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- 【調査】50代以上女性はバレンタインで盛り上がる?
雑誌「ハルメク」のシンクタンク「生きかた上手研究所」所長の梅津順江が、ミドル~シニア世代の女性のトレンドを読み解きます。今回は、女性470人にバレンタインデーをどう過ごしているか、大調査。そこでわかった世代特有の楽しみ方の特徴とは?
シニア女性のシンクタンク生きかた上手研究所の所長です
普段から私は、50歳以上の素敵な女性にお会いして(最近はオンラインで画面ごしも増えました)、誌面や商品開発の種になる話を伺ったり、アンケートを介して半歩先の未来を予見したりしています。読者との会話やデータで出てきた驚きや気付き・学び、ハルメク世代の実態や意識、日常の困り事や工夫からトレンドを汲み取ってお伝えしていきます。
ハルメク世代のバレンタインデーはいまだ健在
「ハロウィンの経済効果がバレンタインを超えた」「バレンタインは形骸化。ハロウィンに負けた」これらは、ハロウィンの時期にみられる報道の数々。若者の間では、「バレンタイン離れ」現象が起きているようです。ハロウィンの台頭だけではありません。追い打ちをかけるように非接触時代が到来し、恋愛も下火。バレンタインデーのギフト交換が盛り上がっていない印象です。
では、ハルメク世代(50代以上の女性)のバレンタイン事情はどうでしょう。ハルメク生きかた上手研究所では50~84歳女性470人を対象に、2022年1月21日~24日に「バレンタインに関するアンケート」を実施しました。
バレンタインイベントを「毎年実施している」人は228人(48.5%)でした。「たまにしている」という78人(16.6%)を含めると306人(65.1%)がバレンタインイベントを実施していました。
「バレンタイン」は「ハロウィン」の3倍楽しまれている
「季節の行事やイベントに関連した食べ物を毎年食べているか」では、「バレンタイン」は265人(56.4%)でした。「ハロウィン」が77人(16.4%)に対して3倍以上の開きがありました。
また、バレンタインデーに肯定的な人が6割以上、2022年もバレンタインを予定している人が6割以上という結果。ハルメク世代にとって、バレンタインデーはいまだ健在といえそうです。
「バレンタインデー」=「チョコレート」という定番のイメージ
「毎年実施している」「たまにしている」と回答した、バレンタインイベントをしている306人の実施内容の上位はチョコレートに関する内容ばかりでした。
具体的には、「人にチョコレートをプレゼントする」274人(89.5%)、「自分にチョコレートを買って食べる」102人(33.3%)、「家族がもらってきたチョコレートを一緒に食べる」93人(30.4%)です。当該世代にとって、バレンタインデーは、「チョコレート」を贈ったり、食べたりする儀式の日として定着していました。
また、「バレンタインデーはどんな日?」という質問に対する回答の上位は「高級なチョコレートを楽しむ日」108人(23.0%)、「家族と楽しむ日」89人(18.9%)、「人に感謝を伝える日」86人(18.3%)でした。他にも「自分が楽しむ日」「夫と楽しむ日」などが選ばれていました。
「“お土産”以上“お歳暮”未満」のバレンタインデーがちょうどいい
世代特有の楽しみ方の特徴が見られたので、自由回答もいくつか紹介します。
- 「ハロウィンと違い、他人との関係性が重要視されるイベントだからこそ長く続いてきた。恋愛に限らず、日頃お世話になっている夫に感謝の気持ちを改めて伝えるきっかけ。離れて暮らす息子・娘・娘の夫にも、このイベントを借りて思いを表せる」(64歳、長野県)
- 「お世話になっているけどなかなかお礼をする機会のない方に、お菓子をプレゼントするには大げさにならずに受け取ってもらえる」(59歳、埼玉県)
- 「自分へのごほうびでおいしいチョコレートを買い、娘と食べることが楽しみ」(64歳、神奈川県)
- 「夫と息子に「愛をこめて」と言いながら、自分の欲しいチョコレートを食べる和やかな日」(71歳、滋賀県)
- 「夫がもらってきた義理チョコを食べるのが楽しみ」(62歳、大阪府)
2022年のバレンタインデーも例年同様、家族やお世話になった人などにチョコレートを贈ったり、自分や周りと楽しみや感謝を分かち合いながらチョコを食べたりしながら過ごしそうです。
「チョコレート」というモチーフが、わかりやすいのかもしれません。チョコレートは「愛」「礼」が直に伝わる寓意だからか、甘い嗜好品だからか、土産品よりも重みがあります。それでいて、お歳暮・お中元よりも堅苦しくなく気軽に楽しめます。一瞬で溶けて消えるお菓子だから、後腐れもありません。そんな「“お土産”以上“お歳暮”未満」な位置づけの記念日が、50代以上のハルメク世代にとって便利で心地よいといったところなのでしょう。みなさんは、いかがでしょうか。
バレンタインデーの進化形のキーワードは「サステナブル」?
さて、長期スパンでバレンタイン様式の歴史を俯瞰してみましょう。日本のバレンタインの始まりには諸説ありますが、女性が男性に愛の告白する日としてスタートしています。時間を経て「義理チョコ」「友チョコ」「自分チョコ」など、企業中心に商業目的でバリエーション豊かな提案がなされ、ビックイベントとして日常に普及していきました。
【I→Him・You】の片方向から【We→Him・You】の複数方向、【I・We⇔You】の相互方向へと発展していきました。
では、これからのバレンタインはどうなっていくのでしょうか。新たな兆しが今回の調査から垣間見られました。
まだ数字としてはわずか13.4%でしたが、贈りたいチョコレートに「フェアトレードや環境に配慮して生産されたものなどのサステナブルなチョコレート」が挙がりました。
「私たちシニア世代にはちょっとおしゃれ、健康や環境に配慮したチョコレートがあればいい」(74歳、新潟県)のコメントも見られます。まだ一部ですが、カカオ生産国の低賃金労働や森林保全などを解決するカカオ豆を用いたサステナブルなメッセージを発するチョコに興味を抱いたのです。
「貢献したい」というマインドが芽生え、社会的意味を持ち始めたといえるのではないでしょうか。ハルメク世代のバレンタインデーは、三人称を超え、【I・We⇔Them(不特定多数)】の双方向へダイナミックかつ急速に進展していくと予測します。意味は変容しても、「チョコレートを贈る・食べる」行為そのものは変えず、伝統文化の一つとして継承していくことでしょう。
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