プロが教える!「ながら」でできる3つの動き

原因は骨盤に!下腹ぽっこりを解消する簡単筋トレ

公開日:2021.09.16

更新日:2022.03.05

「下腹のぽっこり、どうにかしたいからダイエットしなきゃ」そう考えていませんか? でも下腹ぽっこりの原因は、“骨盤の傾き”にあるんです。アピア均整院代表・松岡博子さんに、ぽっこりお腹の原因と解消エクササイズを伺いました。

松岡博子さんのプロフィール

まつおか・ひろこ 福岡県生まれ。身体均整師会 常任理事 副会長、高田馬場「アピア均整院」代表。背骨や骨盤のゆがみを正し、全身のバランスを整える「身体均整法」に基づいた体操やストレッチ法などを広く提唱。日々、たくさんの人々の体をケアし、TV・雑誌等でも活躍。主な著書に『ゆがみをリセット!骨盤ほぐし体操』(成美堂出版刊)など多数。公式ホームページ:アピア均整院松岡博子さんブログ「アピア均整院のゆがまない暮らしプチ情報」

下腹ぽっこりの原因は筋力低下で骨盤が倒れること 

「女性は特に60歳を過ぎると、みなさんお腹がぽっこりと出てきます。その原因は、骨盤が後ろに傾いているからなんです」と松岡博子(まつおか・ひろこ)さん。

「年を重ねるとお腹も脚も筋肉がゆるんで、骨盤が後傾してくるんです。骨盤は大腸、卵巣、子宮などいろいろな臓器を支えています。しかし女性の骨盤は開きやすい上に、筋肉が緩むと、骨盤が締まっている状態をキープできなくなります。後傾した骨盤に臓器が乗った状態になり、下腹部がボーンと出てしまうんです」

下腹ポッコリは骨盤の後傾が原因

“ぽっこりお腹”というと、ついたるんだ脂肪に意識が向きがちですが、そもそもの骨盤にも原因があったとは、目からうろこが落ちるようです。

「しかも、おうち時間が長い今、猫背の状態が習慣になっている方が多いんです。実は猫背は、骨盤が後傾している証拠。ずっと背中を丸めていると、前側の筋肉を使わなくなってしまいます。腹筋に力を入れていないのだから、立ち上がったらぽっこりと下腹部が出てくる。そのうち、ひざをまっすぐ伸ばしにくくなり、がに股にもなります」

そう話し、骨盤が後傾して猫背になっている状態の姿勢を再現してくれた松岡さん(下の写真)。

骨盤が後傾して猫背になっている状態

確かに、鏡に映る自分自身の姿が、松岡さんの再現してくれた姿勢になっているような……。一度骨盤が後傾してしまっても、それを戻すことはできるのでしょうか?

「もちろん! 何歳からでも戻すことはできますが、そのカギはやはり運動して筋力をつけること! ただ、若い頃と比べると筋肉の質が変わっているのでハードな運動で無理をするのは禁物。元気でいるためには、日常生活で習慣的に行える運動をおすすめしたいです」

下腹ぽっこり解消エクササイズ1:寝転び運動

数々のエクササイズに関する著書を出している松岡さんに、おすすめの運動を教えてもらいました。

「エクササイズは簡単なものでOKです。今の体をキープできればいいなら、背筋と腹筋のバランスをとるように意識しましょう。

まずは、うつぶせになり手は頭の上に上げ、体の力を抜き、脚だけ上げます。手が床から浮くのはNG。そうすると胸椎の11番に刺激がいき、すべての関節のバランスがとれます。あまり上がらなくても、ほんの少しでいいんですよ」(松岡さん)

