更年期と混同しがち!放置厳禁の「慢性腎臓病」
女性のクレアチニンが少し高い原因は?改善方法は?
女性のクレアチニンが少し高い原因は?改善方法は?
更新日:2025年05月08日
公開日:2023年07月28日
クレアチニンが少し高いのはなぜ?筋肉量の少ない女性は男性に比べクレアチニン値が低い傾向にあります。数値が高くなる原因はさまざまですが、筋肉量の他にもタンパク質の摂取、病気が影響している可能性も。クレアチニンが高い原因や改善法を解説します。
クレアチニンとは?

血液中のクレアチニン(Cr)の濃度は、腎臓の機能の低下や腎不全に関連する数値で、腎臓の機能や排泄能力を評価するための指標として知られています。
クレアチニンとは、筋肉が運動するためのエネルギーが代謝された後に生成される老廃物のこと。筋肉がクレアチンリン酸と呼ばれるエネルギーを使用した後に生じる「ゴミ」のようなイメージです。
クレアチニンは通常であれば腎臓を通じて尿として体外に排泄されますが、腎臓が悪くなるとクレアチニンが体の中に溜まりがちになり、濃度が高くなります。
クレアチニンの基準値
クレアチニンは、筋肉を動かした後に出てくるゴミです。筋肉の量によってクレアチニンの量は変わるため、運動・筋力トレーニングや高たんぱく食の摂取によって筋肉量が過剰に多い場合に、クレアチニンの発生量は高くなる傾向があります。また基準値は一定ではなく、年齢や性別によっても変化します。
例えば、筋トレが趣味で週3回必ずトレーニングに行う30代の男性と、デスクワークで運動が少ない50代の女性を比較した場合、女性の方が筋肉は少なくなります。クレアチニンの発生量にも差が出て、30代の男性の方がクレアチニン量は多くなるというわけです。
【クレアチニン(Cr)の基準値】
- 女性:0.46~0.79mg/dL以下
- 男性:0.65~1.07mg/dL以下
クレアチニンが高くなる原因
健康診断を行ったときに気になるのが、クレアチニンの数値です。クレアチニンが高くなる原因としては、以下が考えられます。
- 高血圧や糖尿病などの生活習慣病の影響
- 免疫や遺伝の病気の影響
- 筋肉量など腎臓に異常がないケース(運動量や筋肉量が多い方)
- その他の理由(検査の前日に肉を食べすぎた場合、脱水症や筋肉細胞の損傷、心不全)
クレアチニン値は、脱水症や筋肉細胞の損傷、心不全などでも高くなります。特に、健康診断では脱水の傾向がある状態で検査を行うことが多く、クレアチニン値が高くなることも。
「クレアチニンが少し高い」という結果のみでは上記のどれに当てはまるか判断できないため、さらに詳しい検査をする必要があります。
クレアチニンが少し高いとどんな症状が出る?
クレアチニンは、少し高いだけではまったく症状が現れません。
「症状がないから」と放置されることも多いですが、クレアチニン値は腎臓機能が60%以下になるまで変化しないため、症状が出たときには既に手遅れということも少なくありません。症状が出た場合はすぐに医師に相談しましょう。
クレアチニンが少し高いのは放置しても大丈夫?
