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- 50代からの健康を保つ「体にいい食事」とは?
私たち日本人は長寿であり健康意識も高い反面、根拠のない健康情報に惑わされやすい側面も持ちあわせています。きちんとした科学的な根拠がある「本当に体にいい食事」について医師に聞きました。
教えてくれたのは…医師・津川友介さん
発売からたった10日間で10万部を突破した「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」(東洋経済新報社)の著者。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部准教授、医師。東北大学医学部卒、ハーバード大学で修士号および博士号を取得。聖路加国際病院、世界銀行、ハーバード大学勤務を経て2017年より現職。ブログ「医療政策学×医療経済学」で医療に関する最新情報を発信している。twitter: @yusuke_tsugawa
健康の基本は「食事・運動・睡眠」!体にいい食事が大切
日本には医食同源という言葉があるように、私たちの体は「食べたもの」でできています。
人間が健康になるためにできることは結局、「食事・運動・睡眠」そして「ストレスを減らすこと」くらいしかありません。
中でも食事は1日3回もありますし、365日食べ続けたものが健康に大きな影響を与えるのは明らか。実はサプリメントより食事の方が圧倒的に影響は大きいです。
私の拠点はアメリカですが、ときどき日本に帰って書店に立ち寄ると、ものすごい量の健康情報があふれていて、その中には科学的根拠のない誤った情報もいろいろあることに驚きます。
これは、私たち医者が「健康のための食」について発信してこなかった影響もあります。
すでに患者の体に問題が出ているなら薬で治療するのは当然ですが、問題が生じる前に食事を見直すことで、健康でいられる人がもっと増えるはずです。
そのために私は、最新の研究論文や科学的根拠に裏付けされた「体にいい食事」についての情報を発信しているのです。
食品に含まれる「成分」に惑わされるな!
「体にいい食事」について考える際に重要な要素には、肉や野菜といった「食品」と、β-カロテンやリコピンなど「成分」の2つがあります。
最近は大切なのは「食品」を取ることで、「成分」はあまり重要ではないとされています。
例えば、1990年代に流行した「β-カロテン」入りの清涼飲料水。緑黄色野菜を食べていると健康にいいことがわかり、そこから緑黄色野菜に多く含まれるβ-カロテン配合の飲料が一世を風靡しました。
しかし、現在はめっきり影をひそめています。
その理由は、研究によってβ-カロテン配合の飲料は健康に良くないこと、むしろ有害である可能性が高いことがわかってきたことにあります。
そもそも緑黄色野菜とβ-カロテンで何が違うかと言うと、野菜にはβ-カロテンの他にも、ビタミンCや食物繊維などいろんな栄養が入っているわけですね。
こうした「食品」に含まれる複雑な栄養は、健康に働きかけることがわかっています。しかし、「成分」だけを精製して取ると、効かなくなってしまうのです。
私たちを健康にするのは、精製され過ぎていない「食品」
私たちの体は非常に複雑で「食品」に含まれるいろいろなものが相互作用している可能性があります。食事と健康というこの複雑な関係を、一対一みたいに純粋な「成分」に落とし込むというのは、うまくいかないのです。
もちろん、時には薬みたいな形で、精製した「成分」だけを摂取してうまくいくこともあります。ただ、薬は病気になった人を治すものなので、食品のように健康な人の健康を維持するという話ではありません。
「リコピンが体にいい」とよく聞くと思いますが、人参のβ-カロテンと同じように、トマトに含まれるリコピンの「成分」そのものが体にいいという根拠も、実は今のところありません(野菜のトマトは体にいいことがわかっていますが、「リコピン」が体にいいのかどうかはわかっていません)。
健康を維持するためには、精製された特定の「成分」だけを取るのではなく、素材そのままの複雑な栄養が残った、精製され過ぎていない「食品」を毎日食べ続けることが大切なのです。
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