファッション」「スキンケア」「メイク」「ヘアケア・髪型」に対して1つ以上「おしゃれ意欲が高い」と答えた人を「おしゃれ意欲あり」としています。全世代では「おしゃれ意欲あり」の人の割合は49.8%でした。

しかし、40代は47.0%、50代は40.5%と全体と比べてやや控えめな結果に。むしろ70代、80代の方が、おしゃれへの意欲が高くなっています。

では、1か月あたりおしゃれ用品に使う金額はどうでしょう。

おしゃれに使うお金は月平均9407円

1か月あたりおしゃれ用品に使う平均額(全体、年代別)

シニア女性 お金 ファッション 美容
40~89歳の女性(単一回答に基づき算出):1000名(※2)

「洋服」「スキンケア用コスメ」「メイクアップ用コスメ」「シャンプー」「白髪染め」の5品目に使う総額の平均で、「0円」という回答も含めて算出したところ、おしゃれ用品に使う1か月あたりの全体の平均額は9407円でした。

年代ごとに1か月の平均額を見てみると、40代は8743円、50代は7996円でした。どの世代よりも低いです。

一方、70代は1万742円、80代は1万92円で、70代以上の方が2~3千円多くお金を使っているということになります。

※1:数値は「『ファッション』『スキンケア』『メイク』『ヘアケア・髪型』それぞれのおしゃれについて、意欲がある方か」という質問に対し、1つ以上のカテゴリーで「そう思う」「ややそう思う」と回答した人数

※2:数値は1か月あたり「洋服」「スキンケア用コスメ」「メイクアップ用コスメ」「シャンプー」「白髪染め」に使う総額の平均。「0円」という回答も含めて算出

40代、50代のおしゃれにかける金額が低い理由

では40代、50代の女性たちは、普段どんな服を購入しているのでしょうか。「選択ブランド」に注目すると、40代、50代のおしゃれ用品の消費額が低い理由の一つが見えてきました。

普段買っている洋服ブランド(全体、年代別)

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普段洋服を買っている40~89歳の女性:987名(※3)

洋服の場合を例に挙げてみると、40~50代は圧倒的にファストファッション(ZARA・GU・H&Mなど)、ユニクロ、しまむら、60~80代は百貨店(ワールド、オンワード、イトキン、ハイブランド)の割合が高いことがわかります。

ここで少し、日本でのファッション史を振り返ってみましょう。

1990年代初頭のバブル崩壊後、高級ブランドが勢いを失いました。それにとって代わるように、ファストファッションブランドが出始めます。1998年、アジア発のグローバルブランド「ユニクロ」が原宿に出店。2008年にスウェーデン「H&M」が日本に上陸したのを皮切りに、アメリカ「フォーエバー21」、スペイン「ZARA」などがやってきました。

2000年代半ばには「早くて安い」ファストフードになぞらえて、「ファストファッション」という造語まで誕生。今から15~25年前のことです。現在の45歳が20代、30代の頃、現在の55歳が30代・40代の頃、平成まっただ中の話です。

当時は、品質よりも低価格が重視され、流行に敏感な若者がワンシーズンだけ着るというイメージが強くありました。しかし、今は安価なのに良質で品揃えも豊富になったためか、当時ファストファッションに慣れ親しんだ世代が年齢を重ねても利用しているためか、普段のカジュアル着としてすっかり定着しています。

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40~50代の消費額が低い背景には、このような時代や社会による影響が大きいのではないでしょうか。決して、おしゃれに関心がないわけでも、服を買わなくなったわけでもありません。

では、おしゃれ意欲が70代より上の世代に比べ控えめな理由は何でしょうか。
「ファッションに関するお悩み」を例に見ていきます。


※3:「百貨店ブランド」は正確には「百貨店ブランド(ワールド、オンワード、イトキン、ハイブランドなど)」、「通販ブランド」は正確には「通販ブランド(ベルメゾン/千趣会・ニッセン・ディノス・ベルーナ・セシール・フェリシモなど)」 

40代、50代が直面する「ファッションに関する悩み」とは

ファッションに関するお悩み(全体、年代別)

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40~89歳の女性:1000名(※4)

40~50代は「マンネリ化している」「自分に合うものがわからない」「着たい服が似合わない」「服の選び方がわからない」「手持ちの服を上手に着こなせない」など、ファッションの悩みを複数抱えていました。これらの項目はすべて、70~80代と比べて高くなっています。

「太ってしまったので欲しい服のサイズがない、またはサイズがあってもイメージした着こなしができない(43歳)」「自分のサイズや、好みのものがなかなか見つからない(58歳)」などの悩みもありました。

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最後に、あなたにとって「素敵な女性」とは、どんな女性のことですか?という問い(自由記述)を投げかけました。

40~50代は「自分に自信がある人」という自由記述が目立ちました。40~50代は、更年期で体型の変化も出始める時期。自分に自信を持てなくなっているのかもしれません。

筆者も50代。自信がなくなりつつある今の自分に似合うおしゃれは何かを探しています。アラフィフは、おしゃれの曲がり角。現実に向き合って悩みながらも、自分らしいおしゃれを見つけていけたら、と思います。


※4:「自分に合うものがわからない」は、正確には「自分に合うものがわからない(色、デザイン、系統など)」
 

梅津 順江

うめづ・ゆきえ 生きかた上手研究所長/インタビュアー。1年間に約700人の素敵な女性にお会いし、誌面や商品開発の種になる話を伺っています( ͡° ͜ʖ ͡°)/。のんきな夫との2人暮らし。趣味はダイビング、マンホール、美術鑑賞、食べ歩き。

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