下腹ぽっこり解消エクササイズ1:寝転び運動
手は伸ばし床についたまま、足を持ち上げる。イラストは松岡さんが描いてくれました

とても簡単そう!寝る前など、何かのついでにできそうです。

ぽっこりお腹解消エクササイズ2:武将座り&坐骨ゴロゴロ運動

次に教えてくれたのは、「座りっぱなし」でもできるエクササイズ。

「“正しい座り方”をするだけでいいんです。コツは、坐骨をしっかり立たせること。具体的には、椅子に浅く座って、足を腰幅に開く。武将の座り方をイメージするといいです(笑)。体の重心に左右偏りがないように力は入れないようにしましょう。それだけで、自然とお腹が締まります」(松岡さん)

武将座り&坐骨ゴロゴロ運動

「さらに余裕があったら、“坐骨ゴロゴロ運動”をしてみましょう。浅く座りながらお尻を後ろに、前に、と椅子の上で動かすだけ」

お尻を後ろに転がすようにしてお腹を丸め

お尻を後ろに転がすようにしてお腹を丸め

お尻を前に転がしながら背骨をそらします

お尻を前に転がしながら背骨をそらします

「坐骨が固くなると背骨全体に大きく影響しますから、こうやって背骨を丸くして、反らす運動を日常的にやるといいですね。ほんの少ししか動かなくても構いませんし、1日5回くらいでOKです」

こちらもテレビを見ながら、思い出したタイミングで気軽にできます。しかも5回でいいと思えば、気負わず楽しく実践できそうです!

下腹ぽっこり解消エクササイズ3:正しい姿勢で立つだけの運動

「最後に基本中の基本ですが、“まっすぐ立つ”ことをしてみましょう。そもそも筋力が低下し骨盤が倒れている人は、まっすぐ立つことが難しいんです。きちんと立っていられることは、とても大切。まっすぐ立って太ももをつけて、下腹にキュッと力を入れ
てみましょう」と松岡さん。

「まっすぐ立てているかどうかチェックするときは、壁に背をつけて立ってみましょう。骨盤が後傾している場合は、ふくらはぎと後頭部が壁から離れてしまいます。また骨盤が前傾して反り腰になっている場合は壁と腰の間の隙間が大きくなります。

正しい立ち方はかかととふくらはぎを壁から少し離し、頭・背中・お尻を出来る限りしっかり壁につけて立つと腰と壁の間に指が入る程度離れます。(こぶしが入るほど離れません)」

「正しい姿勢をキープするのが難しい方は、腰まわりをサポートするようなガードルをはくのもいいですね。自然と骨盤が立って、下腹部を意識しやすくなりますよ」

正しい姿勢でまっすぐ立つ松岡さん
正しい姿勢でまっすぐ立つ松岡さん
 

お腹に力が入りにくい方は、締めつけないタイプのガードルをはくのもおすすめ!

締めつけないタイプのガードル

エクササイズをすれば気分の落ち込みも解消できる!

「何歳からでもケアをすれば、筋力の低下は食い止められます。座り方、歩き方、ほんのちょっと気にするだけでいいんです」と松岡さん。

ここ1年間の外出自粛の影響による運動不足とともに、松岡さんが気になっていると話すのが「元気のなさ」。

「みなさん、非常に元気がなくなっていますね。イライラしたり不安感に襲われたり、どことなく”つらい”と感じられている方が増えています。外に出る機会が減り、運動不足の上に気持ちも元気がなくなって、さらに動かなくなるという悪循環に陥っていますね。

家に引きこもりがちな方は、短時間でいいから散歩やエクササイズをしてみてください。逆に外出自粛は、自分で筋力のメンテナンスをするいい機会と考えましょう。筋肉が元気なら、気持ちも明るくいられます。お悩みのぽっこりお腹のケアにもつながり、いいことづくしですよ!」(松岡さん)

取材・文=水野 愛(ハルメク 健康と暮らし編集部) 撮影(松岡さん)=渡辺裕之

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水野 愛

2019年12月より「ハルメク 健康と暮らし」食品記事編集に携わる。好きなものは漫画・歴史・音楽・一人旅。特技は赤ちゃんをあやすこと。今の夢は、習い始めた三線で、沖縄のおばあ・おじいたちとセッションすること!

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