岡田晴恵さんが解説!ストレス下こそお互い様の精神を

新型コロナワクチンはどうなる?感染リスクへの対策は

公開日:2020/11/21

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収束する気配のない新型コロナウイルス。冬を目の前に各地で新規感染者数が増加しています。今回は、新型コロナウイルスのワクチンや今後の見通しについて、白鷗大学教育学部教授で、感染免疫学・ワクチン学を専門とする岡田晴恵さんにお話を伺いました。

新型コロナワクチンどうなる?
新型コロナワクチンどうなる?

ワクチン実用化に際し、確認すべき2つのこと

ワクチン実用化

※この記事は、2020年10月27日に取材をしました
―連日、新型コロナウイルスのワクチンに関するニュースが報じられています。新型コロナウイルスのワクチン開発の見通しについてお聞かせください。

岡田晴恵教授(以下、岡田教授):一般的には、ワクチン開発には何年もかかります。場合によっては10年単位の時間がかかることもあります。

新型コロナウイルスのワクチンに関しては現在、国内外で開発が活発に進められており、2021年に供給を目指す……という情報も聞かれます。厚生労働省では、早期にワクチンを実用化するための取り組みも進められています。有難いことだと思っています。

ただし、仮に早期の開発に成功したとしても、使用されるようになる前には「安全性」と「有効性」についての確認は欠かすことができません。

ちなみに、「コロナウイルス」にはいくつか種類があり、2003年に大きな問題となった「SARS(サーズ、SARS-CoV)」や、2012年に見つかった「MERS(マーズ、MERS-CoV)」もコロナウイルスの一種ですが、まだ有効なワクチンは開発されていません。
 

―「ワクチンが完成すれば、ある程度安心」というような空気も感じます。新型コロナウイルスのワクチンは、今わかっている限りでどの程度有効だと考えられますか?

岡田教授:仮にワクチンが製造されて、接種が可能になったとしても、ワクチンによって免疫が続く期間が限られている可能性があります。

というのも、一度新型コロナウイルスにかかった場合であっても、時間の経過とともに抗体が減ってくる可能性があることが、WHOによって指摘されているからです。ワクチンを接種したらどのくらい免疫が持続するのかについては、まだ未解明な部分が多いと思います。

有効性については、「感染を防ぐ」のか「重症化を防ぐ」のか「発症を防ぐ」のか、どのレベルをどのくらいの期間……といったことを今後検証していく必要があります。

 

―開発の優先度が高い新型コロナウイルスのワクチンは、一般の人たちが接種できるようになるまでのプロセスは他のワクチンと異なるのでしょうか。

岡田教授:ワクチンが認可されるまでには、いくつものプロセスがあります。

かみ砕いて説明すると、健康なヒトに試す試験、少数の患者に対して安全性と有効性を試す試験、人数を増やして試す試験……など、さまざまな試験を行い、年単位で経過を見ていくのが一般的です。

大勢の人への接種が始まってから想定しなかった「副反応」が報告される可能性もあります。新型コロナウイルスのワクチンの場合には、一般の人への接種が始まった後に、その経過を長期にわたって見守り続けることになるのではないか、と思います。4相試験というものです。

いずれにせよ、ヒトのコロナウイルスのワクチンは新しいワクチンなのです。インフルエンザのワクチンのような知見と経験値が蓄積されていないので、今回の新型コロナウイルスワクチンは安全性と有効性をきわめて慎重に見ていく必要があります。
 

―海外で製造されるワクチンの有効性が日本製よりも先に認められて認可された場合、日本にも輸入される可能性はありますか?

岡田教授:仮に、海外企業がワクチン製造に成功したとして、日本で使用が認められた場合であっても、需要に見合った量がすぐに日本に入ってくるとは考えにくいですね。

海外で収集された接種後の経過にまつわるデータを見つつ、有効性と安全性を確認しながら徐々に輸入される、ということが現実的にはなるのかなと思います。だからこそ、この冬をまずどう乗り切るのか? 予防や対応は? ということが大切ではないでしょうか。

自粛ストレスと新型コロナウイルスの感染リスクとの向き合い方

自粛ストレス

―実用化には懸念点が多々あるワクチンの開発のお話から、当面は感染予防の対策を地道に続けることが大切なのだと感じました。

とはいえ、コロナウイルスの収束時期が見通せず、心のバランスのとり方が難しいとも感じています。「ハルメクWEB」の読者の中には、コロナ禍をきっかけに「スポーツジムに行けなくなった」「茶道をやめた」など、好きだった習い事や趣味を諦めてしまっている人もいます。

岡田教授:習い事の内容にもよりますが、やはり密閉空間の習い事は、今はまだ厳しいですね。今後、より感染リスクの低い場所でできる新しい趣味を自分で探っていくことが必要なのかもしれません。

残念ながら、新型コロナウイルスの感染リスクはゼロにすることはできません。ですが、ある程度リスクを低くすることはできます。

新型コロナウイルスの感染リスクをどうしたら減らせるのか、どんな状況で感染が発生しやすいのかが、明らかになりつつあります。

新型コロナウイルスについてこれまでにわかっていることを「正しく知る」ことは、過度に恐れ過ぎないことにもつながると思います。
お子さんにもシニア世代の方にもわかりやすく伝えたくて、新刊の『まんがで学ぶ! 新型コロナ知る知るスクール』では、イラストを多用して、紹介してみました。
 

―感染した人への差別的な言動もいまだにニュースなどで目にします。

岡田教授:感染した人を責める風潮や、自己責任論が強まっている傾向が見られますが、今は誰もが感染のリスクにさらされています。いつどこで誰がかかっておかしくはない、という状況が都会ではあるように思います。と言いますのも、感染経路不明の感染者が増加しているからです。

少なくとも読者のみなさんは、お互い様の精神をもって「共助」ということを大切にしてほしい。こういうときこそ助け合いが必要だと、ハルメク世代の私は思っています。
 

 

『まんがで学ぶ!新型コロナ知る知るスクール』岡田晴恵著

『まんがで学ぶ!新型コロナ知る知るスクール』岡田晴恵著 /まんが 山田せいこ 
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【取材協力】

岡田 晴恵(おかだ・はるえ)

岡田 晴恵(おかだ・はるえ)
共立薬科大学大学院薬学研究科修士課程修了、順天堂大学大学院医学研究科博士課程中退、医学博士。アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨励研究員としてドイツ・マールブルク大学医学部ウイルス学研究所留学、(社)日本経済団体連合会21世紀政策研究所シニア・アソシエイトなどを経て、現在白鷗大学教育学部教授。専門は感染免疫学、ワクチン学。感染症対策の第一人者として、研究者の観点からわかりやすく解説。作家としても活動し、感染症関連の書籍を多数執筆している。

取材・文=北川和子

 

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ハルメクWEB編集部

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