後悔しない白内障手術の選び方#3

単焦点?多焦点?白内障になった眼科医が選んだ眼内レンズの種類とその理由

単焦点?多焦点?白内障になった眼科医が選んだ眼内レンズの種類とその理由

公開日:2026年04月07日

単焦点?多焦点?白内障になった眼科医が選んだ眼内レンズの種類とその理由

単焦点と多焦点、どちらを選べば後悔しない?見え方や生活への影響など、迷いやすいポイントをどう考えるかがカギです。自らも白内障の手術を受けた眼科医が、レンズの違いと選び方をわかりやすく解説します。

高田眞智子(たかだ・まちこ)さんのプロフィール

医学博士・日本眼科専門医。1990年横浜市立大学医学部卒。結婚を機に茨城県つくば市に転居し、東京医科大学眼科学教室転局。2000年12月高田眼科を開院。2009年3月多焦点眼内レンズを用いた先進医療実施施設に認定。2024年4月、高田眼科を医療法人つくばとして再スタート。

自分に合ったレンズがわかる!眼内レンズ総まとめ一覧

白内障手術で挿入する眼内レンズの概要をシンプルな分け方で理解するために、眼内レンズ総まとめ一覧を作成しました。

回折型多焦点レンズ

<焦点の特徴>

  • 遠中近の複数の焦点を持つ
  • 連続焦点である

<費用負担>

  • 選定療養:25万~50万円
  • 自由診療:50万~100万円

(選択するレンズや施設により幅がある)

<光学技術>    
レンズ表面に回折構造を施し、光を分配

<おすすめの患者層>

  • メガネをかけたくない
  • あまり夜間運転をしない
  • 細かい手元作業(手芸・読書)が多い

<メリット>

  • ほぼ全距離がよく見える
  • 日々の生活が快適

<デメリット>

  • コントラスト感度の低下がややある
  • 暗所で見えにくいことがある
  • 光視症が出る可能性あり
  • 高額である

非回折型多焦点レンズ

<焦点の特徴>
遠方から50cm前後の焦点移行が滑らかで自然

<費用負担>

  • 選定療養:25万~50万円
  • 自由診療:50万~100万円

(選択するレンズや施設により幅がある)

<光学技術>    
回折構造を用いず、屈折の特性を活用

<おすすめの患者層>

  • メガネをかけたくない
  • 夜間運転や暗所での作業が多い
  • 光学的な副作用を避けたい

<メリット>

  • 遠くから中間がよく見える
  • 夜間運転に適している
  • 見え方が自然で、光視症が少ない

<デメリット>

  • 手元を見るときメガネが必要なときもある
  • 高額である

単焦点レンズ

<焦点の特徴>
焦点が1カ所(遠・中・近のいずれか)

<費用負担>
健康保険適用

  • 3割負担なら6万~8万円(各自負担割合で変わる)

<光学技術>    
回折構造を用いず、屈折の特性を活用

<おすすめの患者層>

  • メガネに抵抗がない
  • 白内障以外の眼疾患がある
  • リーズナブルに手術を受けたい

<メリット>

  • 安価である
  • 焦点が合うところでは良好なコントラスト

<デメリット>

  • 基本的にメガネが必要
  • 焦点外はぼやける
  • メガネ作成など別の出費あり

まずここだけ押さえる!単焦点と多焦点の違い

眼内レンズの種類は、光を結ぶ焦点の数で大きく2つに分けられます。焦点が1つに集ま る単焦点眼内レンズと、2カ所以上の焦点を持つ多焦点眼内レンズです。

まずここだけ押さえる!単焦点と多焦点の違い
単焦点眼内レンズの場合(書籍より引用)
まずここだけ押さえる!単焦点と多焦点の違い
多焦点眼内レンズの場合(書籍より引用)

「眼内レンズ総まとめ一覧」では、さらに多焦点レンズを多焦点機能面で大きく2つに分けました。レンズ表面に回折構造を有することで多焦点 機能を実現している「回折型」とそれ以外のレンズに屈折力を持たせることで多焦点機能を実現している「非回折型」の2つです。 

厳密にいうと分類の境界線をまたぐレンズがないわけではありませんが、そこは目をつ ぶって、多焦点をこのように二分すると、すべての眼内レンズをどこかに分類することができます。

また両者をまたぐ機能として、連続焦点型や一部の焦点深度拡張型(EDOF)などがありますが、ベースの機能が回折型か非回折型か、そのレンズの性質が全距離を見せることに重点をおいているか、光視症を減らすことに重点をおいているかで「回折型」「非回折型」のどちらかに分類しました。

眼科医の私が多焦点眼内レンズを選んだ理由

眼科医の私が多焦点眼内レンズを選んだ理由
takeuchi masato / PIXTA

私が多焦点眼内レンズを選ぶまでの道のりは、決して簡単ではありませんでした。私自身、「どうしても多焦点を入れたい」という強い思いがあった一方で、「本当にこれが正しい選択なのか」という不安が拭えず、悩み続けていました。

そんななか、実際に多焦点レンズを入れた経験者の話に大いに勇気づけられ、実際多焦点を入れたら、その恩恵が想像以上だったことを実感しました。

遠くも近くも、メガネなしで瞬時にくっきりと見える──この奇跡のような感覚が、どれほど人の心に力を与えてくれるものか。

これまでたくさんの患者さんを診察し、その喜びを想像することはできていました。しかし、自分自身が手に入れたこの「よく見える世界」によって、こんなにも心が明るくなり、前向きになれるとは、正直なところ想像以上でした。毎日が新鮮で、見るものすべてに喜びを感じる。そんな小さな奇跡を、今、心からうれしく思っています。

後悔しないために。自分に合うレンズの選び方

後悔しないために。自分に合うレンズの選び方
siro46 / PIXTA

白内障手術において、挿入する眼内レンズの選択は術後の生活の質を大きく左右します。特に近年、多焦点眼内レンズの進化により、裸眼での視界が広がり、生活の利便性が向上しています。

新しいレンズが次々と登場し、かつて最先端だったモデルが市場から姿を消していく中、私が選んだレンズもすでに新しいバージョンへと置き換わろうとしています。

患者さんにとっては選択肢が増える恩恵がある一方、伝える側としては情報の鮮度を保つ難しさを感じます。この記事を通じて、多様化する眼内レンズの特徴や進化の背景を理解し、自分に最適なレンズ選びの一助となれば幸いです。

「後悔しない白内障手術の選び方」シリーズでは、白内障手術で後悔しないための知識を、基礎→手術の選び方→レンズの選び方の全3回で整理しています。前後の記事もあわせて読むことで、自分に合った白内障治療が見えてきます。

全3話を読む!>

※本記事は、書籍『眼科医の私が白内障手術を受けて分かったこと』より一部抜粋して構成しています。

もっと詳しく知りたい人は

もっと詳しく知りたい人は

『眼科医の私が白内障手術を受けて分かったこと』高田眞智子著(幻冬舎)

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HALMEK up編集部
HALMEK up編集部

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