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- 山本ふみこさんのエッセー講座 第7期#3
随筆家の山本ふみこさんが講師を務めるハルメクのエッセー通信講座 第7期の第3回。今月のテーマは「“わかりやすい文章”とは」。参加者の作品から山本さんが選んだ3本のエッセーとともにお楽しみください。
コトコトラジオ 第3回
エッセーの書き方、ちょっとした豆知識やおすすめの本、山本家の最近のできごとなどなど……自由なテーマで話します。
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今月のテーマ:「わかりやすい文章」とは?
「わかりやすい」ってとっても大事
山本さん:11月の半ば、NHKのBSで『英雄たちの選択 帰ってきた探偵~江戸川乱歩ミステリー復活の闘い~』という番組を見ていました。
江戸川乱歩はすごく好きです。というのも、とてもわかりやすい文章を書く人だったの。明智小五郎の小説にしても、少年探偵団シリーズにしても、怪人二十面相が暗躍するお話にしても。
番組の司会者である歴史学者の磯田道史先生が、江戸川乱歩の文章を次のように表現しました。「砂に水がしみこむような、わかりやすい文章」。
わかりやすい文章っていうと、平らな、易しすぎるものをイメージされるかもしれないけれど、実はとても大事なことなのです。
「わかりやすい文章とは、何なのか」ということを、皆さんの質問を通してお話していきたいなと思います。
参加者のお悩み「文章が長くなる」「うまくまとめられない」
質問1:
「直面したことを読み手にわかるように書こうとすると、くどくどとなってしまい悩ましいです」
山本さん:書いたことのない人には、持ちえない悩みですよね。「あなたは書き手になっていますね」と、まず申し上げたいと思います。
わかりやすく書こうとすることは、大切です。しかし、「わかりやすく書くこと」と「詳しく書くこと」は、また少し別の問題。
何もかもを書こうとすると、かえってわかりにくくなります。普段の会話でも似たようなことがありますよね。やはり、要点だけを伝えようとすることは大切です。
書くにあたって、「自分はその出来事の中の、何を表現したいのか?」と、考えるところから始めましょう。
そうすると、文章の核が見え、「今回は、この付近のことだけを書こう」「この部分は、また別の作品にしよう」と思えてくると思います。
さて、“わかりやすい”文章が書けました。しかし今度は“面白くない”……そんな時は、脱線や寄り道、無駄話を入れてみましょう。
ただ脱線も本筋も、最初から混ぜ込もうとすると、どうもうまくいきません。まずは核を作ってから、そのあとに面白い要素を加えていくのがおすすめかな。
そして、寄り道や脱線をしたあとは、ちゃんと本筋に帰ってきてくださいね。
質問2:
「書きたいことはどんどん書いていけるのですが、最後がうまくまとめられません」
山本さん:まとめない方がいいですよ。「私はこういう体験をして、とてもためになりました。この学びを活かしていきたいです」なんて、感想文のようになってしまいますから。
私は「思いがけないところから始めて、切りっぱなしで終わる」という書き方をおすすめしています。
切りっぱなし……つまり、まとめる一つ手前で終わらせる方が伝わる、ということも少なくないんですよね。そして、文章がスタイリッシュになります。
ハルメクで連載中のエッセー『だから、好きな先輩』 もそうです。
こちらは心に残る女性たちへの思いを綴ったエッセーですが、実際に生きた人物・先輩について書いていると、とてもまとめきれないじゃない? そう、事柄って、人物って、本当はまとめることなんてできないんです。
切りっぱなしっていうのは、洋裁でいうと、ちょっと糸のほつれなんかもある感じ。
「切りっぱなしって、何さ」って思いながらも、この言葉を頭の片隅に置いて書いてみてください。きちんとはしていないけど、面白みは出ると思うんです。
雑誌ハルメクで連載中の「だから、好きな先輩」は、ハルメク365でラジオエッセーとして公開しています。掲載されたエッセーを山本先生が朗読。さらに、執筆時のエピソードや“先輩”との交流エピソードもお届けします。
ラジオエッセーはこちらから>>https://movie.halmek.co.jp/set/535
山本ふみこさんが選んだ3つのエッセー
クリックすると、作品と山本ふみこさんの講評をお読みいただけます。第7期第3回で取り組んだエッセーのテーマは「でも」です。
「告知」小田原薫さん
夫に病が見つかった。今年、喉の調子が少しずつ……
「レンタルドレス」木村明子さん
10月の半ば、娘が友人の結婚式に出席することになった。今まで親戚の……
「算数」傳田啓子さん
一人子のせいか、暗くなると囲炉裏で煮炊きする母のそばに居ることが日常となっていた……
お便りお待ちしています!
今月もお聞きいただきありがとうございました。山本さんへのお便りを募集しています。この記事の下にある「コメントを書く」よりお送りください。ラジオネームを併記していただけたら、番組のなかでお名前をお呼びします。
随筆家・山本ふみこさんのプロフィール
1958(昭和33)年生まれ。出版社勤務を経て随筆家に。ハルメクでは連載「だから、好きな先輩」やエッセー講座(会場開催と通信制)の講師でおなじみ。著書に『朝ごはんからはじまる』『まないた手帖』(ともに毎日新聞社刊)『おとな時間の、つくりかた』(PHP文庫刊)『暮らしと台所の歳時記 旬の野菜で感じる七十二候』(PHP研究所)『こぎれい、こざっぱり』『台所から子どもたちへ』(ともにオレンジページ刊)『家のしごと』(ミシマ社刊)ほか多数。公式ブログは http://fumimushi.cocolog-nifty.com/
ハルメクの通信制エッセー講座とは?
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回出されるテーマについて書き、講師で随筆家の山本ふみこさんから添削やアドバイスを受けられます。講座の受講期間は半年間。
募集については、2024年1月頃、雑誌「ハルメク」誌上とハルメク365イベント予約サイトのページでご案内予定です。
エッセー作品一覧
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