腎臓は、悪くなったとしても重症になるまで進行しなければ症状が出ないという特徴があります。そのため、採血や血液検査など健康診断をきっかけに異常が見つかることが多いです。
クレアチニンは2.0mg/dLを超えたあたりから急激に増加します。基本的に、腎臓は一度悪くなったら回復することがないため、生活習慣の改善による予防、早期発見・早期治療を心掛けましょう。
年齢を重ねると筋肉量が減少するためクレアチニンが上昇せず、腎機能が低下しても気付けないことがあるため、注意が必要です。
更年期の不調と勘違いされることも多い「慢性腎臓病」
慢性腎臓病(CKD)とは、腎臓の働き(GFR)が健康な人の60%未満に低下し、腎臓の障害が慢性的(3か月以上)に続いている状態を指します。慢性腎臓病は糖尿病よりも多いといわれ、女性は閉経以降発症しやすくなり、年齢を重ねるにつれて患者数が増加します。
初期の慢性腎臓病は自覚症状がほぼなく、病気が進行すると夜間頻尿、顔や手足のむくみ、倦怠感、貧血、めまいや立ちくらみ、不眠、貧血といった症状が見られるようになることが特徴です。
これらの症状は更年期障害で見られる更年期症状に似ており、「更年期だから」と放置すると、悪化してしまう可能性があるため注意しましょう。慢性腎臓病は末期腎不全、心筋梗塞、脳卒中の原因にもなります。
また、女性は閉経を迎えるとエストロゲンの分泌量が激減しますが、エストロゲンは腎臓に溜まった尿酸の排出を促す作用のある女性ホルモンです。閉経後はこの機能が低下し、尿酸値の上昇を招くことも。尿酸値の上昇は痛風や尿路結石にもつながります。
不調を感じる場合は放置せず、早めに詳しい検査をすることが大切です。
クレアチニンが高いときの腎機能の検査方法

クレアチニンだけでは腎臓の機能が低下しているかどうか、判断できません。
そこで、「eGFR(糸球体ろ過量)」「シスタチンC」「尿素窒素(BUN)」「尿タンパク」「腎臓エコー」などの検査によって総合的な診断を行う必要があります。
【血液検査】eGFR(糸球体ろ過量)
腎臓には、血液に含まれる塩分や老廃物を「濾過(ろ過)」し、尿として体外に排出するという重要な働きがあります。この濾過機能を担っているのが「糸球体」です。細い毛細血管が毛糸の球のように丸まってできているため、このような名前で呼ばれています。
糸球体の濾過機能を正確に測定するためには「クレアチニンクリアランス検査」という検査をする必要がありますが、2時間もしくは24時間の尿を貯めなければならず、簡単にはできません。
そこで、eGFR(糸球体ろ過量)を測定します。eGFRは、腎臓内の糸球体が1分間にどれだけの量の血液を濾過しているかを表す数値です。腎機能が低下すると糸球体濾過量(GFR)が低くなります。
eGFRは「クレアチニン値」「年齢」「性別」から算出可能です。一般社団法人日本腎臓学会の「腎機能測定ツール」で計算できるので、ぜひチェックしてみましょう。eGFRが低い場合、慢性腎臓病(CKD)が疑われます。
以下は、eGFRの基準値です。
【eGFRの基準値】
- G1(正常または高値)……90.0mmL以上
- G2(正常または軽度低下)……60.0~89.9mmL
- G3a(軽度~中等度低下 )……45.0~59.9mmL
- G3b(中等度低下~高度低下)……30.0~44.9mmL
- G4(高度低下・腎不全)…… 15.0~29.9mmL
- G5(末期腎不全)…… 14.9mmL以下
【血液検査】シスタチンC
クレアチニンは、筋肉量が多い人の場合は不正確になるため、血清シスタチンCという別の採血項目も合わせてチェックします。
シスタチンCとは、糸球体で濾過されるタンパク質のことで、クレアチニンのように筋肉量に影響されません。また、初期の腎機能低下でも濃度が増えると考えられています。
保険適用では3か月に1回のみの測定となることや検査費用がやや高くなることから、本当に必要だと判断された場合に検査が行われます。
評価はシスタチンCの値そのものではなく、シスタチンCの値を特別な計算式に当てはめて計算する「eGFR-cys」の値で評価します。
【血液検査】尿素窒素(BUN)
尿素窒素(BUN)の検査は、通常はクレアチニンとあわせて行われる腎機能のスクリーニング検査です。
体内で代謝されたタンパク質は最終的に「尿素」となり、腎臓から排泄されます。この尿素の中に含まれる窒素の量が「尿素窒素(BUN)」です。
