岸田ひろ実 いつか美しくなる、今(最終回)

不安やストレスから視点をずらすと見える、本当の幸せ

公開日:2020/05/10

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夫の突然死、知的障害のある長男の出産、下半身まひで車いすユーザーに。それでも心折れることなく、しなやかに生きてきた岸田ひろ実さん。最終回となる今回は、不安やストレスを感じたときに実践してみたい、発想の転換の仕方についてお伝えします。

新型コロナウイルスによる変化にストレスを感じて


新型コロナウイルスの影響で不安な日々が続いています。今までとは違う環境に心が疲れていませんか? この先の不安にモヤモヤしていませんか?

私はつい最近まで、その不安とモヤモヤの真っただ中にいました。

私の在宅勤務が3週間を過ぎたある日、東京に住む娘から電話がかかってきました。

「話し方、なんか怖くなっているよ」

娘に言われて初めて気が付きました。ずっと家で過ごしている私は無意識のうちにストレスをため、機嫌が悪くなり、家族にきつく当たっていたのです。これは非常によくない。なんとかしなければと、そこで考えました。

 

「妄想」は、不安とストレスに対抗する手段!

妄想のイメージ


最初に思い付いたのは妄想です。闘病中、長い入院生活の中で培った私の得意の「妄想」で今の不安を克服するという方法です。まずは自分に聞きます。「私は何になりたいの?」「私は何がしたいの?」そこから妄想を始めるのです。

キラキラ輝いていたい、楽しいことをしていたい、あれもこれも……と、やりたいことが次々出てきます。そうすると、曇って何も見えなくなっていた私に心の中に明るい光が差し込み、不安やモヤモヤの先にある大切なものが見えてきます。

妄想した明るい未来から逆算すると、今何がしたいのかを見つけやすくなるのです。

ワクワクし始めた私が妄想の次にしたことは、「今やるべきことをやる」のではなく、「今だからこそできることをやろう」ということでした。

部屋の模様替え、クローゼットの片付け、本棚の整理、ぬいぐるみの洗濯、映画を見る、お菓子を作る、犬と遊ぶ。要するにどうでもいいことばかりなのですが、今までやりたくても忙しくてできなかったことなのです。

ずっと家にいて時間がある今だからこそ思う存分、気兼ねなくできるのです。「今やるべきこと」だと時には自分を追い込んでしまいますが、「今だからできること」を選んでやると、とにかく楽しいです。時間があるということは、実はとてもありがたいことだったのです。

 

本当の幸せは、視点を変えてみると見つかる

赤いものを探すイメージ


家で「今だからできること」を選んで過ごすようになって、気付いた大切なこと。それは、視点を変えて考えてみるということです。ただし、意識をしなければ視点はなかなか変えられません。

例えばです。「赤いモノを見つけてください」と言われたとします。

、すると青いモノが近くにたくさんあっても、意識していない青いモノは眼中にない状態になるでしょう。でも本当に大切なモノは、実は青いモノの中にあるかもしれません。

自分の意識や努力ではどうにもできない今の状況にだけに目を向けてしまうと、落ち込んでしまいます。今も未来も不安になるばかりです。目を向けるべきは、どうにもならない今の状況ではなく、自分自身です。

「今、私は何がしたいのか」
「何をすれば楽しいのか」を考えてみれば、見えるもの、気付くことが変わってきます。

私はこうなりたい!だから、今日はこれをしよう!そして、明日はあれをしよう!

本当に大切なものに気付くためには、「意識」して違う視点を使って考えてみることです。

だからこそ今は、すぐそばにいる大切な人との楽しいコトをたくさん考えてみてください。そして、それを繰り返し続けていくことが、未来をずっと楽しくするのだと思うのです。

 

岸田ひろ実さんのプロフィール

きしだ・ひろみ 1968(昭和43)年大阪市生まれ。日本ユニバーサルマナー協会理事。株式会社ミライロで講師を務める。27歳、知的障害のある長男の出産、37歳夫の突然死、40歳、病気の後遺症で車いすの生活に。自身の経験から、人生の困難や障害との向き合い方を伝える。

 

写真提供=山下コウ太

 

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<編集部から>
今回で、岸田ひろ実さんの連載は終わります。これまでの2年にわたる連載もぜひご覧ください。

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岸田 ひろ実

きしだ・ひろみ 1968(昭和43)年大阪市生まれ。日本ユニバーサルマナー協会理事。株式会社ミライロで講師を務める。27歳、知的障害のある長男の出産、37歳夫の突然死、40歳、病気の後遺症で車いすの生活に。自身の経験から、人生の困難や障害との向き合い方を伝える。

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