医師・津川友介さんに学ぶ!健康と食の関係・2

健康にいい茶色い炭水化物とは?白米と玄米の違いは?

公開日:2022.10.05

教えてくれたのは…医師・津川友介さん

発売からたった10日間で10万部を突破した「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」(東洋経済新報社)の著者。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部准教授、医師。東北大学医学部卒、ハーバード大学で修士号および博士号を取得。聖路加国際病院、世界銀行、ハーバード大学勤務を経て2017年より現職。ブログ「医療政策学×医療経済学」で医療に関する最新情報を発信している。twitter: @yusuke_tsugawa

精製されていない「茶色い炭水化物」は健康にいい

精製されていない「茶色い炭水化物」は健康にいい

炭水化物には「精製された炭水化物」と「精製されていない炭水化物」がありますが、アメリカの食事ガイドラインでは精製されている炭水化物を減らして、なるべく精製されていない炭水化物を増やしましょうと推奨されています。

いわゆる日本の厚労省の理想的な食事バランスみたいなもののアメリカ版です。でも、日本ではそのような推奨はされていません。

精製されていない茶色い炭水化物とは、具体的にいうと、全粒粉のパンや玄米のことです。ただし、パンだと塩やバターも入ってますし、そばも十割そばでない限りは小麦が入っています。そうなると、日本人の食生活で置き換えるなら、一番メリットが大きいのは「玄米」と言えます。

精製されていない「茶色い炭水化物」は健康にいいことが、さまざまな研究データでわかっています。特に、日本人はお米を主食として食べる頻度が高いので、3食玄米にすると血糖値が下がる人や痩せる人、お通じも良くなる人も出てきます。

アメリカではレストランでも玄米が選べる

アメリカではレストランでも玄米が選べる

アメリカでは、普通にレストランで「白米にしますか、玄米にしますか?」って選べるんです。

レストランといっても、別に高級だったりハイセンスだったりするわけではなくて、値段もほぼ変わりません。玄米を選んでも+1ドルくらいで、体にいい食事のための選択肢として、当然あるという状況です。

日本でも「健康のために塩分を減らしましょう」というのは常識ですよね。アメリカで玄米を選ぶのは、それと同じくらい健康のための常識です。

仕事ができるビジネスマンで健康意識が高い人は「ブラウンライス」を選んでいて、それがかっこいいと思われる土壌があります。「玄米を選ぶ人=おしゃれで健康のこともわかっている人」という感じですね。

一方で日本人は、玄米に対して抵抗が強いですよね。玄米は消化が悪いんじゃないかとか、食感がモソモソするとか、炊くのが大変だとか。苦手意識が強いですよね。

消化が悪いって本来は良いことです。不溶性の食物繊維が多くて、その分消化が遅くなって体の中がきれいになるのですから、健康上はとても良いこと。

日本は健康になりにくい社会…「質の高い」食事への転換を

人間の歴史は、飢餓の歴史でもあります。私の親世代も戦後はビタミンAが足りなくて、とり目(夜盲症)になる方もいた。過去50年くらいを除いて飢餓の時代でした。

今の厚労省の栄養摂取基準は、基本的に栄養が足りないと言う前提から「足す」視点で作られているんですね。でも、過去50年ぐらい急激に飽食の時代になって、現代社会では栄養不足で問題になる人ってほぼいないんです。

この段階で、日本が方向転換ができていないのは課題です。栄養摂取基準も含めて。今は足りないものを足すというより、今食べているものを見直して、「質の低い食事」から「質の高い食事」に変えましょうということです。

その基準や方針が整えば、アメリカのように質の高い食事を選択できて、日本はもっと長く健康に幸せに暮らせる人が増えるのにと常々感じます。

白米と玄米の違いとは?週1回からの玄米生活で健康に

白米と玄米の違いとは?週1回からの玄米生活で健康に

日本人はもともと白米を食べ始めたのが結構最近なので、へたすると「貧しかった日本が食べていたもの」というイメージなのかもしれません。

すべての食事を玄米にするべきだとは言いません。朝ごはんとか一人で食べるお昼ご飯とか、そういう時だけでも玄米に変えてみる。

それだけでも、目に見えて体調が変わってくると思います。それで5年とか続けていただけたら、健康診断の値も良くなり、脳梗塞などの病気のリスクも下がります。

白米と玄米は97%同じなのに、たった3%の違いでこれだけ健康効果が変わってしまうのです。やはり食品の複雑な栄養が健康を導くことは間違いありません。

白米と玄米の違いとは?

健康でいるために「体にいい食事」にこそ投資を!

実は、流行りの糖質制限にも、玄米に比べて健康になれるというエビデンスはほとんどありません。

日本は世界で一番寿命が長い国なのに、正しい健康情報の周知度に関しては、かなり遅れてしまっています。

一食一食を「体にいい食事」に変えていくことで、長く健康で、幸せに生きられる人がもっと増えると考えています。ぜひ、健康な食事への投資を惜しまず、少しでもできるところから始めてみませんか。

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小西 由希

こにし・ゆき 「ハルメク おしゃれ」編集部。副編集長・ビューティー部門の編集担当。京都の日本海側出身のため色白。毎朝、美白パックをしている。

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