尿素内の窒素は一定のため、血液中の尿素窒素が増加するのは「たくさんのタンパク質を摂取した(代謝されたタンパク質が増えた)」「腎機能が低下して尿素がうまく排泄されなくなった」という原因が考えられます。
尿素窒素(BUN)が高い場合は腎機能障害や脱水、消化管出血、高タンパクな食事が考えられるでしょう。また、絶食でも上昇することがある数値です。低い場合は低栄養の可能性があります。
以下は、尿素窒素(BUN)の基準値です。
【尿素窒素(BUN)の基準値】
- 8.0~20.0mg/dL
【尿検査】尿タンパク
尿タンパクは、尿検査で調べる項目で、腎臓の障害を調べる検査の中でも重要な検査です。
尿タンパクはマイナス(−)やプラス(+)などで検査結果を出しますが、腎臓に障害が出ていると考えられる場合はタンパクがどれだけ出ているか、詳しい量を調べる必要があります。
【尿タンパクの基準値】
- 基準値……陰性(-)
- 要注意……(+)(±)
- 異常……(2+以上)
超音波検査・腹部CT(画像診断)
超音波検査(腎臓エコー)は、超音波を使って腎臓のサイズや表面がゴツゴツしていないか、結石や腫瘍などの合併症はないかを確認するための検査です。
尿タンパクが出ているときや、腎機能低下が見られるときに行われます。放射線による被爆も痛みもなく、安心して行える検査です。
しかし、超音波検査は、ガスや脂肪がたまっている場合などは正確な診断が難しいこともあります。その場合は、超音波検査では見えにくい部分まで調べられる腹部CTを行うこともあるでしょう。
腎生検
しっかりと診断し、適切な治療法を決めるために行うのが「腎生検」です。
うつぶせの状態になって腎臓に細い針を刺し、腎臓の組織の一部を切り取って、顕微鏡で検査します。検査で出血する可能性もあるため、入院が必要な検査です。
腎生検には「超音波ガイド下針腎生検」と「開放性腎生検」がありますが、体の状態によっては腎生検を行わない方がいいケースもあります。
クレアチニンの数値を下げるための改善方法は?

一般的に、腎機能は一度悪くなると改善することはないため、クレアチニンを下げるのではなく以下のような方法で「これ以上クレアチニンを上げないようにする」ことを目指すのが一般的です。
- 食事の改善(塩分を減らすことを中心に、タンパク質制限、カリウム、リン、水分制限)
- 運動(有酸素運動やレジスタンス運動)
- 禁煙
- 生活習慣病のコントロール(生活習慣病がある人)
レジスタンス運動とは、スクワットや腹筋、腕立て伏せなど筋力トレーニングと呼ばれる運動のこと。体の状態にもよりますが、医師と相談して適度な運動を取り入れるといいでしょう。
クレアチニンの数値を下げるための治療
クレアチニンが高く腎臓病が疑われる場合は、腎臓を保護する作用がある「RAS系阻害薬(ACE/ARB)」「SGLT-2阻害薬」「ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬」などを組み合わせて治療します。
運動や食事、水分管理、薬物療法、精神面のサポートなど包括的なサポートを行う「腎臓リハビリテーション」という療法を取り入れることもあります。
クレアチニンが高い場合は詳しい検査を
クレアチニンは腎機能の低下の他にも、筋肉量が多い場合や検査前日に肉などのタンパク質を摂取した場合に高くなることがあります。
そのためクレアチニンの値だけでは、正確に腎機能低下を見極めることはできません。
しかし、腎臓は重症になるまで症状が出ないため「クレアチニンが少し高いけど症状がないから」と放置すると、知らず知らずのうちに悪化する可能性も。健康診断で気になる数値が出た場合は、早めに詳しい検査を行うことが大切です。
監修者プロフィール:石橋彩里さん

2018年、医療法人社団光陽会 みずほ台サンクリニック理事長に就任。当院では“必要な医療をもっと身近に”をモットーにし保険診療から自費診療まで幅広く医療を提供しております。
昔から続く内科や透析だけでなくコロナ対応や美容医療、障がい者歯科など時代の流れやニーズに合わせた医療体制でより一層患者様に寄り添うクリニックとして成長してまいります。
※HALMEK upの人気記事を再編集したものです。
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